アメリカカンザイシロアリに対する各種木材保存剤の性能評価を室内試験により行った。スギ辺材試験体 (20mm(T)×20mm(R)×10mm(L)) に対してJIS K 1570 (2004) 記載の木材保存剤を用いて, 日本農林規格 (JAS) のK3およびK4相当の注入処理を行ったあと, JIS K 1571 (2004) 記載の注入処理用の耐候操作を施した。非固着性水溶性薬剤である八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)については, 同形状のスギ辺材試験体に対して3kg/m
3および6kg/m
3ホウ酸当量 (BAE) 注入後, JIS K 1571附属書規定の揮散操作を施した。各試験体はアメリカカンザイシロアリ擬職蟻20頭に対して26°C, 75% R. H. の条件下で6週間, 強制摂食させた。
無処理スギ辺材の質量減少率は平均15%以上を示したのに対し, JIS K 1570記載の固着性薬剤で注入処理した試験体では, 耐候操作を行ってもすべて平均質量減少率が3%以下を示し, JIS K 1571の性能基準を満足した。DOT 処理試験体では6kg/m
3 BAE の場合, 平均質量減少率が2%となり, JIS K 1571の性能基準を満足した。
木材を室内・乾燥の条件で使用する際は, 乾材害虫ならびに乾材シロアリによる被害を避けるため, ホウ素系化合物によりK1レベルの1. 2kg/m
3 BAE 以上の処理が推奨されているが, 我々の試験結果からは, アメリカカンザイシロアリに対しては, より高濃度の保存処理が必要であることが示唆された。
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