日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
52 巻, 4 号
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  • Elias B, Boros G., Albert M., Tuboly S., Gergely P., Papp L., Barna Ve ...
    1990 年 52 巻 4 号 p. 677-688
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Bordetella bronchiseptica および Pasteurella multocidaの皮膚壊死毒素(DNT)をセファクリルS-200ゲルクロマトグラフィーにより精製し, 該物質の豚萎縮性鼻炎の病因としての役割について, 細菌学的および病理学的に解析した. 2週齢のSPF豚には30μgのDNTを2日間隔で3回, 7週齢の豚には15μgのDNTを週2回5週間接種した. 2~3週齢の豚については, B. bronchiseptica および P. multocida由来のDNTともに鼻甲介骨部に同程度の病変が認められ, 線毛の破壊, 上皮化生, 骨芽細胞の増殖, 退行性変化および瀰漫性の骨細胞性骨融解などが認められた. 7~12週齢の豚においては B. bronciseptica由来のDNTでは, 鼻甲介骨部に進行性病変は認められなかった. 病理組織学的病変としては、骨芽系細胞の増殖にともなう類骨形成, および微弱な骨細胞性骨融解が認められた. さらに, 胃, 肝, 腎, およびリンパ節に重度の肉眼病変が認められた. DNT処理中おとび中毒症状発現期間中において, 豚の食欲減退, 体重の減少が認められた. 7~12週齢の豚を P. multocida由来のDNTで処理した場合, 進行性の萎縮性鼻炎が観察された. 組織学的には瀰漫性の骨細胞性骨融解が鼻甲介骨部に観察された. 臨床症状ならびに内臓における病理学的病変は認められなかった. 以上の所見により, B. bronchiseptica由来DNTは P. multocida由来のものとはいくつかの共通点もあるが, その生物活性において基本的に異なっていることが示唆された.
  • 三浦 康男, 久保 正法, 後藤 義之, 甲野 雄次
    1990 年 52 巻 4 号 p. 689-694
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    妊娠89-150日の15頭の抗体陰性牛の静脈内にチュウザンウイルスを接種した. 接種2, 3日後から2週後にかけて, すべての牛はウイルス血症を示したが, 軽い白血球減少症以外の臨床症状は示さなかった. これらの牛は正常な妊娠期間の後に出産した. 15頭の子牛のうち妊娠120日に接種された母牛から生まれた1頭が運動障害を示し, 剖検の結果, 病理組織学的に自然例の病変と区別できない, 水無脳-小脳低形成症が認められた. 他の14頭は健康で, なんらの病理変化も認められなかった. 水無脳-小脳低形成症牛および妊娠150日に接種を受けた母牛から生まれた1頭は初乳摂取前血清中にチュウザンウイルスに対する抗体を保有していた. これらの結果は, 1985-86年にかけて九州地区で流行した子牛の水無脳-小脳低形成症がチュウザンウイルスにより起こったことを実験的に示したものと思われる. チュウザンウイルスにより起こる水無脳-小脳低形成症をチュウザン病と呼称することを提唱したい.
  • 久保田 道雄, 福山 新一, 児玉 和夫, 佐々木 文存
    1990 年 52 巻 4 号 p. 695-703
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    牛RSウイルス感染症を予防するための生ワクチンを開発する目的で, 弱毒ウイルスの作出を試みた. 呼吸器症状を呈した野外の病牛の鼻汁より分離したRS-52株を成熟ハムスター肺由来培養(HAL)細胞に30℃で連続継代することにより, 30℃でより増殖性の高いrs-52株を樹立した. rs-52株の30℃でのHAL細胞での増殖性は34℃又は37℃での培養に比較し, 明らかにすぐれており, 感染価で最高2.25 log TCID50以上の差が認められた. 牛RSウイルス抗体陰性の初乳未摂取人工哺育牛および2~4ヶ月齢の子牛にrs-52株を接種したところ抗体産生はみられたが, 臨床上の異常はまったく認められず, 同居感染も成立しなかった. rs-52株で免疫した初乳未摂取人工哺育牛での感染防御試験では, 強毒ウイルスの鼻腔内および気管内接種に対して発病は完全に阻止され, 鼻汁からのウイルス回収はすべて陰性であった. 一方, 強毒ウイルスで攻撃した非免疫対照牛では, 攻撃後, 軽度の発熱, 咳および鼻汁などの定型的な呼吸器症状を示し, 鼻汁からのウイルス回収も陽性であった.
