日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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52 巻, 5 号
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  • 玄 学南, 堀本 泰介, Limcumpao Joselito A., 根本 謙, 遠矢 幸伸, 畔高 政行, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 5 号 p. 899-905
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イヌヘルペルウイルス (CHV) 赤血球凝集 (HA) 素の同定を単クローン性抗体 (MoAb) を用いて行った. HA性の抑制 (HI) はMoAb作製のための免疫原としたCHV YP11のプラック選択ウイルスの41kD糖蛋白を認識するMoAbsでのみ見られ, 145/112kD, 80kD糖蛋白を認識するものでは見られなかったことより, このウイルスのHA素は41kD糖蛋白であると考えられた. しかしこれらのHI MoAbsは, F-205V, Glasgow CHV2参照株, あるいは他の日本での8分離株, さらにプラック選択を行っていないYP11株を抗原とした場合にもHI活性を示したものの, これらを抗原としたイムノブロッティングにおいては47kD蛋白との反応が見られた. これらの結果は, CHV間に共通するHA素は47kD糖蛋白であり, またCHV YP11のプラック選択ウイルスは41kDのHA素を持つ変異株であることが示唆された.
  • 鈴木 直義, 桜井 治久, 斎藤 篤志, 五十嵐 郁男, 小俣 吉孝, 尾崎 文雄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 907-914
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ原虫栄養型虫体はマウスマクロファージ及びヒト体細胞単層培養細胞内において合成ペプチド (Obiopeptide- 1) 添加によって著しく増殖抑制され, 多くは死滅する. 本ペプチドは1 Glycilと5 Glutaminateよりなり, 天然オビオアクチンの有する細胞内殺トキソプラズマ原虫活性単位の1つとして合成された. 世界の動物および人に認められるトキソプラズマ感染症に対する有効な治療薬のない現在, Obiopeptide- 1は新規の抗微生物活性を有する非抗生物質治療補助剤として細胞内寄生原虫および一般感染症に随伴する宿主免疫能の低下に対する有効な免疫調整作用物質になり得るかも知れない.
  • 川本 英一, 沢田 拓士, 丸山 務
    1990 年 52 巻 5 号 p. 915-921
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    動物実験施設および生産コロニーで飼育されているウサギ合計1,147例の鼻腔あるいは飼育環境からPasteurella multocidaの分離を試み, 分離菌株について種々の性状を検討した. 動物実験施設のウサギ668例中199例 (29.8%) より本菌が分離された. このうち, 本菌のモニタリングを実施している施設における分離率は0.9% (2/229) であったが, 実施していない施設では44.9% (197/439) と高かった. 生産コロニーのウサギでは, 479例中1例から本菌が分離された. また, 空中, 飼育室の床, 水管, ケージ内面の材料, 合計126例中39例 (31.0%) から本菌が分離された. 調べた分離菌, 合計40株 (ウサギ由来38株および環境由来2株) は莢膜を有し, 弱い螢光を呈するムコイド型の集落を形成した. また, これらの菌株は, ほぼ同一の生物学的・生化学的性状を示した. さらに, これらはゲル拡散沈降反応で共通の沈降線を示し, クリンダマイシンを除く11種類の抗生物質に対して感受性を示した. マウスに対する毒力は弱かった. ウサギ由来株と環境由来株の性状に差は認められなかった. 以上の成績より, ほぼ同一の性状を有するP. multocidaが我が国におけるスナッフル (rhinitis) の主要な原因であることが示唆された.
  • 磯貝 恵美子, 磯貝 浩, 藤井 暢弘, 小熊 恵二
    1990 年 52 巻 5 号 p. 923-930
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Leptospira interrogans血清型copenhageniおよびhebdomadisから得られたリポ多糖のB, TおよびNK細胞への生物活性を調べた. それぞれのレプトスピラリポ多糖は脾臓のB細胞に対し強いmitogen活性を有し, 多クロン性にB細胞を活性化した. 対照的にT細胞に対してはmitogen活性およびIL-2の誘導を示さず, NK細胞に対しても抗腫瘍活性や化学発光能を増強させなかった. レプトスピラリポ多糖をマウスに投与したき, 脾臓およびリンパ節で免疫グロブリン陽性リンパ球は増加し, T細胞は減少した. T細胞の脱落に関連して, PHA, ConAおよびPWMに対する応答性が減少した.
