マツノザイセンチュウによる森林被害の拡大を防ぐため,欧州や中国向け貨物に用いる針葉樹の梱包材は,マツノザイセンチュウ殺虫のための処理を施さなければならない。ここでは,木材に防腐薬剤を加圧注入する方法がマツノザイセンチュウの殺虫に有効であるかを明らかにするための予備的な実験を行った。CuAz(銅・アゾール化合物系薬剤)とDDAC(アルキルアンモニウム化合物系薬剤:ジデシルジメチルアンモニウムクロリド)をそれぞれ原液を100%とみなして0.25, 0.5, 1.0, 2.0, 3.0%に調整した。有効成分はCuAzとしてO.05, 0.11, 0.22, 0.43及び0.65%, DDACとして0.09, 0.19, 0.37, 0.74及び1.11%となった。これらの薬剤のマツノザイセンチュウに対する24時間後の殺虫効果を調べた。CuAzとDDACは実用濃度以下である0.43%と0.09%で,ともに,3時間後には100%の殺虫効果が認められたことから,CuAzやDDAC等の銅系や有機系の木材防腐薬剤の加圧注入によりマツノザイセンチュウの殺虫は可能であると推測できた。
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