  • 納 敏, 大谷 拓郎, 一条 茂
    1990 年 52 巻 4 号 p. 705-710
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北海道十勝地方の1羊舎で発生した子羊の白筋症について, 発病子羊と母羊および同居羊の血清トコフェロール(Toc), セレニウム(Se)値並びに血液グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)活性値の検討を行った. 発病子羊4例の血清Se値は30 ppb以下の低値を示し, とくに3例では15 ppb以下の欠乏値を示した. 血清Se値と血液GSH-Px活性値との間には相関が認められ, かつ発病子羊の血液GSH-Px活性値は欠乏値を示した. 臓器中のSe濃度は対照子羊に比して低値であり, とくに肝臓では50 ppb以下の欠乏値であった. 血清Toc値は正常範囲内であったが, 臓器中のα-Toc濃度は低値であり, とくに肝臓で顕著であった. 母羊および同居羊の血清Se, Toc値並びに血液GSH-Px活性値も発病子羊と同様の所見を示した. さらに発生羊舎における給与飼料中のSe含量は50 ppb DM以下の欠乏値であり, α-Toc含量も著しい低値であった. 以上の成績から, 子羊白筋症の原因は母羊に対するTocとSeの給与不足による栄養性筋変性症と判断された.
  • 佐藤 繁, 扇元 敬司, 中井 裕
    1990 年 52 巻 4 号 p. 711-717
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ウシの免疫システムに対するルーメン細菌の抗原刺激機構を明らかにする目的で, 生後間もない子牛にルーメン由来の Bacteroides succinogenes および Selenomonas ruminantiumの生菌を経口的に接種し, 菌体および菌体外膜抗原の分布を検索した. B. succinogenes あるいは S. ruminantiumの菌体外膜ウサギ抗血清を用いた間接蛍光抗体(IFA)法および走査型電顕観察により, ルーメン粘膜における接種細菌の定着が確認された. 前胃粘膜固有層において両菌体の侵入が認められ, また, 第一胃付属リンパ節においでは, S. ruminantium菌体が検出された. 一方, IFA法により前胃粘膜固有層のマクロファージ様細胞内および前胃付属リンパ節のリンパ球様細胞内に菌体外膜抗原が検出された. 外膜抗原保有細胞は小腸と盲腸粘膜固有層および腸間膜リンパ節でも検出されたが, 腸間膜リンパ節に比べ, 前胃付属リンパ節において多数認められた. これらのことから, 経口的に接種したルーメン細菌は, 前胃粘膜および付属リンパ節において抗原刺激として作用することが示唆された.
  • 佐藤 繁, 扇元 敬司, 中井 裕
    1990 年 52 巻 4 号 p. 719-725
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    子牛の免疫システムに対するルーメン細菌の影響を明らかにする目的で, Bacteroides succinogenes と selenomonas reminantiumの生菌を経口接種した子牛において, 免疫グロブリン(Ig)保有細胞の分布を検索した. その結果, 生後2, 3および26日齢時の3回経口接種した子牛の前胃付属リンパ節において, リンパ濾胞胚中心の腫大増数およびIgGを主とする多数のIg保有細胞が認められた. 前胃付属リンパ節においてIgG保有細胞は, 皮質および髄質領域のいずれにおいても検出されたが, 髄索などのBリンパ球領域に多数認められ, また, 少数のIgAおよびIgM保有細胞も検出された. さらに, 前胃粘膜固有層において少数のIgG保有細胞が, また, 第四胃と腸粘膜固有層および腸間膜リンパ節においてIgGを主とするIg保有細胞が検出された. 前胃付属リンパ節においてIg保有細胞は, 腸間膜リンパ節に比べ多数認められた. これらのことから, 経口的に接種したルーメン細菌は, 前胃付属リンパ節におけるIgG保有細胞の成熟を促進することが示唆された.
  • 杉井 俊二, 廣田 好和
    1990 年 52 巻 4 号 p. 727-733
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    セファローズ4B カラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーによりウシ血清中のカルシュウム依存性および非依存性セファローズ4B結合タンパクを分離した. これらのタンパクを更に精製するためにセファクリルS-200カラムによるゲルろ過をおこなったところ, カルシュウム依存性および非依存性のいずれのゼファローズ4B結合タンパクも分子サイズの異なる2つのピークとして溶出された. 精製したセファローズ4B結合タンパクを用いたゲル内沈降反応と電気泳動の結果から, 分子サイズの大きいセファローズ4B結合タンパクはIgM, 分子サイズの小さいものはIgGであることが判明した.
