ホウ酸水溶液(5g/dm
3~45g/dm
3)で処理したスギ(Cryptomeria japonica D.Don)辺材の木口面早材部について,近赤外レーザー(1064nm)を励起光源に用いラマンスペクトルを測定した。処理後のスギ辺材ではB(OH)
3以外のホウ素を含む化学種はスペクトル上で検出されなかった。含浸による試験体の重量は水溶液の濃度にほぼ比例して増加した。B(OH)
3に帰属されるラマンバンドの強度も含浸溶液の濃度が15g/dm
3以上の試験体では濃度とともに増加する傾向を示したが,10g/dm
3以下ではほとんど検出できないほど低く,濃度に対する変化は不連続性を有することが示された。この報告では含浸処理過程におけるホウ酸の挙動を考察し,ラマン測定の結果に対する説明を試みる。
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