内モンゴル乾燥地域の一つであるホルチン左翼中旗はかつて「ホルチン草原」と呼ばれ、数千年もの間、牧畜業を持続させてきた地域であった。新中国成立後、内モンゴルへの漢民族の移住に伴い食糧増産政策が推し進められ、従来の生存様式が変化し、過度な開墾と過度な放牧により砂漠化が進み、貧困問題を引き起こした。
こうした実態に対し、中央政府は食糧増産政策を続けながら、「退耕還林政策」を新たに実施し、持続可能な地域生態環境と地域経済・社会の発展を目指そうとしている。こうした政策に対し、地域住民は好感を持って受け入れられていることがアンケートから裏付けられた。
ところが、降水量が少なく、河川水の利用ができない乾燥地域でありながら、農業は灌漑農法に過度に依存したトウモロコシの作付に変貌し、砂漠化防止のための植林に蒸散量の多いポプラが換金性が高いとして面積を伸ばしている。しかし、地下水に依存した政策は地下水位を急激に低下させつつあり、内モンゴル乾燥地域の環境改善と持続可能な発展に重大な懸念をもたらしている。
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