  • 梁 萬表, 後飯塚 僚, 小野 憲一郎, 鈴木 直義, 長谷川 篤彦
    1990 年 52 巻 4 号 p. 735-742
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    TLAをin vivo あるいは in vitro で処置したネコの末梢血リンパ球および脾細胞のネコ白血病腫瘍細胞株(FL74)に対する細胞障害活性を検索した. 末梢血リンパ球のFL74細胞に対する細胞障害活性はTLA処置によっても変化は認められなかったが, 脾細胞の細胞障害活性は in vivoのTLA投与により増強される傾向がみられ, 特に in vivoおよび in vitroの両方で処理した場合は有意な増強効果が観察された. ネコにFL74細胞を免疫した場合にも細胞障害活性は免疫しなかった時とほぼ同様であった. 以上の結果からTLAはネコの脾細胞の細胞障害活性を増強させることが明らかになった.
  • 佐々木 栄英, 北川 均, 石原 勝也, 柵木 利昭
    1990 年 52 巻 4 号 p. 743-752
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    11頭の犬糸状虫感染犬を用いて, フレキシブル・アリゲーター鉗子で肺動脈内の成虫を摘出し, 肺動脈圧の測定, 肺動脈血管造影および病理組織学的検査により肺動脈病変の変化を検討した. 虫体摘出直後の肺動脈圧は, 血管造影の異常所見とほほ並行していた. 虫体摘出直後に高い肺動脈圧を示した例では, 除々に低下し, 造影の閉塞所見は改善される傾向が認められた. 軽度に肺動脈圧が高かった4例では, 4週後にほほ正常域まで低下し, 造影所見も4から12週後までに改善した. 虫体摘出直後に肺動脈圧がほほ正常域まで低下した5例では, 造影の異常所見は4から8週後までにほとんど消失した. 虫体摘出直後における主肺動脈の生検材料では, 内膜は絨毛状または乳頭状に増生していた. 12または20週後の剖検材料では, 内膜の増生は著しく軽減していたが, 虫体の残存していた例では後葉内の肺動脈に内膜の絨毛状増殖が認められた. また, 死滅虫体による塞栓病変には, 血管が新生されていた. 以上のように, 虫体摘出後血管病変の減退に伴い, 血行動態が改善されるものと考えられた. なお, アスピリン(5 mg/kg/day)を虫体摘出後4週間投与した5例の内膜病変と3例の対照との間に差を認めず, アスピリン投与は虫体摘出後の内膜病変の改善に効果が認められなかった.
  • 熊澤 教眞, 加藤 英一, 岡本 芳晴
    1990 年 52 巻 4 号 p. 753-757
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Blind well chamberを用いた血液細胞の遊走実験の結果, アマオブネ(海産巻貝)の血液細胞は腸炎ビブリオと大腸菌の生菌と加熱死菌に対して遊走することが明らかになったが, アマオブネと同じNeritidae科に属するイシマキガイ(汽水産巻貝)の血液細胞の遊走は見られなかった. 腸炎ビブリオは夏期を中心にイシマキガイから高濃度に検出されること, 腸炎ビブリオと大腸菌はイシマキガイの体内に長期間生残するが, アマオブネの体内からは速やかに消失することから, イシマキガイの血液細胞の遊走能の欠如は本貝の体内における腸炎ビブリオの高濃度生残と関係があると考えられる.
  • 小野 憲一郎, 乾 健二郎, 長谷川 貴史, 松木 直章, 渡邊 博雅, 高木 茂美, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1990 年 52 巻 4 号 p. 759-765
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    競走馬11頭を用いて運動負荷の前後に赤血球内の主要3種還元系酵素, スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD), グルタチオンパーオキシダーゼ(GSHpx), およびカタラーゼ活性を測定した. 運動は秒速約15mで1000mとした. 血漿過酸化脂質値は運動前の1.16±0.40nmol/mlから1.29±0.34nmol/mlに増加した. GSHpx活性は69±10IU/gHbから65±8IU/gHbと有意に減少したがSODとカタラーゼ活性は変動しなかった. ついで抗酸化剤であるセレニウムとビタミンEの合剤(セレニウム25mg, ビタミンE54.8mg含有)を筋肉内に投与し, これら3酵素の変動に及ほす影響を競走馬7頭を用いて検討した. 運動負荷前値の血漿過酸化脂質値は抗酸化剤投与により1.24±0.09nmol/mlから0.86±0.03nmol/mlに減少しだが, SOD, GSHpxおよびカタラーゼ活性はいずれも変動を示さなかった. しかしながら運動負荷後にみられる変動, すなわち血漿過酸化脂質値の増加ならびにGSHpx活性の減少は本剤の投与により抑制されることが確認された. これらのことから赤血球内GSHpx活性の変動は運動負荷時に生ずる酸化障害に対する防御状態を示す可能性があるものと考えられた.
