難注入性木材に対する薬液の浸透を向上させるための基礎的知見を得る目的で,針葉樹5種の液体浸透性を検討した。組織構造に重点を置き,毛管圧浸透と加圧注入での3方向別の液体浸透性について,木材防腐剤を含む3種の水溶液を用いて検討を行った。
加圧注入法は水溶液種類に関係なく,毛管圧浸透より高い注入量を示した。方向別の浸透は,ラジアータマツ辺材では放射方向の浸透量が高かったが,他の樹種においては毛管圧浸透法では放射方向>接線方向,加圧注入法では接線方向〓放射方向となった。浸透阻害要因は,繊維方向では有縁壁孔の閉塞,放射方向では分野壁孔と放射柔細胞間の浸透性,接線方向では放射壁有縁壁孔等で,それらの浸透性難易と3方向間の副次的な浸透性が,木材の液体浸透性に大きく影響することが確認された。
AACとポリアルキレングリコールから成る木材防腐剤は,CCAに比較して,毛管圧浸透法において高い浸透性を示したことから,難注入性木材用の防腐処理薬剤として注入条件等を含めた今後の研究が期待される。
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