近年, 様々な廃棄物の焼却処分に伴うダイオキシン類の発生量の低減に関する研究がなされているが,加圧処理材の廃材の焼却に伴うダイオキシン類発生量に関する研究はまだなされていない。そこで,農林水産省補助事業である「環境にやさしい木材保存処理技術の開発」の一環の共同研究として,加圧処理木材の燃焼時におけるダイオキシン類の発生量の評価を行った。
現在国内で使用されている9種類の木材保存剤を加圧注入したベイツガ土台材を試験材として,実際的な燃焼実験を行い,ダイオキシン類の発生量を測定した。焼却炉としては,約0.7m3の処理材を1バッチで燃焼させる能力のある実用炉を用いた。焼却条件は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定める燃焼温度である800℃以上とした。実験の結果,全ての処理材の排ガス中のダイオキシン類濃度において,lng-TEQ/m
3N以下となり,ダイオキシン類対策特別措置法の基準である5ng-TEQ/m
3N以下であった。また,本実験の範囲において,ダイオキシン類発生量と塩化水素ガス濃度,ばいじん濃度,一酸化炭素濃度,金属含有量の各々の関係において明瞭な相関はなかった。燃えがらのダイオキシン類の濃度は,全ての処理材において,同法に定める3ng-TEQ./gよりはるかに小さな値であった。
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