  • 蛭間 正巳, 井出 誠弥, 宝達 勉, 山岸 郭郎, 田中 義夫, 藤崎 優次郎
    1990 年 52 巻 4 号 p. 767-772
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ゲタウイルス神奈川株の親株, LP株, SP株を脳内接種したマウスを病理学的に観察した. LP接種マウスは接種後早期に横臥し, 後肢麻悼を起こした親株またはSP接種マウスより急性の経過で死亡した. 組織学的には全身の骨格筋が病変を示した. 親株またはSP株接種例では, 筋線維の変性, 壊死, 炎症細胞浸潤, 再生が見られ, この変化は後肢筋に特に顕著であった. LP株接種例では, 大多数の筋線維が変性, 壊死し, 反応性変化はほとんど見られなかった. また, 骨膜と筋間結合織は肥厚し, 壊死していた. 電顕的にはウイルス粒子はLP接種例の筋小胞体腔内とその膜内縁に沿って多く見られたが, 親株とSP株接種例ではまれにしか認められなかった. 以上のように, ゲタウイルス神奈川株はマウス骨格筋を強く侵した.
  • 森 裕司, 清水 恭, 星野 邦夫
    1990 年 52 巻 4 号 p. 773-779
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    非繁殖期にあって卵巣活動を停止している雌ヒツジ20頭を無作為に4群に分け, メラトニン処置(MEL)および雄の存在(RAM)の及ほす影響について解析した. A, B群にはメラトニン封入カプセルを皮下に埋め込み実験期間を通じて血中メラトニン濃度を暗期の分泌相に匹敵する高レベルに維持した. C, D群は無処置とした. メラトニン処置は4月18日(Day 0)に開始し, 同日よりA, C群には雄を同居させた. 各群の卵巣機能を調べるためDay52-64(6月)の期間における血中プロジェステロン濃度の推移を調べたところ, 機能黄体の存在がA群(MEL+RAM)5/5頭, B群(MELのみ)5/5頭, C群(RAMのみ)1/5頭, D群(対照群)0/5頭に認められた. またDay105(8月)に超音波法による妊娠診断を行ったところA群の全頭で妊娠が確認されたのに対し, C群はいずれも陰性であった. 以上の成績より, 非繁殖期の中期(4-6月)においては, 雄の存在が性腺機能に及ぼす影響はほとんど無く, メラトニン処置を行うことによってはじめて雌ヒツジに季節外の繁殖活動を誘起しうることが明らかとなった.
  • 小島 義夫
    1990 年 52 巻 4 号 p. 781-786
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ヤギ精巣を灌流固定し, TBCの形成と運命について形態学的観察を行った. ヤギのTBCは精子形成の最終段階で精子細胞の背腹両面に発生し, 頭帽部分のみならず後部核鞘部分にも出現した. 精子細胞の完熟期に, セルトリ細胞の表層膜が精子細胞膜を伴って微小貪喰作用(micropinocytosis)状の被覆小胞(bristle coated vesicle)を形成することからTBC形成が始まる(精子細胞側からは外分泌の被覆小胞の形となる). この小胞は太さ約10nmの1~3μmにわたる細長い管状構造を呈してセルトリ細胞内へ伸びる. 管状構造は両膜が数nmの接触を保ち, セルトリ細胞側は微小線維によって補強されている. 最も発達した時期には管の末端や中間が直経0.5μm大の円球状膨化をきたし, 精子細胞膜が膨れる. 膨化は二連球状となったり中間で膨化する場合もあるが, 何れもセルトリ細胞の滑面小胞体によって密に囲まれている. 最終的には千切れてセルトリ細胞に貪喰, 吸収される. これらの構造物は文献でdeep pocket (ウシ), anchoring device (ネズミ類), tubular device (ブタ)と呼ばれたもので, 他の哺乳類同様, ヤギにも存在することを証明した. その機能としてはanchoring deviceのみならず, 精子細胞の核濃縮に伴う余剰膜や精子細胞内の余剰成分の処理にも関与して, 重要な意義を持つことが示唆された.
