水資源・環境研究
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25 巻 , 2 号
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論説
  • 高橋 卓也, 若井 郁次郎, 竹下 賢
    2013 年 25 巻 2 号 p. 57-65
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/13
    ジャーナル フリー
     琵琶湖に残存する希少な内湖で、近江八幡市にある西の湖を自然再生の一つの研究事例として選定した。そして、自然再生ガバナンスの有効な実施プロセスづくりや、将来継承を見通す合意形成には、多様なステークホルダーの一員である、内湖社会圏の地域住民の意識構造が重要な要素になると考え、2011年にフォーカス・グループ・インタビュー調査および地域住民327名を対象としたアンケート調査を実施した。分析結果より、将来の西の湖シナリオに対する意見の違いは、「伝統回帰環境志向」、「観光地志向」、「地元公園志向」の3つの軸に集約できることが分かった。また、西の湖に対して回答者が抱く将来シナリオは、回答者の職業との間に相関があることも確認された。地域住民は、将来シナリオ「魚のゆりかごとしての西の湖」を共有概念とするガバナンスの下で自然再生にむけた合意形成に協力しうることが示唆された。
  • 野田 浩二
    2013 年 25 巻 2 号 p. 66-75
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/13
    ジャーナル フリー
     神奈川県は、従前の主観的公害認定に基づく事業場公害防止条例を廃止し、1964年に公害の防止に関する条例を制定した。その結果、神奈川県の環境政策は第2段階に進んだ。両条例での大きな相違点は、1964年になってはじめて、数値を伴った公害認定基準を導入したことにある。本稿の目的は、行政公文書を積極的に活用しつつ、神奈川県公害の防止に関する条例下で、県はどのように客観的な水質基準を策定しようとしたのかを明らかにすることにある。これまで地方公共団体が当時どのように水質汚染問題に対処しようとしていたのかの実態についてはほとんど研究されておらず、できるだけ丁寧に数値の策定過程を明らかにした。本研究は地方環境政策の意味を再検討するうえで重要であるし、旧水質2法と条例はどのように調整されたのか、神奈川県は国にどのような影響を与えたのかを研究する基盤となる。
  • 松 優男, 秋山 道雄
    2013 年 25 巻 2 号 p. 76-87
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/13
    ジャーナル フリー
     近年、農業水路・都市水路などの地域の水路網に流水を引き入れて環境用水を創出し、身近な水環境を再生しようとする取り組みが全国的に進展している。2005年1月に宮城県仙台市は、農業水路である六郷堀・七郷堀に環境用水の水利権を取得した。これを受け国土交通省は、2006年3月に「環境用水に係る水利使用許可の取扱い基準の策定」を発表した。その後、環境用水水利権の取得は5事例を数えている。また、「二ヶ領用水(神奈川県川崎市)」や「鞍月用水(石川県金沢市)」のように、河川維持用水や農業用水が環境用水と同様の機能を果たしている事例もある。本研究は、こうした先進的な取り組み事例について現地調査を実施し、環境用水が成立した要因を分析した。その結果、14の成立要因が抽出された。調査対象地区のすべてで該当した項目は、直接的な要因、関係機関の連携、管理主体、管理費用であり、環境用水の導入にあたって重要な要素であることが示唆された。また、環境用水の導水が持続する地域では、水路の周辺に居住する住民だけでなく、広い層の市民によって支えられていることがこうした事例から明らかになった。
  • 平山 奈央子, 宇佐見 美穂, 井手 慎司
    2013 年 25 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/13
    ジャーナル フリー
     本研究では、コミュニティ組織による水環境保全活動の活発さを測る「活動指標」を定義し、滋賀県守山市の保全活動に関心のある一部の自治会を対象に、「活動指標」と「活動の開始順序」および「属性データ(人口、新住民の割合、駅からの距離等)」との関係性を統計的に分析した。その結果、新住民の割合が高いほど、人口が少ないほど、生き物飼育の開始と専門組織の設置が早いほど、活動指標が高い、つまり、活動が活発である傾向がみられ、これらが自治会間における活動の活発さに差異を生み出している要因と推察された。
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