5種の薬剤をメラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤に混入して成板したラワン合板(厚さ4.0および5.6mm,3プラィ)の防腐性能を比較するとともに,これらの耐候操作による変化について検討した。
オオウズラタケに対して, IF-1000(4-クロロフェニルー3'-ヨードプロパギルホルマール)は0.6kg/m
3, EBIP(3-エトキシカルボニルオキシー1-プロム-1,2-ジョードプロペン)は1.0kg/m
3, TWY(トリブチルスズフタレートとヨードカリの混合剤)は0.24+0.48kg/m
3の添加量で高い防腐性能を示した。しかしカワラタケに対してはいずれの薬剤ともより多い添加量が必要であり,芯板の厚い5.6mm合板では添加量(kg/m
3)を等しくしても防腐性能が劣る場合が多かった。
NCH-Al(N-ニトロソーN-シクロヘキシヒドロキシアミン-アルミニウム)処理合板のオオウズラタケに対する防腐性能が無耐候操作時に低かったのに,60℃暴露3ケ月により著しく上昇したのは,今回の接着条件(120℃,10kg/cm
2,100-140秒)では薬剤の大部分が接着剤中にとどまり木部へ拡散しなかったためと考えられる。このような防腐性能の上昇は,60℃暴露3ケ月だけでなく乾湿繰返し(静水浸漬6時間~60℃18時間)操作によっても,また他の薬剤についても認められ,接着剤混入防腐合板の製造においては,薬剤の分布域を広げるための接着条件の検討が必要であることを示唆している。
耐候操作前の防腐性能とそめ耐候操作による変化を検討した結果,接着剤混入防腐合板への適用がもっとも有望な薬剤は,有機ヨード系化合物のEBIPとIF-1000であり,ついで有機スズ化合物のTWYがあげられる。また防腐性能試験の耐候操作法としては,乾湿繰返しが効力持続性を評価する上で適していると考えられる。
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