  • 川村 清市, 井上 平太, 小田 高司, 伊藤 直之, 樋口 誠一
    1990 年 52 巻 4 号 p. 787-793
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    CaNa2EDTAの静脈注射により作出した腎機能障害牛および腎障害自然発症牛の尿中から低分子蛋白を分離精製した。即ち、これらのウシの濃縮した蛋白陽性尿から塩析法によりグロブリン分画を分離し, これをSephadex G-100カラムを用いたゲル濾過法で5つに分画した. これらのうち, 最小分子量を示した分画をさらにDEAE-celluloseを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーにより2つに分画した. このうちの1分画は, SDS-PAGEにより単一のピークを示し, かつ分子量が12,000と推定され, ヒトβ2-microglobulin(MW11,800)と類似した分子量であった. 一方, この分画は, セルロースアセテート膜電気泳動法により正常ウシ血清のγ-グロブリン位に移動し, さらに, ゲル内沈降反応において, それに対する抗血清との間に1本の沈降線を形成したが, 抗ヒトβ2-microglobulinとの間には沈降線が形成されなかった. また, この抗血清と実験的腎障害牛および腎障害自然発症牛の各濃縮尿との間には, 沈降線が形成されたが, 正常牛の濃縮尿およびヒトβ2-microglobulinとは沈降線を形成しなかった.
  • 本多 英一, 渡辺 郁夫, 岡崎 克則, 熊谷 哲夫
    1990 年 52 巻 4 号 p. 795-800
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    酵素抗体染色法を用いてその反応結果とすでに知られているブタエンテロウイルスの血清型, CPE型との関係を調べた. 3つのCPE型の特徴は酵素抗体染色法によっても明らかに区別できた. ウイルス特異抗原をCPE出現より早く検出できた. 交差試験を行なった結果酵素抗体染色法では一般に高い抗体価(1:6,400から1:25,600)が得られることがわかった. 特に中和抗体価が低いCPE II型(1:200)およびCPE III型(1:400)においても高い値が得られた. 同一のCPE型を示す血清型のブタエンテロウイルスの間では高い交差性がみられたが, 異なるCPE型のウイルス間ではほとんど交差性はみられなかった. CPE型では反応にばらつきがみられた. 酵素抗体染色法の結果は血清型との関連よりもCPE型との関連が強かった. このように酵素抗体染色法はブタエンテロウイルスを分類する一つの手段となることが示された.
  • 筒井 敏彦, 村尾 育子, 河上 栄一, 小笠 晃, Stabenfeldt George H.
    1990 年 52 巻 4 号 p. 801-806
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    繁殖季節における雄猫の androgen分泌状況を明らかにするため, 末梢血中 testosterone (T)の日内変動, 精巣静脈血と末梢血中における androgen量 [androstenedione (A), 5α-dihydrotestosterone (DHT), T]の関係について観察した. また精巣の組織学的観察によって造精機能についても検討した. 実験には自然採光下の猫舎内で飼育されている年齢2-3才, 体重3.5-4.0kgの雄猫9頭を用いた. その結果, 雄猫の日内における末梢血中T量は, 個体によって大きく変動していたが, 一定の傾向は認められず, episodicな分泌であった. 精巣静脈血中における androgenは個体によってかなりの差が認められたが, 左右の間ではほ等しかった. また3種 androgen量は, それぞれ精巣静脈血と末梢血の間で相関関係が認められた(A:P<0.01, DHT:P<0.05, T:P<0.01). 精巣の組織所見は, いずれの猫においても活発な精子形成が認められ, 各個体間において精細管径および各種精細胞数にも有意差は認められなかった.
  • 有嶋 和義, 山本 雅子, 植田 安寛, 日柳 政彦, 江口 保暢
    1990 年 52 巻 4 号 p. 807-812
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    妊娠14~21日のラットの胎仔臍動脈を, アセトン・ドライアイスで急速凍結した胎仔について調べた. 各凍結胎仔の後躯を腹側から水平にナイフで削り, 胎動脈断面を露出させてその内径を計測した. 妊娠15日において, 胎仔臍動脈は, 右側のものが左側のものよりも太かった. その後, 右側は次第に太くなっていくが, 左側は17日に閉鎖した. 妊娠21日に, 剖検の3時間前に, 妊娠ラットにindomethacinを投与すると, 胎仔の右臍動脈は有意に狭窄した. この現象の理由は不明であるが, 動脈管の閉鎖様式と関連して討議した.
