各種商業用材心材,合板,木質ボード類,断熱材,不燃材など各種建築材料についてイエシロアリに対する耐蟻性試験を行った。供試材料のサイズは,2×2×2cmとし,繰り返しを10片とした。試験片は農林水産省森林総合研究所内のイエシロアリ飼育槽上にアカマツ辺材をコントロール材として各試験片間に並べて設置した。食害試験開始1カ月後,試験片を取り出し,付着物を除去し重量を測定した。耐蟻性は,まず質量減少率を求め,次に目視観察によって比較区分することとした。
国産ヒノキ,ヒバ,スギの3樹種およびサイプレスパイン,ベイヒバ,カポール,マホガニーは比較的高い耐蟻性を示した。シベリアアカマツ,メリナは質量減少率にばらつきがみられた。ラワン合板,火山性ガラス質複層板,ラジアータパインMDFは,高い耐蟻性を示した。他のボード類は,耐蟻性が低く,特に針葉樹合板,OSBは非常に食害されやすい。また,無機質発泡体を除くほとんどの断熱材料は耐蟻性が低く,不燃材料の中では発泡コンクリートは高い値を示したが,石膏ボードは低い耐蟻性を示した。
全試験材料の全乾密度とイエシロアリによる質量減少率とは危険率5%で負の相関(r=-0.28,n=51)が認められた。この結果は木材素材ほどではないが,材料密度とわずかな相関を持つことを意味し,このわずかな相関から材料密度を耐蟻性の第1次目安とすることができると考えられる。
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