食材性二枚貝であるフナクイムシは,他の食材性の動物同様,その消化管内にセルロースを利用する細菌が生息していることが予想されるが,その細菌相に関する知見はほとんどない。本研究では,フナクイムシ(
Teredo navalis)由来のセルロース分解菌を単離することを目的に,フナクイムシ由来の197株およびフナクイムシ周辺環境としての木片由来の47株の単離株について,セルロース,キシラン,アルギン酸などの難分解性多糖類に対する分解活性を判定した。セルロース分解活性を示したフナクイムシ由来34株,木片由来7株の単離株について,16S rRNA 遺伝子の部分配列による相同性検索の結果,単離株は10属に分類された。フナクイムシ由来のセルロース分解菌は,耐アルカリ性あるいは好アルカリ性,中度あるいは高度好塩菌を含み,フナクイムシがセルロース分解能をもつ極限環境微生物の分離源になり得ることが示唆された。
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