  • 田中 雅之, 岡部 達二, 佐々木 文存
    1990 年 52 巻 4 号 p. 813-818
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Theileria sergenti(Ts)赤内型メロゾイトのモノクローナル抗体に対するモノクローナル抗イディオタイプ抗体について, 間接蛍光抗体法(IFA)および酵素抗体法(ELISA)を用いて検討した. その結果, 3株のモノクローナル抗イディオタイプ抗体は, Tsメロゾイトのinternal imageを示し, これらの抗体によって誘導された抗-抗イディオタイプ抗体中には, 抗Ts抗体の存在が認められた.
  • 中山 裕之, 内田 和幸, 小野 憲一郎, 後藤 直彰
    1990 年 52 巻 4 号 p. 819-822
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    持続的に高血糖を示したネコ6例について病理学的に観察した. 脾病変としては脾島アミロイドーシス(3例), 脾島空胞化(4例), 脾島炎(l例), 慢性膵炎(1例)がみられた. また, 脂肪肝(3例)や腎糸球体硬化症(1例), 尿細管上皮グリコーゲン沈着(1例)などの二次病変も観察された.
  • 高鳥 浩介, 川合 覚, 高橋 淳子, 一条 茂
    1990 年 52 巻 4 号 p. 823-825
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北海道の牛飼育環境, 88カ所から得た土壌材料を用いて真菌分布調査と Trichophyton verrucosumの分離を試みた. 菌分離にはポテト・デキストロース寒天培地(PDA), cycloheximide加サブロー寒天培地(SDA)および Hair baiting (H.b)法を行なった. 主な分離菌は, Aspergillus fumigatus, A. glaucus, A. versicolor と Mucorales, そして好ケラチン性菌としては, Chrysosporium keratinophilum および Microsporum gypseumが認められた. T. verrucosumはPDAでは18カ所から, SDAでは43カ所から分離されたが, H.b法では分離されなかった. 以上の結果よりT. verrucosum感染病巣のみならず感染被毛などに汚染された土壌からも分離され, 本菌の汚染土壌も感染源として重要視する必要があるものと推察された.
  • 種子野 章, 本田 隆, 酒井 英史, 河合 透, 徳山 幸夫, 花木 琢磨, 江藤 正信
    1990 年 52 巻 4 号 p. 827-829
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ILTV感染細胞を20日齢鶏に皮下, 筋肉内及び点眼投与したところ, 強毒株による攻撃に対し, 投与後14日目でいずれの投与経路においても, 細胞フリーの現行ワクチンと同等以上の防御効果を示した. また, 初生齢鶏に感染細胞を皮下投与したところ, 投与後14日目で85-95%, 70日目でも60-70%の効果が認められた. このことから, ILTV感染細胞は, 免疫原性に優れた新しいタイプのワクチンとして応用できることが示唆された.
  • 中山 裕之, 諸角 元二, 姜 鍾求, 内田 和幸, 後藤 直彰
    1990 年 52 巻 4 号 p. 831-833
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    6.5歳, チワワの肝に結節性の線維増生がみられた. この結節は脂肪蓄積細胞巣の線維化によって生じたと考えられ, 成長するにつれて互いに癒合し, より大きな結節を作っていた. また, 中心部に石灰沈着のみられる結節もあった.
  • 宝達 勉, 井出 誠弥, 山岸 郭郎, 永口 良雄, 長野 秀樹, 前原 信敏, 田中 義夫, 藤崎 優次郎, 矢後 啓司, 田口 邦史, ...
    1990 年 52 巻 4 号 p. 835-837
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    豚血清中のGetahウイルス抗体検出のため精製ウイルス可溶化抗原を用いたELISA法を開発した. ELISA法は, 赤血球凝集抑制(HI)反応と同様, Getahウイルス接種豚に抗体産生を示した. ランダムに採取した豚血清サンプルのELISA値とHI価はよく相関していた. ELISA法を用いた全国的抗体調査の結果, Getahウイルスが日本の豚の間に広く伝播していることが示された. これらの結果は, ELISA法が豚の Getahウイルス感染の血清疫学研究に有用であることを示している.
  • 本多 英一, 高橋 博則, 岡崎 克則, 熊谷 哲夫
    1990 年 52 巻 4 号 p. 839-841
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    豚伝染性胃腸炎(TGE)ウイルスTO-163株によって低pH条件下でIB-RS-2細胞に細胞融合がみられた. 本ウイルスを細胞に接種し24時間ないし36時間後培地をpH5.2, 5.7, 6.5, 7.0に調整したMEMと交換し10時間後, pH5.7の培地で108個と多くの細胞融合がみられた. pHが上昇するに従いその数は減少した. その融合細胞はTGEウイルスの抗血清によって特異的な蛍光像を発した. このことはTGEウイルスで初めてみられた現象でTGEウイルスの性状を調べる一つの手段となる.
