木材の寸法安定性,耐朽性および難燃性を改良する目的で,ホウ酸(H
3BO
3)とジイソシアン酸トリレン(TDI)を含浸し,105℃で加熱処理することによって複合化木材を得た。処理試験片は流水による溶脱処理後の重量減少は非常に少なく,高い耐溶脱性を示した。これはホウ酸が木材中でTDIと結合したためであり,FT-IRスペクトルから主な化学反応はホウ酸の水酸基とTDIの重合反応であると考えられる。得られたホウ酸-TDI複合化木材は細胞壁のバルキング効果によって高い寸法安定性を示した。腐朽試験において,ホウ酸-TDI複合化木材は溶脱処理後でも優れた耐朽性を示した。また,複合化木材はミクロバーナーおよび酸素指数による燃焼試験においても良好な難燃性を示した。
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