水資源・環境研究
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17 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 能登 勇二, 石本 友子
    2004 年 17 巻 p. 1-14
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    積雪地方の住民を対象にアンケート調査を行い、年齢層による住民の雪に対する意識の違い、特に若年層における年齢による意識の違いについて検討した。また、雪のイメージに関する設問結果をもとに雪の総合的な評価指標を主成分分析により導いた。その結果、住民の雪に対する意識は10歳代から20歳代にかけて急激に変化していき、その後一定の意識が形成されていく傾向があることなどを明らかにした。雪の総合的評価指標として「雪に対する好感度」と「雪の人間生活との関わりから連想される正負のイメージ」を導き、雪に対する評価指標としての実用性について検討した。
  • 坪井 塑太郎, 谷口 智雅, 宮岡 邦任, 朱 元曽
    2004 年 17 巻 p. 15-22
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    本研究は、中国上海市の外灘地区を事例として、ウォーターフロント開発における歴史的展開過程を踏まえ、近年「観光地」としての機能を担う本地区への中国人来訪者に対するアンケート調査から来訪状況、景観評価に関する特徴を検討した。本地区における開港当初の港湾機能は、近代に入り貨物量の増大や輸送体系の変化により徐々にその機能を喪失したが、黄浦江西岸の歴史的建築物に対しては市政府による保存条例が施行され、また東岸の浦東地区には東方明珠塔を中心とする新景観が登場する複合的なウォーターフロントを形成している。また、中国人来訪者の景観評価からは、外灘の象徴的景観として「浦東新区景観」を挙げる傾向が確認されたが、20~30歳代の若年層において「歴史的建築景観」を上位に挙げる傾向もみられた。近年の中国の経済発展を背景として本地区への活発な観光来訪および行動がみられ、その傾向はより増大するものと考えられるが、今後は、ウォーターフロントの主体をなす水体(黄浦江)の水質管理の重要性を考慮した、船舶からの廃液、廃油等に対する規制などの抜本的改善もあわせて示唆された。
  • 黒川 哲治, 西澤 栄一郎
    2004 年 17 巻 p. 23-34
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    本稿は、全国の自治体の中で外来魚対策に積極的な滋賀県を事例に、ブラックバス等の外来魚による琵琶湖の在来魚への影響や生物多様性の損失を、CVM(仮想評価法)を用いて金銭的に評価するものである。分析の結果、滋賀県内の1世帯あたりの外来魚駆除事業に対する支払意思額(WTP)は平均2,969円となった。したがって、滋賀県全世帯の総支払意思額(TWTP)は14億675.7万円となり、2003年度における滋賀県外来魚対策事業費4億1798.1万円を上回ることが判明した。また、アンケート上で想定した仮想的な事業を実施した場合、その事業によって琵琶湖の生態系がどれほど回復するか、県民が感じる主観的な回復可能性が支払意思額の決定に大きく影響していることも明らかとなった。
  • 川内 眷三
    2004 年 17 巻 p. 35-52
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    伝仁徳天皇陵の周濠池である大仙陵池を事例に、狭山池用水の導水につとめた歴史的経緯をふまえ、「狭山除川並大仙陵掛溝絵図」の現況復原によって、深刻な状況におかれた周濠池の水利事情をとらえる。これをもとに、堺市が推進する「内川水系水環境改善基本計画」、大阪府が実施主体となって施工された「狭山池治水ダム化事業」の水環境再生施策の構図について、大仙陵池の浄水化に対する取り組みと関連させ、その問題点を明らかにする。さらに現況調査から諸課題を析出するなかで、大仙陵池と狭山池の水利空間のネットワーク化から、将来にわたって相乗効果が期待される動態的な水環境再生施策のあり方を考える。併せ、現実の諸問題と対峙し、問題解決への思考・関わりと呼応した、歴史地理学からの地域環境問題に対する視点を検討する。
  • 若菜 博
    2004 年 17 巻 p. 53-62
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    日本における魚附林思想は1600年代初頭にはすでに存在していた。魚附林の背景には当時重要な産業資源(食料、肥料、灯油など)となっていたイワシ漁業育成の問題があった。1623年、佐伯藩初代藩主・毛利高政の御触書に「其浦組中山焼候事、当年より堅無用二候、其子細者山しけらす(繁らず)候へハ、いわし(鰛)寄不申候旨聞届候」との記述がある。毛利高政は1604年にはイワシの重要性を認識していた。1700年代の盛岡藩・村上藩の魚附林はサケ種川制と関連があった。また、1897(明治30)年制定の森林法で保安林として魚附林が設定されたのは江戸中期から明治初期までのサケ漁の振興策との関係があると思われる。近世日本ではイワシは魚肥として内陸部に大量に投入された。サケは海の物質を内陸部に運ぶ「運搬者」でもある。以上のことから本論では、海由来物質の内陸部への移動を図るために、近世日本の魚附林思想が展開したと推定した。
  • 在間 正史
    2004 年 17 巻 p. 63-68
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    岐阜県大垣地域は地下水の豊富な地域であるが、岐阜県長期水需給計画では、工業用水需要量の増加に対して、徳山ダム開発水による工業用水道で供給する計画である。
    1994年3月策定の長期水需給計画では、在来的生活関連型工業が大部分を占める構造が将来も続くものとして、目標年次の2010年には工業用水需要量が634千m3/日に増加すると予測している。しかし、その中心である繊維工業が、産業の衰退という構造変化によって、需要量を減少させている。また、2004年3月発表の新長期水需給計画では、目標年次の2015年の需要量を465千m3/日と予測.している。しかし、これは回収率を38.8%としたためであり、地下水揚水規制によって、現在の回収率35%は70%程度に向上するので、需要量が減少し、既存水源によって供給が可能であり、大幅な余裕がある。徳山ダムを水源とする工業用水道は不要であり、支払い不能債務を生んで一般会計が損害を被ることになる。
  • 槇村 久子
    2004 年 17 巻 p. 69-76
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    地震による火災は、市民の生活と、京都市では特に世界遺産や町屋など木造の伝統的な建造物等に大きな被害を及ぼす。京都市では防災水利構想の中で防災と環境の両面から整備を進めることを述べている。本稿では、京都の都市の独自性から、整備には環境と景観の再生・創造のアプローチが重要であると考え、特に観光客も多い東山区の高台寺周辺、下京区木屋町と高瀬川周辺、二条城周辺の3地域の景観と環境をデザインするための事例調査をした。
  • 平井 拓也
    2004 年 17 巻 p. 77-82
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    古来、日本は永きにわたって井戸や地下水に依存してきた。しかし、高度成長期に入ると、水需要の増勢に拍車がかかり、良好な質及び量を誇った近場の水源に限界が見え、現在ではほとんどの都市が遠隔地の水源に依存している。
    こうした中で、岐阜県の郡上市八幡町では、今もなお、地域住民の労苦によって良好な水環境が維持されており、貴重な生活用水として役立てられている。
    水道が100%普及しているにもかかわらず、水路を利用し、井戸や湧水をフル活用することによって、余計なエネルギーのロスを防ぎ、クローズド・システムの導入によって、これ以上の活用は無理、というところまでの循環利用がなされている。
    折しも、2004年の水資源・環境学会の夏季研究大会においてこの地を訪れる機会を得、現地における伝統的水利用の体験をもとに、現在の都市の水システム及び水道の存在についての考察を行った。
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