  • 古川 敏紀, 杉山 文博
    1990 年 52 巻 4 号 p. 843-846
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    沈澱法および3種のカラムクロマトグラフィー法を用い, ネコ新鮮血漿より活性を有する補体第4成分(C4)を分離した. また高分解能アガロース電気泳動法および抗ネコC4血清による免疫固定法を用い, そのフェノタイプを検索した結果, FaSa, FbSb, FabSb, Fabの4種が観察された.
  • 品川 邦汎, 渡辺 浩二, 松坂 尚典, 小沼 博隆, 杉井 俊二
    1990 年 52 巻 4 号 p. 847-850
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    精製抗エンテロトキシン-IgGを吸着したポリスチレンボールを用いるサンドウィッチELISAによるブドウ球菌エンテロトキシン検出法を検討し, 微量(1ng/ml)の毒素を特異的に, かつ5時間以内に検出できた. さらに, 本方法により食中毒原因食品および吐物からエンテロトキシン0.6-3.6μgを直接検出することができた.
  • 内田 佳子, 中出 哲也, 北澤 馨
    1990 年 52 巻 4 号 p. 851-853
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イヌの外耳炎材料から分離した M. pachydermatis40株についてクロトリマゾール(CTZ)・ケトコナゾール(KCZ)・ミコナゾール(MCZ)・ナイスタチン(NYS)・ビマリシン(PMR)の5薬剤に対する感受性試験を行った. 最小発育阻止濃度, 最小殺菌濃度ともにKCZが最も低値を示した. 残り4薬剤については有為な差はなかった. MCZ, NYSおよびPMRではそれぞれ1株, 3株, 2株が80μg/mlで発育を示した.
  • 及川 正明, 吉原 豊彦, 兼子 樹広, 吉川 堯
    1990 年 52 巻 4 号 p. 855-858
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    新生仔馬の剖検例中小腸の腸絨毛の矮小化の著しい3例が偶発的に見出された. これら腸絨毛の著しい矮小化は従来報告されてきた各種疾患における腸絨毛萎縮像とは相違し, 胎生期における上皮及び間葉系組織の発育障害に基づく腸絨毛低形成像と解された.
  • 中村 貴史, 川口 陽資, 妹背 醇
    1990 年 52 巻 4 号 p. 859-860
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    鶏コクシジウムの病原性種として重要な E. brunettiの我が国における分布および感染の実態は不明な点が多い. そこで今回, 野外から E. brunettiの分離を試み, 2株を同定した. 複数の種が混在する野外サンプルの場合, オーシストの形態, プレパテントピリオドおよび腸管の感染部位等の性状に加え, GPIおよびLDHアイソザイムを指標とした酵素電気泳動法の併用が有用であった.
  • 湯川 眞嘉, 西住 圭治, 竹内 哲也, 望月 公子, 小野寺 節
    1990 年 52 巻 4 号 p. 861-864
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    抗アシアロGM1血清およびフローサイトメーターを用いて脾リンパ球中の陽性細胞数を測定した. その結果, スナネズミの22.6%, BALB/cマウスの8.4%, ICRマウスの4.5%のリンパ球が陽性を示した. フローサイトメーターを用いて分取した陽性細胞を電子顕微鏡で観察したところ, 全ての細胞に大型顆粒が見られた. また, NK活性の測定では, スナネズミのリンパ球もマウスのリンパ球も同レベルの値を示した.
  • 小俣 吉孝, 及川 弘, 神田 政典, 三日月 幸治, 中林 敏夫, 鈴木 直義
    1990 年 52 巻 4 号 p. 865-867
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Toxoplasma gondiiのシスト経口接種ネコならびにオーシスト経口接種ネコにおけるオーシスト排泄時期と, 血清中抗体価を継時的に検索した. シスト接種ネコではオーシスト排泄後, 血清中抗体価が出現, 上昇するのに対し, オーシスト接種ネコでは, オーシスト排泄前から血清中抗体価が出現し, 上昇する事が観察された.
  • 池 博敏, 佐々木 修, 山田 明, 今西 二郎
    1990 年 52 巻 4 号 p. 869-871
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    以前の報告においてヒト・インターフェロン-α(HulFN-α)が, ウシ白血病ウイルス(BLV)によるシンシチウム形成を阻止し, BLVの増殖を阻止することを示した. 今回の研究では腫瘍壊死因子(TNF)のBLVによるシンシチウム形成およびBLVの増殖に対する効果を検討した. その結果, TNFは濃度依存的にシンシチウム形成を抑制することがわかった. また, BLVの増殖も抑制した. さらにTNFとHulFN-αを併用するとそれぞれの単独よりも強くシンシチウム形成を抑制した.
