ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学
Online ISSN : 2759-4386
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研究論文(原著)
  • 知脇 希
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2025 年 2 巻 p. 1-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/13
    [早期公開] 公開日: 2024/11/30
    ジャーナル フリー

    【目的】介護予防事業として女性高齢者を対象に月1回全3回実施した教育と骨盤底筋トレーニングを組み合わせたプログラムの効果を明らかにすることを目的とした。【方法】第1回,第3回,講座終了1ヵ月後に評価を実施した。下部尿路症状を評価するためにICIQ-SF,過活動膀胱症状スコアにて評価を行い,欠損値のない31名を対象とした。プログラムでは尿失禁や過活動膀胱の説明,骨盤底筋群の位置,日常生活の注意などの説明と,骨盤底筋トレーニングを含めた運動指導を実施した。参加者には記録表を配布し,運動を継続するよう指導した。【結果】分析を行った結果,ICIQ-SFの第1回と第3回の間に有意な差が認められた。第1回と講座終了1ヵ月後には減少傾向はみられたが有意な差は認められなかった。過活動膀胱症状スコアには有意な差は認められなかった。【結論】尿失禁対策プログラムを実施した結果,第1回から第3回にかけてICIQ-SFの改善が認められ一定の効果が確認できた。しかし,講座終了後に明らかな持続効果は認められなかった。今後は講座終了後の効果の持続,過活動膀胱症状の改善,参加継続について修正を加え実施していきたい。

  • 松田 陽子, 対馬 栄輝, 葉 清規, 大石 陽介, 村瀬 正昭
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2025 年 2 巻 p. 10-15
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/13
    [早期公開] 公開日: 2024/12/05
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究目的は,産後腰痛患者の性生活障害度に関連する因子について調査することである。 【方法】妊娠や育児動作を誘因に腰痛を発症した産後腰痛患者22例に対して,リハビリ初回時に,性生活障害度の指標としてOswestry Disability Indexの性生活障害の設問である問8(以下,ODI-8),患者特性,脊椎アライメントを評価した。統計解析は,ODI-8の障害度に関連する因子について,患者特性および脊椎アライメントを独立変数として,ステップワイズ法による重回帰分析で解析した(有意水準5%)。 【結果】対象者の68%が腰痛により性生活障害を有していた。ODI-8の障害度には,妊娠中からの腰痛既往の有無(標準偏回帰係数b = 0.43),腰椎前弯角(b = –0.48)が関連していた。【結論】産後腰痛患者において,妊娠中から腰痛を有し,腰椎前弯角が減少した症例は性生活障害度が高い可能性がある。

  • 布施 陽子, 杉本 結実子, 塩津 英美
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2025 年 2 巻 p. 16-22
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/13
    [早期公開] 公開日: 2025/03/02
    ジャーナル フリー

    【目的】腰痛を呈する妊婦に対して,妊娠にて機能障害を生じやすいと考えられる腹横筋に着目した理学療法を実施し,実施前後の身体変化を明らかにすることを目的に行った。【方法】腰痛を呈した妊娠女性150名(妊娠周期28.3±5.4週,平均年齢33.4±4.4歳,BMI22.9±2.9 kg/m2)に対し,腹横筋エクササイズとして超音波画像による視覚的フィードバックを用いた腹横筋収縮学習を実施した。計測項目は,疼痛スケール(VAS),右側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋)の筋厚,頚管長の3項目とし,側腹筋群の筋厚は安静呼気終末の超音波静止画像を記録し,頚管長は医師により計測した。介入前後に3項目それぞれについて平均値を算出し,統計的解析はWilcoxonの符号付順位検定により,介入前後における変化について有意水準5%未満で検討した。また,妊娠週数による腹囲周囲径の違いを考慮して,妊娠25週以下(32名),妊娠26週以上(118名)の2群に分けて,全対象者と同様に検討した。【結果】全対象者について,VAS,外腹斜筋厚,腹横筋厚に差を認め,疼痛スケール,外腹斜筋厚は有意に減少し,腹横筋厚は有意に増大した(p<0.01)。また,内腹斜筋厚,頚管長については差を認めなかった(p=0.66,p=0.90)。妊娠週数による違いについては,外腹斜筋のみ妊娠25週以下の群で差を認めなかったが,その他は全対象者と同様の結果となった。【結論】腰痛を呈する妊婦に対し,腹横筋に焦点を当てた,超音波画像による視覚的フィードバックを用いた呼吸練習は,有効かつ安全であることが示された。