  • 楯 英毅, 児玉 洋, 伊澤 久夫
    1990 年 52 巻 5 号 p. 931-937
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    伝染性膵臓壊死症ウイルス (IPNV) のニジマスリンパ球への感染性から, ウイルス感染により起こる免疫抑制機序の一端の解明を試みた. IPNV接種魚において, ウイルスは, 頭腎, 脾臓及び末梢血から得たナイロンウール付着性-細胞表面免疫グロブリン (Ig) 陽性リンパ球から分離され, その感染価は非付着性-表面Ig陰性リンパ球のそれよりも高かった. 非付着性リンパ球はフィトヘムアグルチニン及びコンカナバリンAに反応するが, リポポリサッカライドには反応しなかった. 付着性リンパ球のこれらマイトージェンに対する反応性は低かった. ニジマスへのウイルス接種後, 非分画頭腎リンパ球のマイトージェン反応性及び非特異細胞傷害活性は顕著に低下した. これらの結果から, ウイルス感染によって起こる免疫抑制が, ウイルス持続感染の成立に関与していると推測される。
  • 杉井 俊二, 廣田 好和
    1990 年 52 巻 5 号 p. 939-945
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    メリビオース結合セファローズ4Bカラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより, カルシュウム依存性, 非依存性メリビオース結合性ウシ免疫グロブリン (IgMおよびIgG) を分離した. 分離したメリビオース結合性ウシ免疫グロブリンの凝集活性をヒト, ウシ, ヒツジ, ウサギの赤血球を用いて調べた. カルシュウム依存性, 非依存性メリビオース結合性ウシIgMはこれらの赤血球に対して弱い凝集活性を示したが, ウシIgGはこれらの赤血球に対して殆ど凝集活性を示さなかった. 一方, ヒトAB型由来のメリビオース結合性免疫グロブリンはウサギ赤血球に対して強い凝集活性を示し, その赤血球凝集活性はメリビオース, メチルα-D-ガラクトピラノシドにより阻止され, ガラクトースにより非常に弱く阻止されたが, ラクトース, メチルβ-D-ガラクトピラノシドおよび他の単糖では阻止されなかった. しかし, カルシュウム依存性メリビオース結合性ウシIgMの凝集活性はこれらの物質によって阻止されなかった. 以上の成績から, ウシ血清中にもヒトAB型の血清の場合と同様にα-結合したガラクトース残基に対する抗体が存在することおよびウシ, ヒト血清中のメリビオース結合性免疫グロブリンの特異性は異なる可能性が示唆された.
  • 鈴木 淳一, 加藤 憲夫
    1990 年 52 巻 5 号 p. 947-954
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    牛乳中にカゼインを基質として分解するシスティンプロテアーゼが見つかった. このプロテアーゼは2-メルカプトエタノール等の還元剤によって活性化され, モノヨード酢酸によって阻害された. PMSF, カルシウム, EGTAは活性に影響しなかった. プロテアーゼ活性はタンパク質量と反応時間に依存し, pH 6で最大となった. セファクリルS-200を用いたゲル〓過では, 分子量4.5万と15万以上の少なくとも2種類のシスティンプロテアーゼが検出された. このプロテアーゼ活性は乳房炎乳で増加していた. さらにCMT, 体細胞数, 乳清タンパク質量を示標とした乳房炎の病期と活性は良く相関した. 以上の結果はシスティンプロテアーゼが乳房炎の病理発生に関与していることを示唆している.
  • 遠矢 幸伸, 椿本 亮, 堀本 泰介, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 5 号 p. 955-961
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ネコカリキウイルス (FCV) F4株の培養上清をショ糖密度勾配遠心で分画したところ, 完全粒子に加えて沈降定数の小さな非感染性のサブユニット粒子が多量に存在することが, ウサギ免疫血清を用いた補体結合 (CF) 試験により確認された. サブユニット粒子は, 完全粒子と同じく主に65K蛋白から構成されていることがSDS-PAGEとイムノブロット分析により示された. さらに完全粒子を超遠心により沈澱させた上清抗原からイオン交換クロマトグラフィーとショ糖密度勾配遠心を組み合わせて, サブユニット粒子の精製を試みた. 精製サブユニット粒子と完全粒子各々を構成する65K蛋白上に同一の中和エピトープが, 中和モノクローナル抗体を用いたイムノブロットにより検出された. 中和試験でF4株と区別されるF14株に対するウサギ免疫血清を用いたCF試験において, 精製サブユニット粒子は完全粒子より高い共通抗原性を示し, FCV株間に認められる共通抗原が主にサブユニット粒子上に存在することが推定された.