  • 今井 邦俊, 湯浅 襄
    1990 年 52 巻 4 号 p. 873-875
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    鶏貧血因子のアッセイのために96穴マイクロプレートを用いたマイクロテスト法を開発し, これを用いて鶏貧血因子の感染価測定及び中和試験を行った. 既法の試験管を用いたマクロテスト法と感度, 特異性を比較したところ, マイクロテスト法はマクロテスト法と同様な結果を示した. また, マイクロテスト法は省力的であるため多数の検体を処理する場合には有益と思われる.
  • 池田 富夫, 稲葉 睦, 前出 吉光
    1990 年 52 巻 4 号 p. 877-878
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    臨床的に健康なイヌの血清エリスロポエチン(EPO)をマウス脾細胞法により測定した. 1-7歳のイヌ21頭では94.9±28.7mU/ml(平均±標準偏差)であり, 性差は認められなかった. 一方1-2カ月齢のイヌは182.7±56.2mU/mlと高値を, 逆に8-13歳では56.5±11.6mU/mlと低値を示した. 同様に測定したウマ, ウシ, ネコ及びヤギの血清EPOは, いずれもイヌに比べ低値を示した.
  • 岡田 洋之, 松川 清, 扇谷 信幸, 横田 博, 谷山 弘行, 湯浅 亮
    1990 年 52 巻 4 号 p. 879-882
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    去勢ヒツジ15頭の甲状腺と上皮小体について免疫組織化学的検索を行った. C細胞はウエスタン・ブロッティング法により特異性が確認された抗ブ夕・カルシトニン抗体に対し強陽性を, 市販抗 neuron-specific enolase抗体に弱陽性を示した. 甲状腺内C細胞は主に中央部に集中しており, 峡部には認められなかった. また検索した15例中12例の内上皮小体にC細胞が認められたが, 外上皮小体には認められなかった.
  • 山田 政治, 湯川 眞嘉, 望月 公子, 関川 弘雄, 堅物 実
    1990 年 52 巻 4 号 p. 883-885
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    肥育素牛として日本に導入され, 約10-15カ月間新潟県において飼育された, オーストラリア産マレーグレイ(Murray Grey)種牛25頭について Sarcocystisを検索したところ全例で心筋に多数の sarcocystが検出され, Sarcocystisによる高汚染が明らかになった. HE染色標本の光顕的観察およびSEMによる観察で薄いcyst wallに包まれた多数のバナナ形の bradyzoiteが認められ, これらの形態的特徴から検出された原虫は S. cruziと考えられる.
  • 宮沢 孝幸, 川口 寧, 古谷 哲也, 板垣 慎一, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 4 号 p. 887-890
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    FIV TM1株をMYA-1細胞に接種したところ, 接種後20日で, 生細胞率は細胞変性効果(CPE)により低下したが, その後生残細胞がCPEを伴いつつ増殖し, 接種後少なくとも約177日間ウイルスを産生し続けた. この持続感染状態は, ウイルスによるCPEと細胞の増殖との微妙な平衡の上に成りたっているものと考えられた. 接種後215日で, ウイルス産生は見られなくなったが, 生細胞率は90%以上を示し, 1年以上培養可能であった.
  • 古谷 哲也, 川口 寧, 宮沢 孝幸, 藤川 勇治, 遠矢 幸伸, 畔高 政行, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 4 号 p. 891-893
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1966年から1989年にかけて東京近郊ならびに札幌で採取した保存ネコ血清439検体を用いて, ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に対する抗体調査を行った. その結果, 1968年に採取した血清18検体中2検体からFIV特異抗体が検出された. また1968年以降の年次別FIV陽性率は0%から33.3%の間を変動し, 全体陽性率は45/439(10.3%)であった.
  • 三枝 順三
    1990 年 52 巻 4 号 p. 895-897
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    カドミウムの慢性毒性実験に用いたアカゲサル25匹中12例に子宮内膜症を認めた. 本病は子宮切開術や放射線暴露を受けた個体に発病すると考えられているが, 本検索例はそれらの処置を受けていないことから, これらの処置とは無関係に生じることが示唆された. 本病はカドミウム暴露の有無に係わらず認められ, 加令とともに発症率が上昇する傾向があった. 一方本病はビタミンD欠乏個体に高率に認められ, 注目された.
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