ナフテン酸銅及びナフテン酸亜鉛で処理した木材の水による溶脱性,吸水性,吸湿性を調べるとともに,ナフテン酸金属塩類の各樹種に対する浸透性を調べた。
ナフテン酸銅は高い溶脱抵抗性を示した。ナフテン酸亜鉛は銅よりも溶脱抵抗性は劣り,特に,低濃度の場合に溶脱が大きかった。薬剤の種類と樹種の違いが吸水性に及ぼす影響をみると,ナフテン酸銅,亜鉛共にアカマツで最大の吸水比を示し,ブナ,スギの順に吸水比が小さくなった。吸湿性を比較すると,アカマッ,スギ,ブナの順に吸湿比が小さくなる傾向が認められた。ナフテン酸銅の場合には濃度によって吸湿比には差がなく0.5~0.8であった。
樹種別の浸透性では,ナフテン酸銅・亜鉛共にアカマツが良く浸透し,スギ,ブナへの浸透は木材試片の表層付近に限定され深くまで達しなかった。さらに濃度の違いにより,粘度の影響と考えられる浸透性の差も認められた。
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