  • 清水 晃, 河野 潤一, 藤浪 哲也, 尾崎 潤一郎, 木村 重, 杉原 一三
    1990 年 52 巻 5 号 p. 963-968
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1985年10月及び1987年5月に, 1と畜場に搬入されたウシ161頭の扁桃からブドウ球菌の分離を試みるとともに, 分離菌のファージ型について調べた. 121例 (75.2%) からブドウ球菌が分離された. 分離菌は計15菌種で, うち10菌種はノボビオシン感受性のものであった. 最も分離頻度の高かった菌種はS. simulans79.3%, ついでS. aureus20.7%, S. chromogenes10.7%, S. epidermidis8.3%の順であり, その他11菌種では0.8%~5.8%の割合で分離された. 同定不能株は26例 (21.5%) から分離された. 62例 (51.2%) の同一扁桃からは2~5種類のブドウ球菌が同時に分離され, 他の59例 (48.8%) では1菌種のみが生息していた. 菌種の組み合わせで最も多くみられたのはS. simulansと他菌種 (1~4菌種) のもので, 約41%を占めた. 分離菌種の主要ファージ型は, S. aureusでは119と116であり, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌ではPh5/Ph9/Ph10/Ph12/Ph13/U4/U14/U16/U20/U46であった. 以上の成績から, ウシの扁桃にはブドウ球菌が高率に保菌されていること, またその大多数はノボビオシン感受性の菌種であることが明らかにされた.
  • 五十嵐 郁男, 本田 龍介, 嶋田 照雄, 宮原 和郎, 桜井 治久, 斎藤 篤志, 鈴木 直義
    1990 年 52 巻 5 号 p. 969-977
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    8週令, 雄, BALB/cマウスに2週間隔で2回, TLAを背部皮下に投与後, 脾臓, 肝臓および末梢血液中のsIg, Thy- 1, 2, Lyt- 1, 2, Lyt- 2, 2およびAsialo GM1陽性細胞数を測定した. TLA感作マウスの細胞数は, それぞれTLA非投与群マウスに比較して2-4倍に増加した. これらのTLA感作および非感作群マウスにBabesia rodhaini感染赤血球 (1 x102) を接種すると, TLA感作マウス10例中4例が生存したが, 非感作対照マウスは接種後14日までに全例死亡した. TLA感作ヌードマウスでは, TLA非感作ヌードマウスと同様に接種後12日までに全例死亡した. Babesia接種後10日目の両群マウスの胸腺細胞数は両群共に接種前に比較して約80%減少した. 一方, Babesia接種10日目の脾臓, 肝臓および血液中のBおよびTリンパ球数とNK細胞数は両群マウス共に増加したが, その増加の度合はTLA感作マウスにおいて著明であった. 両群マウスの脾臓細胞をTLAと6日間in vitroで培養した. それをEffector細胞として, 標的細胞 (P-815及びYAC-1腫瘍細胞) に対する細胞障害性試験を試みたところ, TLA感作脾臓細胞が強く両標的細胞を破壊した.
  • 野村 紘一, 川添 耕太郎, 島田 保昭
    1990 年 52 巻 5 号 p. 979-983
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    8頭の雑種成犬を用いて, 着床期に相当する黄体期の非妊娠子宮内膜について, キルシュナー鋼線で反間膜縁の子宮内膜を掻爬し, 創傷性刺激を加えたところ, 7頭 (87.5%) に子宮内膜嚢胞性増殖が誘起された. これらの子宮組織は基底腺層を中心とした子宮腺の増殖拡張が著明で, いわゆる"スイスチーズ様内膜像"を呈した.
  • 堀内 基広, 児玉 洋, 見上 彪
    1990 年 52 巻 5 号 p. 985-994
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    マレック病ウイルスCVI-988株 (血清型1) またはHPRS-24株 (血清型2) 感染細胞に対する単クローン性抗体を産生する24クローンの抗体産生ハイブリドーマを作製し, 単クローン性抗体の性状を間接蛍光抗体法, ウイルス中和試験, 及び免疫沈澱法により解析した. 免疫沈澱法により検出される抗原の分子量に基づいて単クローン性抗体を7群に分類し, 得られた抗体を用いてウイルス特異抗原の解析を行った. 1群及び2群に分類した抗体によって検出される抗原は, これまでに報告がないものであった. すなわち, 1群に分類した抗体により検出される抗原は, CVI-988株及び血清型2ウイルス感染細胞に存在する分子量29/34kdの糖蛋白質であった. 抗原出現の経時的変化の解析から, 本抗原は後期膜抗原に関連していることが示唆された. また, 2群に分類した抗体により検出される抗原は, 血清型2ウイルス感染細胞に存在する分子量37kd, 33kd (SB-1株では34kd) 及び31kdのポリペプチドであった. 本抗原はウイルス感染後早期から感染細胞に出現することから, 初期抗原に関連していることが示唆された. なお, 他の5群に分類した抗体は, 以前に報告があるウイルス特異抗原と類似したものと反応する抗体, 或いは抗体により検出される抗原が十分に解析されなかったものである.
