木材保存
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39 巻, 2 号
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総説
解説
研究論文
  • 上川 大輔
    2013 年 39 巻 2 号 p. 78-85
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    難燃薬剤処理木材中の薬剤固形成分量 (以下, 薬剤量と表記) を推定する方法として, 処理材から切り出された小片を水に浸漬し, 難燃薬剤を溶脱させ重量減少より薬剤量を算出する手法を提案した。スギ (Cryptomeria japonica), アカマツ (Pinus densiflora), カラマツ (Larix kaempferi), ベイマツ (Pseudotsuga menziesii), ベイツガ (Tsuga heterophylla) の5樹種について試験体に薬剤(窒素リン酸系薬剤)を注入して処理材を作製し, それらに対して水浸漬による溶脱操作を実施した。注入処理前後の重量, および溶脱操作前後の重量からそれぞれ薬剤量を算出する場合, カラマツでは木材中の抽出成分の溶出量を考慮する必要があることを示した。水浸漬による溶脱条件と測定誤差, および乾燥温度の影響について検討し, 適切な溶脱条件を示すとともに105°Cでの乾燥が計測値には大きく影響しないことを明らかにした。また, 基材の密度から薬剤注入処理後の薬剤量を予測する方法を提案した。
  • 松永 浩史, 松村 順司, 桃原 郁夫
    2013 年 39 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/11
    ジャーナル フリー
    試料をコーティングせずにそのまま観察・分析できるLVSEM-EDX の利点に着目し, CUAZ 注入処理材に生じる銅の溶脱過程を可視化できるかどうか検証した。すなわち, CUAZ を注入したスギ辺材を水で溶脱操作させながら, 銅の濃度分布の変化を, 木口面の側から同一視野で繰り返し観察した。溶脱操作前の段階では, 試験片側面に近い場所程銅の濃度が高くなる傾向が認められ, 溶脱操作を1回おこなうと観察面における銅の濃度が全体的に上昇し, 特に晩材部に銅が蓄積することが分かった。溶脱操作を10回繰り返すと, 試料表面の銅の濃度は下がる傾向を示した。一方, 晩材部の銅の濃度は比較的高いまま維持し, 濃度分布に関しては溶脱操作前と異なった。以上の結果から, 同一視野で繰り返し観察したことにより, 銅の溶脱過程を可視化して動的に追跡することが可能となり, LVSEM-EDXは, 薬剤溶脱のメカニズムを解明する上で, 有用なツールであることが分かった。
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