可視化情報学会誌
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38 巻, 149 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集記事
  • 桑野 修, 市原 美恵
    2018 年 38 巻 149 号 p. 1
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
  • 森 俊哉
    2018 年 38 巻 149 号 p. 2-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    火山ガスは,多くの火山現象に鍵となる役割を果たしているため,火山ガスの化学組成や放出率を測定することは,火山活動理解の観点から重要である.従来,火山ガスの放出率観測では紫外分光計を用いて二酸化硫黄が測定されてきたが,現在,火山噴煙の挙動把握や高時間分解能で放出率を観測するために,二酸化硫黄の可視化測定が行われている.火山噴煙中の二酸化硫黄の可視化には,二酸化硫黄の紫外線吸収帯に重なるバンドパスフィルターと吸収帯から外れたバンドパスフィルターを,それぞれ紫外光に感度のあるCCDカメラと組み合わせた装置を使用する.この装置を用いた噴煙中二酸化硫黄の可視化手法により,火山ガス観測と地球物理学的観測を組み合わせた議論が可能になるなど,火山ガス観測は大きく進展した.本稿は,測定法の原理や,火山ガス観測での応用例を紹介する.

  • 松本 聡, 飯尾 能久, 酒井 慎一, 加藤 愛太郎
    2018 年 38 巻 149 号 p. 7-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    地震・火山活動は主に、地球のもっとも外側にある”地殻“において発生する。このうち、2016年熊本地震、2000年鳥取県西部地震などの日本列島内陸部で起こる”内陸地震“は我々が生活している場所直下で発生することから、甚大な被害を及ぼす場合がある。地震の断層をとりまく地域に働く力、構造、物性などによって地震の発生が左右されるが、その詳細がわかっていない。地殻の活動に関する情報を領域全体でとらえることができるように、われわれはたくさんのセンサーを地震発生域に設置して観測を始めた。多点で地殻活動を捉えることにより、

    ・断層を取り巻く領域の力の場を推定し、断層の状態を検出する。

    ・震源付近の地震波速度構造を推定する。

    ・観測網に伝播する波動場を捉え、地震波散乱体構造を求める。

    以上が可能になると考えられる。。これらの情報を可視化することにより従来になかった地殻活動の描像が可能になることが期待できる。

  • ―断層破砕帯のミューオグラフィー―
    山崎 勝也, 武多 昭道, 小村 健太朗
    2018 年 38 巻 149 号 p. 11-15
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

     宇宙線ミューオンを用いた内部構造透視技術“ミューオグラフィー”は近年著しく進歩しており,火山の内部構造透視などの結果が注目を集めている.この技術はその性質上,観測装置よりも上方にある構造物にしか適用出来ず,これまでの多くの研究は地上に隆起した山体などの構造物を観測対象としてきた.我々はこの技術を地下の構造物,特に地震断層に対して適用するための観測装置を開発し,観測を実施した.

     今回我々は掘削調査などで使用されたボアホール内に設置可能な観測装置を開発し,岐阜県飛騨市神岡町跡津川にある富山県南部から岐阜県北部にかけて東北東-西南西方向に分布する跡津川断層帯の一部にあるボアホールを観測地として深さ100 mまでの断層の構造調査を行った.その結果,ボアホール周辺に存在する断層破砕帯による平均密度変化の兆候を観測することに成功した.今後,観測深度を300 mまで延長し,より詳細な調査を実施する.

  • 吉村 俊平
    2018 年 38 巻 149 号 p. 16-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    揮発性成分に富むマグマは,上昇によって必然的に発泡する.閉鎖系を維持したまま上昇を続けると,ガス分率が急上昇し,火砕物と高温ガスの混合物ジェットとして爆発的に噴出する.一方,同じマグマでも,穏やか噴火し,発泡していない溶岩を流出することも多い.そのような噴火では,マグマ上昇中に発生したガスが系外へ抜ける開放系脱ガスが効率的に働いていると考えられているが,溶岩中にはガスの通路の痕跡が残されていないため,一体ガスがどのような仕組みで系外へ流れてゆくのか,ほとんど理解されていない.本論文では,そのようなガス通路を探索した研究を概観し,如何にして通路を可視化し,詳細な理解を得てゆくかという戦略を考える.

  • ―断層高速摩擦の素過程解明を目指して―
    桑野 修
    2018 年 38 巻 149 号 p. 21-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

     数mm/s以上の滑り速度では、様々な岩石の摩擦が大幅に下がることが知られているが、具体的なメカニズムは百家争鳴である。普遍的におきているであろうメカニズムの一つは、摩擦面の真実接触部の昇温である。巨視的な法線応力にかかわらず、真実接触部での応力は常に鉱物硬度(数GPa)レベルであり、面のすれ違いでそのコンタクトが消えるまでの一瞬の間だけFlash Heatingするはずである。摩擦発熱による温度の実測を試みた論文はいくつもあるが、輝度の絶対値を用いる通常のサーモグラフィーは、物質の放射率の影響や時空間分解能不足による放射輝度低下の影響があり、真実接触部での瞬間的昇温の測定には適さない。そこで我々は、高速せん断される摩擦面の発光を高速カメラで撮影し、二色温度計の原理を適用することで真実接触部の温度を推定することに成功した。本手法により、岩石の高速摩擦を支配する局所発熱する接触点の強度と物理素過程の解明を目指している。

  • 市原 美恵, 亀田 正治
    2018 年 38 巻 149 号 p. 25-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    モデル実験は,直接観察できない火山地下の現象を可視化するツールである.我々は,爆発的噴火の際にマグマの中で発生すると考えられている「破砕波」の実像を求め,衝撃波管を用いた破砕実験を行ってきた.気泡を含むシリコン粘弾性パテや火山岩を急減圧することによって,破砕波のイメージに合致する現象を実現した.しかし,これらの実験結果をマグマ破砕のモデリングに応用するには2つの問題があった.破砕挙動が試料と管の初期接着状態に大きく依存すること,破砕現象において本質的に重要な粘弾性特性が,流動状態にあるマグマとシリコンパテや固体岩石試料の間で大きく異なることである.そこで,発泡水あめを用いた実験をデザインした.その結果,遅延破砕という新しい現象を発見し,実際の火山噴火で破砕の速度や継続時間を決める可能性を指摘した.さらに,大型放射光施設で破砕実験を行い,試料内部で生じている変形過程の解明を目指している.

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