  • 金子 秀人, 早崎 峯夫, 大石 勇
    1990 年 52 巻 5 号 p. 995-1000
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫 (Dirofilaria immitis) 成虫をin vitro培養し, 回収した排泄・分泌 (excretory-secretory, ES) 抗原の免疫生化学的性状をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDS-PAGE) とImmunoblotting法により分析した. SDS-PAGE終了後, Coomassie blue染色と銀染色によりES抗原の蛋白分画について検討した結果, 雄成虫ES抗原 (MTS) では16種類, 雌成虫ES抗原 (F-ES) では21種類の蛋白分画が検出された. 次に, Immunoblotting法により抗原性を有する分画について検討した結果, ミクロフィラリア陽性犬プール血清はM-ES中の7分画とF-ES中の10分画を検出し, M-ES及びF-ESの分子量14Kdから32Kdの比較的低い分子量の分画と強く反応した. また, occult感染犬プール血清は, M-ES中の3分画とF-ES中の10分画を検出し, F-ESの53Kdから136Kdの比較的高い分子量の分画と強く反応した. これらの両血清にて検出された分画のうち分子量14, 18, 21, 22, 29及び32Kdの分画はM-ESとF-ESに共通して見られた. 39及び44Kdの分画はM-ESのみに見られた. 20, 38, 43, 53, 63, 90, 110, 125及び136Kdの分画はF-ESのみに見られた.
  • 長谷川 貴史, 松岡 清美, 小野 憲一郎, 亘 敏広, 後飯塚 僚, 西村 亮平, 中山 裕之, 後藤 直彰, 長谷川 篤彦
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1001-1006
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    抗グロブリン試験陽性, 抗核抗体陰性でプレドニソロン治療18ヵ月後に皮膚病変を発現した自己免疫性溶血性貧血の犬を精査した. 皮膚および舌の病理組織学的検査では棘融解, 基底膜の浮腫および真皮に単核球の浸潤が認められた. また, 蛍光抗体直接法では細胞間と真皮表皮接合部にIgGとC3の沈着が観察され, 紅斑性天庖瘡のそれと類似するものであった. 以上のように不例においては複数の臓器に対する自己抗体が産出されていることが確認された.
  • Grail A., Harbour D. A.
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1007-1013
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ネコヘルペスウイルス1の標準株B927と過去18年間に野外より分離された50株について, これらのウイルスを感染させたネコ胎子細胞からDNAを抽出し, 種々の制限酵素で処理して分析を行った. 得られたDNA断片は, 寒天ゲル電気泳動やサザンブロットにより調べられた. 標準株B927ウイルスDNAは, 感染宿主細胞染色体DNAから区別して分離するため, パルスフィールド電気泳動により分離精製した後, ハイブリダイゼーション用プローブとしては32Pで標識したものを用いた. ほとんどの制限酵素処理によって, ある不明瞭で不均一なバンドもあるが, 多くの分離株は, 移動度の異なる数本のDNA断片のバンドが認められた. ある少数の分離株でBam HI, Cla I, Sac Iの制限酵素を用いた際に特徴的切断パターンを示した. このことから, ネコヘルペスウイルス1には異なった株が存在するが, このようなウイルス遺伝子の変化は, 特発的に起るものであって, 容易に検出されるものではないことが示唆された.
  • 杉村 誠, 白銀 大二, 阿閉 泰郎, 鈴木 義孝, 大島 一修, 昆 泰寛, 橋本 善春
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1015-1021
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アヒル, モルモット, ネコ, イヌ, ウマ, ブタ, ヤギ, ウシ, ニホンカモシカおよびカニクイザルのリンパ節におけるS-100蛋白陽性細胞を比較した. S-100蛋白は濾胞樹枝状細胞 (FDC), Tingible-body食細胞 (TBM), リンパ洞および実質の食細胞 (MP), 洞内皮細胞 (SEC), Interdigitating reticulum-like cell (IRC) に検出された. 一方, アヒルリンパ節には神経要素を除き, S-100蛋白陽性細胞は検出できなかった. S-100蛋白陽性FDCとTBMは観察した哺乳類リンパ節のすべてに見出されたが, 他の3種細胞の反応性には種差と個体差がみられた. S-100蛋白αサブユニットはFDCとSECに検出された. モルモットにはαサブユニット陽性の巨大樹枝状細胞が辺縁洞傍皮質に出現した. その他, ブタのリンパ球がS-100蛋白陽性であり, またブタとウシの動脈内皮細胞がS-100蛋白βサブユニットに陽性であった.
