水資源・環境研究
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1987 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 板橋 郁夫
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 森滝 健一郎
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 34-47
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    地理学は"自然と人間との関係"を中心的研究課題とする"環境の科学"たることを自認してきた。では地理学はその伝統を生かして現今の環境問題によく対処しうるであろうか。近代地理学の"本流"をたどってみると,"自然と人間との関係"の把握は,先ず,そこに神の摂理に導かれた調和をみようとするロマンチシズムから始まった。次に,これに代えるにダーウィニズムをもってする自然科学的一元論とそれに根ざした自然決定論が登場した。"自然"と"人間"との間に本来の"歴史"を挿入しようとするかにみえる見解も一定の有力な地歩を占めたが,そこでも社会科学的・歴史科学的立場が貫徹されたわけではなく,環境と人間との関係が"生態学"の枠にとじこめられてしまった。以後も,景観論的・擬似生態学的な見解からする社会科学忌避の傾向が根強い。これが克服されない限り,人文地理学は現実の環境問題の本質にとうてい迫り得ないであろう。
  • 宮永 昌男
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    水問題はその社会経済的背景の変化とともに,移り変ってきたが,現在は転換期的状況にある。今後の展望を考えるために,水に関する経済学のかかわりについて,歴史的に概観を試みたい。
    戦後の経済復興と水害の頻発状況の中で,階級闘争的な視点から問題提起した佐藤武夫は,「水の経済学」を著した最初の経済学者であった。彼の信念は正義感に裏付けられていたが,豊富な体験を踏まえた鋭利さがあった。
    その後,アメリカから費用便益分析が,公共事業投資基準として導入され,機能的分析が中心となった。しかしそれにはかなり限界があり,絶対的なものではない。
    ポスト高度成長期の現在,水の価値に公共経済的視点において生活者的発想基盤から,水に対する経済学も転換する必要がある。
  • 板橋 郁夫
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 伏見 碩二
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 64-74
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    琵琶湖集水域の積雪水量は,1970年代中頃から減少傾向に転じ,積雪水量の変動係数は日本海側の各地にくらべて著しく大きいことを明らかにし,琵琶湖集水域の気象・地形条件による雪のふり方が時間的・空間的な積雪水量変動をひきおこしていることを考察した。
    積雪水量が減少していること,その変動係数が大きいこと,および急速に変化する社会的・自然的環境を考えると,琵琶湖集水域は日本のなかでもとくに水資源利用に関する社会的対応のむずかしい地域であり,水資源の変動期にあっては,降雪・降雨の時間的・空間的な変動特性を明らかにしたうえで,水資源の有効利用をはかる必要がある。
  • 仁連 孝昭
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 75-83
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    上水道施設のような都市施設は利用者に直接便宜をもたらすだけでなく,多様な社会的(外部)効果をもたらし,それゆえに,都市への人間活動の集積を可能にする。したがって,社会的(外部)効果の受け手と都市施設費用の負担者炉一致しない場合,都市施設への需要の制約がなくなり,他方で,その供給費用がどんどん膨らむこととなる。それゆえに,社会的(外部)効果の受け手と都市施設の負担者を一致させるような費用負担制度が求められることとなる。
    わが国における創設期以来の上水道施設の例を大阪市に求め,そこにおいてどのような費用負担制度がとられていたのか,またそれがどのように変容してきたのかを検討した。このようなパースペクティブで費用負担制度を検討することは,その社会的な意味を明らかにするであろう。
  • 大熊 孝
    1987 年 1987 巻 1 号 p. 84-92
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    昭和60年度までに完成している多目的ダムは267ダムに達するが,本論文では建設中のダムを含め,データの得られた353ダムについて,洪水調節機能を中心として地域的,経年的特徴をみたものである。
    まず,目本全国を9地域区分に大分割し,そこにおけるダム群の有効貯水容量・洪水調節容量を降水量との関係において特徴をみた。その際,ダム容量はダムの支配流域面積と相対評価する必要があるので,それを流域に降った雨のうち何mmまで貯留できるかという値,即ち,相当雨量に換算して評価を行った。次に,その相当雨量の経年変化をみると,近年,洪水調節容量の相当雨量は200~400mmと大きくなってきており,ダム下流に洪水を流下させないですむダムが出現していることを示した。さらに,洪水調節容量確保方式について検討を加え,洪水調節容量確保方式は予備放流方式が減少し,サーチャージによる確保方式が増えていることを,また,洪水調節方式は洪水時にゲート操作の頻繁な一定率・一定量放流方式から,ゲート操作のほとんど要らない一定開度方式・自然調節方式が増えてきていることを示した。
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