1969年の春、琵琶湖で初めて「かび臭」が発生した。「かび臭」は1971年には大阪府水道部(府営水道)が水源とする淀川にまで影響するようになり、府民から「かび臭い」との苦情が寄せ.られるようになった。また、昭和50年代中頃には水道水中のトリハロメタン(THM)が大きく社会問題化した。これらの問題は水道への信頼を失墜させる大きな要因ともなった。
このような背景の下、府営水道は1982年、高度浄水処理技術開発実験を開始した。16年の開発実験を経て、1998年、府営水道はその全量を高度浄水処理水として供給を開始した。府営水道の水道水から「かび臭」は完全に除去されたし、THM濃度は従来処理の3分の1に低減できるようになった。
しかしながら、現時点において、水道水への信頼は必ずしも回復されたとは言い難い状況である。府営水道は水道水の復権を目指して、安全でおいしい水への取組をPRしている。
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