  • 池 和憲, 久米 勝巳, 川原 一芳, 壇原 宏文
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1023-1027
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1980年から1987年に愛知県, 静岡県, および鹿児島県で大腸菌症 (敗血症) を呈するブロイラー鶏から分離した大腸菌計151菌株について, O群および線毛抗原の血清型別を行なった. O群では125菌株 (82.8%) が計23の血清型に型別されたが, 26菌株 (17.2%) は型別不能であった. これらのうち, O2が35菌株 (23.2%), O78が24菌株 (15.9%) と多数を占めたが, 分離菌株は広い範囲のO血清群に分布していることが示され, O血清群の分布は分離地により異なる傾向を呈した. 一方, 線毛抗原では計109菌株 (17.2%) がType 1もしくはFmsha線毛を有していた (Type 1; 41菌株, Fmsha; 22菌株, 両線毛保有; 46菌株). 全ての供試菌株はK88, K99, 987P, F41, Att25線毛を欠いていた. 有線毛菌株の割合は調べた3地域でほぼ同様であった. Type 1線毛を有する菌株のO血清群は不規則であったが, Fmsha線毛保有菌株の大部分はO2に属することが判明した.
  • 北川 均, 佐々木 栄英, 石原 勝也, 桑原 康人
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1029-1035
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫症caval syndromeの人工モデルを作成する目的で, 犬糸状虫類似のシリコンチューブを実験犬の三尖弁口部および右心房に挿入した. 実験は, 後大静脈から数個の結び目をつくった15~25本のチューブを挿入した6例 (結束群), 結び目を作らずそのまま頸静脈より7~12本を挿入した5例 (少数群) および25~35本を挿入した5例 (多数群) の実験犬で実施した. 挿入したチューブは右心房にとどまり, その一部は三尖弁口部に陥入していた. チューブ挿入後, 収縮期心内雑音, 頸静脈陽性拍動, 貧血等の本症に特徴的な症状がほとんどの例で観察されたが, その程度は多数群が最も重度であった. 尿潜血反応は結束群と多数群の多くの例および少数群の1例で陽性となった. 腹水は, 結束群の1例で挿入6週後に, 少数群の1例と多数群の3例で7日後に認められた.
  • 杉井 俊二
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1037-1042
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    コレラ毒素のヒト赤血球に対する結合能と凝集能を比較するため, 125I-標識コレラ毒素を用いた結合阻止試験および非標識コレラ毒素を用いた赤血球凝集阻止試験を行った. その結果, 125I-標識コレラ毒素のヒトB型赤血球に対する結合はガングリオシドGM1により効率よく阻止されたが, 単糖, ニ糖, 多糖, 糖蛋白などでは阻止されなかった. 一方, ヒトB型赤血球に対するコレラ毒素の凝集能は単糖, ニ糖, 糖蛋白により阻止されたが, ガングリオシドGM1による阻止は認められなかった. 以上の成績から, ヒトB型赤血球上の主なコレラ毒素結合物質はガングリオシドGM1であること, またコレラ毒素と赤血球上のガングリオシドGM1との結合のみでは凝集活性の発現が見られないことが示唆された.
  • 小坂 俊文, 小出 英興, 桑原 正人, 田中 茂男
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1043-1048
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬より得た末梢単核リンパ球 (PBL) と標的細胞 (犬白血病リンパ腫由来CL-1細胞株) と混合培養した場合のルミノール依存性化学発光により活性酸素が産生されることが認められた. 産生される活性酸素量はPBLと標的細胞の比 (E/T比) を増すにつれ増加した. 活性酸素に対する各種ラジカル・スカベンジャーの影響を調べたところ, Benzoic acidとn-propyl gallate (水酸基ラジカルスカベンジャー) では細胞障害性の低下が認められたが, SO及びtiron (スーパーオキサイドスカベンジャー) では細胞障害性の低下は認められなかった. 以上の結果よりPBL介在性細胞障害性はhydroxyl radicalの産生と密接な関係があると考えられる.
  • 太田 千佳子, 星 敦夫, 後藤 仁, 角田 修男, 田上 正明, 秋田 博章
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1049-1056
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    軽種馬牧場の3地区の育成場で, 1987年3月から7月にかけて集団発生した幼駒下痢症についてロタウイルスとの関係を検討した. 第一地区では下痢の発生率が高いのにウイルス分離率が低く, ウイルス陰性馬にも体温の上昇がみられ, さらに発症馬の日齢が生後間もないことなどから, 本症発生にロタウイルス以外の誘因も関与したものと考えられた. 第2, 第3地区では, ウイルス分離率が高く, しかも本症発生のピークが6~7月に集中したことから, ロタウイルスを主因とする下痢症と認められた. この両地区では発症子馬の平均日齢が63~65日齢と比較的一定した日齢でみられ, この時期の子馬におけるロタウイルスに対する母子免疫の低下と本症発現との関係が推察された. ウイルスRNAの電気泳動像では, 分離51株中49株が同一の泳動像であったが, 第一地区での分離ウイルス2株のみが異なる泳動像を示した. この主流を占めた49株のうち各地区を代表する3株のウイルスは, 既知の1~6型抗血清との交差中和試験で3型と同定されたが, これまでの3型馬ロタウイルスとは低い交差反応しか示さず, 同一血清型の馬ロタウイルスの間にも抗原的多様性のあることが示唆された.
