以上は当社における真空鋳造によるマリアブル現場実験の経験を通じて、真空処理による生型の鋳物製造についての極く一端を推察したものである。
熔湯の現場的な真空処理という観点からすれば真空度、脱ガス等の点では真空鋳造本来の目的は充分に達成された。しかしながらマリアブル熔湯は、黒鉛化という現象を伴い、黒鉛化時間が増加するということは不利な点である。また今回は生型に鋳込んだ結果であるが、外引けが増大しているということから考え合せて、今直ちにマリアブルに本処理を施すことは早急と考えられる。結局設備費や処理費を支払つて尚且押湯、シエリンカー等の減少、不良の減少、黒鉛化時間の短縮等で利益が得られなければならないからである。
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