木材保存
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37 巻, 6 号
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解説
研究論文
  • 片岡 厚, 山本 健, 川元 スミレ, 小林 正彦, 松永 正弘, 松永 浩史, 木口 実
    2011 年 37 巻 6 号 p. 264-272
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/14
    ジャーナル フリー
    木材保護塗料の再塗装前に行う研磨工程の有無が, 再塗装後の性能に及ぼす影響を検討した。主に水性の市販木材保護塗料 (水性6種類, 油性2種類) で塗装され, 既に24ヶ月間の屋外暴露試験 (つくば市, 南向き傾斜45°) を経たスギ心材を試片とし, 研磨によって旧塗膜を除去した後, 初回塗装と同じ塗料で再塗装し, 再び24ヶ月間の屋外暴露試験に供した。再塗装の塗布量は, 研磨の有無に関わらず, 全ての塗料が初回塗装を上回った。仕上り色調は, 初回塗装と比較して明度 (L *) と彩度 (a *, b *) に低下傾向が見られたが, 研磨有りの場合にはその傾向が弱まった。再塗装後の耐候性能は, 研磨の有無に関わらず, 初回塗装を上回る変色抑制と撥水度維持効果が得られた。これは, 塗布量増加の影響が大きいと考えられる。特に研磨有りの場合には, 撥水度維持効果がより高く, さらに表面欠陥抑制効果も高まった。これは研磨によって素地が適切に調整されたためであると考えられる。
資料
  • 大村 和香子, 桃原 郁夫, 蒔田 章
    2011 年 37 巻 6 号 p. 273-278
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/14
    ジャーナル フリー
    アメリカカンザイシロアリに対する各種木材保存剤の性能評価を室内試験により行った。スギ辺材試験体 (20mm(T)×20mm(R)×10mm(L)) に対してJIS K 1570 (2004) 記載の木材保存剤を用いて, 日本農林規格 (JAS) のK3およびK4相当の注入処理を行ったあと, JIS K 1571 (2004) 記載の注入処理用の耐候操作を施した。非固着性水溶性薬剤である八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)については, 同形状のスギ辺材試験体に対して3kg/m3および6kg/m3ホウ酸当量 (BAE) 注入後, JIS K 1571附属書規定の揮散操作を施した。各試験体はアメリカカンザイシロアリ擬職蟻20頭に対して26°C, 75% R. H. の条件下で6週間, 強制摂食させた。
    無処理スギ辺材の質量減少率は平均15%以上を示したのに対し, JIS K 1570記載の固着性薬剤で注入処理した試験体では, 耐候操作を行ってもすべて平均質量減少率が3%以下を示し, JIS K 1571の性能基準を満足した。DOT 処理試験体では6kg/m3 BAE の場合, 平均質量減少率が2%となり, JIS K 1571の性能基準を満足した。
    木材を室内・乾燥の条件で使用する際は, 乾材害虫ならびに乾材シロアリによる被害を避けるため, ホウ素系化合物によりK1レベルの1. 2kg/m3 BAE 以上の処理が推奨されているが, 我々の試験結果からは, アメリカカンザイシロアリに対しては, より高濃度の保存処理が必要であることが示唆された。
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