  • 小島 義夫
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1057-1062
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    繁殖歴の明らかな8頭の豚精巣を放血前に取材し, 固定, 包埋後, 超薄切片にウランと鉛の染色をして電顕で観察した. 豚ではSSBは頭帽期から成熟期の間 (頭部で後部核鞘ができ, 外套微小管束が消失し始め, 頭帽の赤道帯が未完成の時期) に, 中片部末端部に形成された. このSSB全体の大きさは平均0.93×0.53μm (n=25) となり, 平均φ30nm (n=62) の微小管が2~4層に重層して尾部の軸線維束を囲繞した紡ぎ糸巻状構造を示した. SSBの出現時期は終輪の前躯体が急速に下降し, 尾部の伸展によって形成された溝がそれをとり巻いて下垂していた細胞質の袖をたくし上げられることによって消失していく過程に当り, 既に尾部の線維鞘は形成されている. SSBの短期間の出現と消失は終輪の定位 (次いでミトコンドリア鞘の形成) と頭帽の赤道帯形成の次期へと引き継がれる. SSBの機能については, 尾部線維鞘の形成よりも, むしろ中片部の形成に働いているものと考えられる. 即ち, 形態学的所見から見て, 中片部と尾部主部を区切る終輪の定位と成熟期に起こる中片部形成に関与している可能性がある. SSBは多分, 哺乳動物の精子形成過程に共通のものであろう.
  • 今井 壮一, 桂 栄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1063-1067
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    モンゴルに産する5頭のモウコガゼル (Procapra gutturosa) のルーメン内繊毛虫相について検索した結果, Entodinium属に属する尾棘を有しない4種, E. convexum, E. dubardi, E. nanellumおよびE. exiguumが検出された. これらのうち, E. convexumは, はじめアメリカ合衆国のミュールジカ (Odocoileus hemionus) から報告されたもので, 本報告が2番目の記載であるが, 今回の調査では全ての宿主から比較的高い構成比で認められ, 1頭では全て本種であった. このような繊毛虫構成は, 反芻家畜に比べて著しく単純なものであるが, 繊毛虫密度はむしろ家畜より高く, 平均24.8×104/mlを示した.
  • 今井 壮一, 桂 栄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1069-1075
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    モンゴルおよびステップに生息するフタコブラクダの胃内繊毛虫相を検索した結果, 7属14種5型の繊毛虫が検出された. これらのうち, Entodinium属の1種はE. okoppensis Ito et Imaiの新型と判断されたので, E. okoppensis f. cameliとして記載した. また, 本種を含む6種はラクダの胃内からは初めて検出されたものであり, 一方, 従来ヒトコブラクダにおいてラクダ固有種であると報告されている5種のうちの3種が認められた. 繊毛虫の属別構成比は, 宿主個体ならびに胃内の部位により異なっていたが, ほとんどの場合Entodinium属繊毛虫が優勢であった. 第一胃内における繊毛虫密度は平均2.1×105/ml, 平均出現繊毛虫種数は7.3種であった.
  • 鈴木 實, 七條 喜一郎, 竹内 崇, 斎藤 俊之
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1077-1087
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    大脳皮質壊死症 (Cerebrocortical necrosis, CCN) の子ウシ3頭 (1, 2, 14週齢) について脳波 (Electroencephalogram, EEG) 測定を行い, 病変とEEGの異常波形との関連について検討した. 臨床症状として旋回運動, 起立不能, 痙攣, 後弓反張等の症状が2例に認められたが, 1例は神経症状を呈していなかった. 覚醒状態におけるEEG所見は, 3例中2例で50~160μV, 1~4Hzの高振幅徐波 (High amplitude slow activity, HASA) が出現し, そのうちの1例では左右半球間の波形不対称が顕著であった. また, 1例では全般性に振幅の低下が著明であり, 一部の導出において平坦化に近い波形が観察された. 程度による違いはあるが, 3例に共通して速波の減少が認められた. これらの所見は, HASAの出現と速波の減少が特徴的であった. 病理組織検索の結果, 全例にCCNが認められ, EEGの異常波形の程度は病変の範囲および程度とほぼ一致していた. また, 神経症状を呈していない子ウシにおいても異常波形が認められたことから, CCNの早期の診断補助検査としてEEG測定は有効であると考えられた.
