水資源・環境研究
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22 巻
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巻頭言
論説
  • 宮崎 淳
    2009 年 22 巻 p. 1-12
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    渇水等の水不足が生じるリスクが高まるほど、水利権の水量侵害が顕在化しやすくなる。水資源が豊富であったときには潜在化していた水利権の優劣問題が、絶対的水量の減少によって表面に現われるからである。水量侵害の事案では、同一水流において競合する慣行水利権の存否およびそれら権利相互間の優劣関係が問題となる。水利権が専用権として他の権利より優先されるのか、または余水利用権として他のものより劣後の地位に置かれるのか、それとも共用権として権利者が平等に流水を利用できるのかが争点となるため、慣行水利権の効力はその類型に投影されているといえよう。そこで、水量侵害の裁判例において、どのような法的救済が認容または否認されるかについて分析することによって、専用権、共用権、余水利用権の3つの慣行水利権の類型につき、それらの効力を詳細に考察した。そして、水資源分配の仕組みとしての3類型は、共用権を基軸に構成されるべきであり、慣行水利権の原型を共用権に求めることによって、そこから専用権と余水利用権の2類型が派生することについて考究した。
  • 遠藤 崇浩
    2009 年 22 巻 p. 13-24
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    カリフォルニア渇水銀行(California drought water bank)は、米国カリフォルニア州にて1991年に発動されて以来、同州の渇水対策として定着した感がある。一般に、渇水時には、水の配分問題-稀少な水を農業・工業・生活・環境の各部門にどう配分するか-が浮上する。水銀行はこの問題を、州当局の仲介の下、利水者間の自発的な水取引を通じて解決する仕組みであり、いわば市場メカニズムの要素を導入した水の再配分政策といえる。
     水銀行における政府の役割とは何か? 水銀行には市場メカニズムの要素が組み込まれているが、当然それは万能な解決策ではない。水銀行は回を重ねるたび、前回の問題点を修正する形で変化しており、その是正策の積み重ねの一部は、水銀行プログラムにおける政府の役割が変化する過程と軌を一にする。本稿は1991年度と1992年度のプログラムに目を配ることで、この過程を明らかにするものである。
  • 新玉 拓也, 広瀬 幸雄
    2009 年 22 巻 p. 25-36
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    地域に根ざした取り組みを行う際に重要なことは、地域の資源を生かすこと、地域住民が主体となることであり、様々な場面で実践的な取り組みが行われている。これまでにもそのプロセスや成果をとりあげた研究等はあるが、環境ボランティアによる保全事業の取り組みが、その地域の一般住民の意識にどのような影響があるか、保全事業が活発に行われた要因は何かについては十分な検討が行われていない。
     本研究では、保全に関する取り組み段階の異なる琵琶湖岸の3集落を対象に疑似実験的方法としての社会調査を実施し、水環境や保全活動に関する意識・行動について比較分析を行った。その結果、意識の面で大きな違いは見られなかったが、環境ボランティアの取り組みに関する気づきと言える部分や対人的な呼びかけで有意な差が見られた。これらの結果をもとに、環境ボランティアによる取り組みがその地域の住民の環境意識や保全活動への参加に及ぼす影響を検討した。
  • 呉 秀青
    2009 年 22 巻 p. 37-46
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    内モンゴル乾燥地域の一つであるホルチン左翼中旗はかつて「ホルチン草原」と呼ばれ、数千年もの間、牧畜業を持続させてきた地域であった。新中国成立後、内モンゴルへの漢民族の移住に伴い食糧増産政策が推し進められ、従来の生存様式が変化し、過度な開墾と過度な放牧により砂漠化が進み、貧困問題を引き起こした。
     こうした実態に対し、中央政府は食糧増産政策を続けながら、「退耕還林政策」を新たに実施し、持続可能な地域生態環境と地域経済・社会の発展を目指そうとしている。こうした政策に対し、地域住民は好感を持って受け入れられていることがアンケートから裏付けられた。
     ところが、降水量が少なく、河川水の利用ができない乾燥地域でありながら、農業は灌漑農法に過度に依存したトウモロコシの作付に変貌し、砂漠化防止のための植林に蒸散量の多いポプラが換金性が高いとして面積を伸ばしている。しかし、地下水に依存した政策は地下水位を急激に低下させつつあり、内モンゴル乾燥地域の環境改善と持続可能な発展に重大な懸念をもたらしている。
研究ノート
  • 浜本 篤史
    2009 年 22 巻 p. 47-56
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    本稿では、国土交通省が1991年度以来、3年おきに実施している「ダム湖利用実態調査」の公開データから二次分析を試みた。その結果、1ダムあたりのダム湖利用者は減少しており、特に、管理段階に入って一定期間が経過したダムにおける減少傾向が確認された。一方、利用目的別データをみると、スポーツや散策の利用は増えておらず、従来からその潜在的可能性が期待されてきた水上スポーツやエコツーリズムが伸びていない。
     また、利用者数が多いダムの条件として、大都市近郊という立地や施設充実度といった要因だけでは十分説明できず、活性化の担い手や組織体制、イベント運営とその志向性について今後さらに把握する必要があることも示唆された。同時に、各ダムの個別データを詳細にみていくことで、全国画一的な水源地域活性化ではなく、各地の特性や条件にみあった特色のある水源地域活性化の在り方が今後模索される必要があることを論じた。
  • 田渕 直樹
    2009 年 22 巻 p. 57-63
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2011/06/24
    ジャーナル フリー
    家地川ダム撤去運動は1998~2001年に行われ、「長良川河口堰建設に反対する会」代表の支援を受けたこともあり、2000年代脱ダム運動の一種と思われた。実際は町長がリーダーシップを発揮して町民を先導し、町役場の下請け機関である区長達が結成した町民会議が町長を補佐した。これは1950年代から四万十川に計画された複数のダムを中止させた運動の形式であり、家地川ダムを撤去しようと草の根から住民が起こしたものではない。そのため、10年後の水利権更新を再来年に迎え、運動の再生さえ見えない状態である。
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