症例報告
  • 中口 拓真, 半田 瞳, 星野 好則
    原稿種別: 症例報告
    2025 年 2 巻 p. 23-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/13
    [早期公開] 公開日: 2025/03/01
    ジャーナル フリー

    【目的】本症例報告の目的は,腹壁瘢痕ヘルニアを有する女性の腹圧性尿失禁に骨盤底筋トレーニング(Pelvic Floor Muscle Training;PFMT)を行い改善した症例を報告することである。【症例】対象は約2年前から尿失禁がある80歳台後半の女性である。既往に腹壁瘢痕ヘルニアがあり,腹腔内圧が上昇する介入は禁忌であった。介入は週2回の訪問リハビリテーションによるPFMTと骨盤底筋の収縮するタイミングを最大限に意識する練習,セルフエクササイズを実施した。測定項目は排尿日誌による7日間の合計尿失禁回数,International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form(ICIQ-SF),快適歩行速度を測定し,開始時,3,6,9ヵ月の時点にて測定した。主要アウトカム評価項目は7日間の合計尿失禁回数とした。副次アウトカム評価項目はICIQ-SF,快適歩行速度であった。【結果】尿失禁の回数[開始時 / 3ヵ月 / 6ヵ月 / 9ヵ月]は,7日間では[24 / 11 / 8 / 3(回)]と改善した。ICIQ-SFスコアは,[14 / 7 / 5 / 3 点]であった。快適歩行速度は,[0.41 / 0.58 / 0.67 / 0.71(m/sec)]と改善した。また,腹壁瘢痕ヘルニアの悪化や腸管閉塞の所見は見られなかった。【考察】腹壁瘢痕ヘルニアの患者であってもPFMTはヘルニア嚢の増悪を発生させずに尿失禁を改善させる可能性がある。しかし,PFMTを行う際は腹腔内圧を上昇させないように注意することが必要である。

  • ~心理的側面に着目して~
    河原 忠司, 山川 尋, 赤羽根 良和
    原稿種別: 症例報告
    2025 年 2 巻 p. 30-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/13
    [早期公開] 公開日: 2025/01/08
    ジャーナル フリー

    【目的】妊娠および出産に伴い発症する骨粗鬆症は妊娠授乳関連骨粗鬆症(Pregnancy and lactation-associated osteoporosis:PLO)と呼ばれ,比較的稀な病態であり,いまだ不明な点が多く,治療法は確立されていない。本症例報告の目的はPLOを背景とする脊椎圧迫骨折症例に対して,機能解剖を考慮した理学療法に加え,心理的側面にも比重を置くことについての重要性を検討することにある。【方法】出産後2ヵ月時に胸椎圧迫骨折を呈した症例に対して,身体機能面のみならず,恐怖心の改善を目的とした教育,介入を行った。【結果】痛みは経過とともに改善し,新規骨折も起こらずに8ヵ月間経過したが,その時点でも動きに対する恐怖心の評価はカットオフ値を下回ることはなかった。【結論】PLOを背景とする脊椎圧迫骨折症例に対して,通常の理学療法に加え,心理面に対する教育,配慮は必須であり,多面的な介入を継続的に行うことで疼痛軽減,新規骨折の予防,恐怖心の軽減を図っていく必要があると考えた。

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