  • 平原 正, 安原 寿雄, 松井 修, 福山 新一, 山中 盛正, 出水田 昭弘, 吉木 研一, 児玉 和夫, 中井 正久, 佐々木 文存
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1089-1091
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    豚アデノウイルスの豚精巣培養細胞での増殖性について調べた結果, 2型のA47株と3型の6618株は明瞭な細胞変性効果を伴って増殖した. しかし, 1型の25R株, 4型のMunchen株および新分離株のHNF61とHNF70株は増殖しなかった. 従って, 豚アデノウイルスには牛アデノウイルスと同様, 腎細胞増殖型と精巣細胞増殖型の存在が明らかにされた. しかし, その増殖性は血清型に共通した性質か否かは, 更に検討する必要がある.
  • 岡崎 克則, 中津 清隆, 本多 英一, 熊谷 哲夫
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1093-1095
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    C57BL乳のみマウス脳内にBHV-1 Los Angeles株を接種したところ, 神経症状を示し3~11日で死亡した. ウイルスは脳及び肺から回収され, また蛍光抗体染色により脳内に特異蛍光を認めた. 以上の成績からBHV-1はC57BLマウス脳内で増殖し, 致死的感染を引き起こすものと考えられた.
  • 藤田 道郎, 織間 博光, 清水 幹子, 本好 茂一, 片山 正夫, 宮坂 勝之
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1097-1098
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    麻酔下の猫に対し, 陽圧で最大吸気を行った後, 陰圧を用いて努力呼気と類似である強制呼気を行なわせ, その際の流量と容量の曲線から強制肺活量 (FVC) を求めた. その結果, FVCと体重との間には正の相関を認めたが性差は認められなかった.
  • 平山 紀夫, Raharjo Jusa Enuh, Aeny Rochman Noor Mastur, 榊 馨, 緒方 宗雄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1099-1101
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    インドネシアで使用されている狂犬病ワクチンが有効か否かを調べるために, ワクチン接種犬の中和抗体保有状況を調査した. 93例中46例 (49%) が4倍以上の中和抗体価を保有しており, その幾何平均値 (GM) は8.5であった. ワクチン接種後4ヶ月以上の犬では抗体保有率, GMとも低値となり, 免疫持続が悪いことがうかがわれ, 狂犬病の撲滅のためには, 年1回のワクチン接種では不十分と思われた.
  • 田中 俊光, 後藤 鋼星, 佐藤 良一, 稲津 水穂, 小林 孝好
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1103-1105
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    10週齢の若齢Jcl : Wistar系雄ラットの1例に自然発生した髄膜腫を病理組織学的に検索した. 本腫瘍は, 軟膜相当部に発生し, 大小2型に区別される未分化腫瘍細胞から構成され, 脳実質への浸潤増殖はみられず, 電顕的に豊富なdesmosomeおよび少量のフィラメント様構造およびinterdigitationが認められた. 上述した結果および免疫組織化学的検索より, 本腫瘍をsyncytial meningiomaと診断した.
  • 岡本 宗裕, 神谷 正男, 奥 祐三郎, 大林 正士, 松崎 哲也
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1107-1108
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ナキウサギにHaemonchus contortusを4,000匹経口投与し, 15, 17, 18, 20日後に剖検したところ, 17日後に剖検した個体から7匹の4期幼虫が回収されたのみであった. 回収虫体は体内に棒状の結晶構造をもち, 排除される直前のものと思われた.
  • 坂本 研一
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1109-1111
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    EHV HH-1株およびPRV YS-81株に対する本薬剤の効果はID50値で, それぞれ約40μg/ml, 0.8μg/mlであり, PRV YS-81株には有効であったが, EHV HH-1には, ほとんど有効性を示さなかった. マウスを用いた動物実験においては, PRV YS-81株に対してある程度の有効性を示した.
  • 高橋 清人, 高橋 直治, 山本 昭義, 植村 興, 妹背 醇
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1113-1115
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    3農場の哺乳豚99頭の下痢便および64頭の正常便から987P保有大腸菌の分離を試みた. 寒天培地培養菌を用いたスライド凝集反応においては, 15頭から分離された19株に987Pの保有が認められ, 半合成液体培地培養菌を用いた場合には, 21頭から分離された39株に認められた. 987P保有大腸菌が分離された子豚の数は, K88保有菌が分離された子豚とほぼ同数となり, 987Pの検出には半合成液体培地培養菌を用いるのが有用であった.
