水資源・環境研究
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21 巻
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
論説
  • 若菜 博
    2008 年 21 巻 p. 1-14
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    青森県下北半島尻屋崎一帯は明治初期、森林伐採による飛砂のため漁獲が減った。1911年尻屋の漁師は植林を始め、1940年造林の一応の完成に至った。1920年の「下北郡ノ産業計劃案」には、「魚附林ノ植栽ヲ奨勵スルハ単ニ漁業上ノ利益ヲ増進スルノミナラス将来防風林・氣候調節林且又水源涵養林トシテ効用ヲモ兼ネ…農耕ノ業モ之カ為メ進展シ地方ノ利益ヲ受クル」との記述がある。また、「磯焼け」に対する遠藤吉三郎札幌農学校教授の「水源地森林の荒廃」原因説(1903年)に対応する記述もある。1947年青森県は北大・函館水産専門学校等に対して「水産資源調査」を依頼した。調査団の代表格は犬飼哲夫北大教授であった。犬飼は尻屋崎の不漁は戦時中の松伐採によることを指摘し、海岸林復活の動因となった。1900年代の下北での造林活動は、江戸期から継承されてきた森林の複合的機能に関する伝統的思想と科学の研究成果とが絡まりながら推進されてきた。
  • 渡邉 紹裕
    2008 年 21 巻 p. 15-24
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    最近、世界各地から、降水や河川・湖沼などの「異変」が頻繁に報道されるようになっている。これらは、地球温暖化の現れとして受け止められることが多い。IPCCの第4次評価報告書が2007年の春から順次発表され、温暖化自体がもはや避けがたい現実であるとの認識が広がって、それに伴う気候変動が、水や食料を含む身近な環境問題とリンクして意識されるようになり、改めて水循環や水資源への関心が高まっている。本稿では、世界と日本の水資源の需給などの実情と管理の課題を概観した上で、地球温暖化に伴う気候変動の影響の見通しを整理する。地球温暖化対策を中心とする地球環境問題への対応は、しばらくは社会的な要請の大きな部分を占めると思われ、その中で地球規模の水循環・水資源が密接に関係した問題として取り上げられることになろう。ここでは、地球温暖化の問題を契機として、水資源を巡る課題を改めて整理する。
  • 山添 史郎, 霜浦 森平, 植谷 正紀, 塚本 利幸, 野田 浩資
    2008 年 21 巻 p. 25-34
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    本稿では、滋賀県守山市を中心として活動しているNPO 法人「びわこ豊穣の郷」を事例として、会員の居住歴などの社会的属性と活動の志向性との関係を明らかにする。「びわこ豊穣の郷」の会員に対するアンケート調査の結果から、(1)「びわこ豊穣の郷」の会員構成が多様化してきていること、(2)居住歴などの社会的属性により、活動の志向性が異なっていることが明らかとなった。地付農家は、身近な水環境に直接的に働きかける活動および自治会・町内会と協力する活動を志向していた。地付非農家は、自らが水環境に直接的に働きかける活動を志向していた。転入非農家は、他のNPO・ボランティア団体と協力する活動を志向していた。活動の志向性の背景要因としては、第1 に、会員の地域活動への参加や組織・団体への加入の状況の相違にあると考えられる。第2 に、農業就労などの日常生活における水環境との関わり程度の相違にあると考えられる。
  • 新玉 拓也
    2008 年 21 巻 p. 35-46
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    近年、里地里山など二次自然が再評価され、2002年に策定された「新・生物多様性国家戦略」にも反映されている。そのような中、関わりを取り戻すため、あるいは関わりを評価するための1つの手法として、市民参加型調査が注目されている。政策への市民参加が求められる中、生態系保全、まちづくり、環境教育などさまざまな分野で市民参加型調査が行われている。
    本研究が事例として取り上げる「琵琶湖お魚ネットワーク」は、企業、行政、市民団体などが協力して立ち上げた市民参加型の魚類分布調査である。のべ1万か所を超える調査データが集まるなど調査として大きな成果を生んだが、その他にも各個人や機関・団体にも数多くの影響を与えた。そこで、市民参加型調査の社会的意義を明らかにするため、琵琶湖流域で多くの人が参加し、調査とともに社会へ多くの波及効果をもたらした「琵琶湖お魚ネットワーク」を事例として考察を試みた。
  • 佐々木 和之, 仲間 浩一
    2008 年 21 巻 p. 47-55
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    住民と河川行政とが連繋した事例は存在し、連繋の成果はあらわれている。しかし、具体的にどんな連繋に向けた手順が住民と河川行政とをつなぐポイントとなるのかは、各々の現場で蓄積されてはいるものの、とりまとめられてはおらず、各現場で試行錯誤されている状況である。
    本研究は住民と河川行政との連繋に向けた試行を行っている主体の一つである琵琶湖河川レンジャーを対象に、今後の住民と河川行政との連繋に向けて押さえるべきポイントを明確にすることを目指し、レンジャーが実際に行った連繋の手順を明らかにすることを目的とした。
    結果、いわゆる行政の縦割りが問題なのではなく、住民と河川行政との連繋において、ポイントとなる情報は河川行政の各課内の担当者でないと分からず、従ってレンジャーが行った担当者への情報収集は、連繋に大きな役割を果たしていることが判明した。
研究ノート
  • 野村 克己
    2008 年 21 巻 p. 56-60
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    世界の「エコバス」活動はドイツを中心に展開されており、その数はゆうに50を超す。筆者は前報でそれまで既知であった43の「エコバス」活動に加え、インターネット検索により海外には計70台の「エコバス」があることを明らかにするとともに、アンケートによりその現状と課題を分析した。しかし日本の「エコバス」活動についてはまだ分析ができていなかった。そこで、日本の「エコバス」4台に対してもアンケートを実施し、活動の現状と課題を考察した。いずれも県レベルで活動する官営の活動であり、安定した資金とともに教育課程に組み入れてもらうなどにより、利用実績も安定していることがわかった。一方活動年数が経過していることから乗り物の更新に係る資金調達や内部の設備の充実、また持続可能な社会の構築のための一層の利用拡大のためのPRが重要であると考えていることがわかった。
  • 田渕 直樹
    2008 年 21 巻 p. 61-68
    発行日: 2009/03/05
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    日本の大河信濃川、その中流域はJR 東日本(株)などが水力発電所のために過剰取水をし、表流水が涸れて水道水不足や生態系破壊など、河川環境破壊を惹き起こしている。そこで市民は改善を求め、後に市役所の協力を得て東京でシンポジウムを開くなどの活動に取り組み、水利権更新期でないにも拘わらず、40m3/s以上もの試験放流を獲得した。しかし市役所主導の運動となってしまい、進行中の清津川ダム・プロジェクトに反対しなかった。90年代に一世を風靡した長良川河口堰運用反対運動などとは別の市民運動である。
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