可視化情報学会誌
Online ISSN : 1884-037X
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32 巻, 124 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 森田 潔, 永井 大樹
    2012 年 32 巻 124 号 p. 2
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
  • ―スキージャンプを例として―
    瀬尾 和哉
    2012 年 32 巻 124 号 p. 3-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    本解説では,スポーツ流体の研究例として,スキージャンプの風洞実験と最適化計算例を紹介する.この紹介を通して,空気力測定は,それ以降の全てに影響を与える為,最重要であることを述べる.その上で,領域横断的なスポーツ流体のようなテーマの場合,単一の目的を強調するのではなく,調和,バランス,総合力が重要で,様々な目的をコンカレント(並行、同時)に取り扱わなければならない.スポーツでは,研究対象に人間が含まれる以上,感性や心理戦,戦略等にも配慮する必要がある.例えば,きれい,気持ちいい,といった感性に関する量をシミュレーション可能な物理量に変換する点が研究者の腕の見せ所である.1つ1つの対象に対して,丁寧な観察と洞察力によって,これらの変換作業を行うしかない,というのが現状である.
  • 高木 通俊
    2012 年 32 巻 124 号 p. 9-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    実車の実験に用いる風洞について述べている。まず、最高風速、測定部寸法、測定部形式、壁干渉という主要性能を説明する。特にアダプティブウオール測定部の効果について述べる。次に、5ベルト式ムービングベルトをいくつかの例を示しながら述べる。これはもっとも優れたグラウンドシミュレーションであり、また実験上、自動車に適している。最後に、低騒音風洞と従来風洞から低騒音型への転換について説明している。顧客満足度において風音低減は重要だが、それを実現するために手騒音風洞は必須になっている。
  • ―精度と効率を極める技術―
    中川 雅樹, 原本 誉剛, 南方 利城
    2012 年 32 巻 124 号 p. 14-19
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    F1の風洞開発では,ほぼ2週間おきに開催されるレースカレンダーに合わせた,サイクルの早い開発体制が敷かれ,各チームが熾烈な競争を繰り広げている.この競争を勝ち進むためには,計測時間の大幅なロスは致命的である.このため,1000分の1の空力係数の精度と再現性を保ちながら,同時に開発効率向上に対する取り組みも重要となる.本稿では,精度と開発効率を両立するために導入した,最先端の風洞計測装置や,詳細車両模型の特徴について解説し,流れの実現象把握のため他チームに先駆けて導入した常設 PIV装置,また実車の空力性能との相関を向上させるために,リアリティを極限まで追求するために取り組んだ実験条件の改善など,現在のF1における風洞実験技術の最新動向について,Toyota Motorsport GmbHにおけるF1空力開発の変遷を辿りながら解説する.
  • ―我が国の航空宇宙機開発を支える基幹設備―
    渡辺 重哉
    2012 年 32 巻 124 号 p. 20-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    ライト兄弟による人類初の動力有人飛行の成功以来、航空機やロケットの開発においては常に風洞が用いられ、その性能向上を支えてきた。我が国においては、航空機の空力特性の最終確認のための大型風洞が宇宙航空研究開発機構(JAXA)に集中して整備され、戦後開発されたほぼすべての航空機・宇宙機はこれらの大型風洞群での試験を経て空へと飛び立って行った。試験速度域は、低速から極超音速までの全速度域をカバーし、現在でもその役割を担い続けている。本稿では、JAXA大型風洞群の概要を紹介するとともに、近年の試験・計測技術の開発やデータ精度及び生産性の向上の取り組みについて述べる。また、航空宇宙機開発になくてはならない設計ツールとして成長してきた数値流体シミュレーション技術(CFD: Computational Fluid Dynamics)との連携についても合わせて紹介する。
  • 井門 敦志
    2012 年 32 巻 124 号 p. 26-31
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
      鉄道車両の高速化や環境意識の高まりにより,空力音や空気抵抗低減を始めとする空力現象の解明が大きな課題となっている.鉄道総合技術研究所では,鉄道車両の空力現象を研究するために,1996年に滋賀県米原市に大型低騒音風洞(米原風洞)を建設した.米原風洞は,鉄道用風洞として世界トップクラスの規模と性能を誇り,以下のような特徴を持っている.
    ・空力音の風洞実験を行うために,風洞の暗騒音が十分低い.
    ・測定部が十分長いので,複数編成の鉄道車両模型の実験が可能であり,また,測定部の上流域にスパイアやラフネスブロック等を設置し自然風を模擬した風洞実験が可能である.
    ・地面付近の流れを模擬するために,境界層吸込装置およびムービングベルトが装備されている.
    米原風洞は,鉄道分野以外の分野(自動車,航空機,建築物等)でも活用されている.鉄道総研では,今後とも米原風洞を活用し,空気の流れに関わる研究開発を進めてゆく予定である.
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