  • 廣田 好和, 小泉 伸夫, 松原 豊, 今村 憲吉, 福田 勝洋
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1117-1121
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    メキシカン・ヘアレスドッグ由来ヘアレス犬の羊赤血球ならびにBrucella abortusに対する抗体産生能およびヒト・ガンマーグロブリン (HGG) に対する遅延型過敏 (DTH) 反応誘導能は, 有毛対照犬に比して低下する傾向が認められた. 特に, 1.4歳齢以上のヘアレス犬ではIgGクラスの抗体産生およびHGGに対するDTH反応はいずれも低かった. 組織学的検査では, 検索したヘアレス犬の全例の胸腺において, 萎縮, 脂肪化, リンパ球の減少, 上皮様組織の異形成が観察された. 脾臓においては, 白脾髄に軽度の萎縮や胚中心の低形成を示す例も認められた. 以上の結果から, ヘアレス犬の免疫学的機能の低下は発育過程に起こる胸腺の退行性変化に関連していることが示唆された.
  • 北川 均, 佐々木 栄英, 石原 勝也, 桑原 康人
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1123-1125
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫類似のシリコンチューブを右心房および三尖弁口部に挿入して作成した犬糸状虫症caval syndromeの人工モデルについて臨床検査を実施した. チューブ挿入後, RBCは徐々に減少し, 網状赤血球数, MCVおよび血漿ヘモグロビン濃度は上昇した. 尿ヘモグロビンも多くの例で検出され, 多数のチューブを挿入した1例はコーヒー色の明瞭な血色素尿を排泄した. 血清GPT活性とBUNは散発的に上昇した.
  • 岡崎 和子, 熊谷 哲夫, 本多 英一, 岡崎 党則
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1127-1130
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    EHV-1感染馬血清及び中和単クローン性抗体が133kDa/90kDa/63kDa糖蛋白複合体を免疫沈降したことから, 本複合体が主要抗原の1つと考えられた. EHV-4においては, 先の単クローン性抗体は127kDa/82kDa/68kDa糖蛋白複合体と反応した. 4株のEHV-1及び2株のEHV-4を調べたところ, これらの糖蛋白複合体の分子量は型特異的と考えられた.
  • 小沼 操, 小川 ゆう子, 川上 善三
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1131-1133
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    シンシチウム法によるウシ免疫不全様ウイルス (BIV) の検出について検討した. BIV感染イヌ胸腺株化細胞 (BIV-cf2Th) とウシ胎子脾細胞を混合培養しシンシチウム法を実施したところ出現シンシチウム数は培養3-4日でピークとなり, 培養液中にポリブレン (2-5μg/ml) を添加すると増加した. 各種細胞を用いてシンシチウム法を実施したところネコ肺 (F81) 株化細胞, ウシ胎子脾および腎細胞で多くのシンシチウムが出現した.
  • 李 且秀, 朴 清圭, 申 台均, 趙 〓〓, 鄭 宗植
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1135-1137
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    韓国において1985年から発生しているウサギの急性致死性疾病について検索した. 罹患例の臨床所見, 罹病率と致死率病理学的所見, 原因ウイルスおよび再現試験などから本疾病は1984年度から中国に発生し, ウサギのウイルス出血症あるいはウイルス出血性肺炎と呼ばれている疾病と基本的には同じであった. しかし検索例の病変が急性肝炎であったことから著者らは, 本疾病をウサギのウイルス肝炎と命名することを提唱した.
  • 和田 直己
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1139-1141
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    大腿の運動に関与する内閉鎮筋, 双子筋, 中殿筋, 梨状筋, 尾骨大腿筋を支配する運動ニューロンに関してHRP法を用いて解剖学的検討を行った. これらの筋を支配する運動ニューロンは第6腰髄後半から第1仙髄にかけて分布し, その脊髄横断面上での位置は支配する筋によって異なっていた. 運動ニューロンの直径は約30μmであった.
  • 中村 美穂, 伊藤 茂男, 大賀 皓
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1143-1145
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    慢性動脈カニューレを挿入したモルモットから経時的に採血し, 輸送時のストレスの1つである振動ストレスによる血中noradrenaline (NA), adrenaline (Adr), cortisol及びadrenocorticotropic hormone (ACTH) の変化を調べた. 20分間の振動ストレス負荷により, 負荷時間に依存して血中NA, cortisol及びACTHが増加したが, Adrは増加しなかった. 振動ストレスでは, 副腎髄質よりも交感神経系と下垂体-副腎皮質系が活性化されることが示唆された.
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