DDAC 加圧注入処理材,CUAZ 加圧注入処理材,及び無注入材から成るスギ製遮音壁の実大試験体3体を作成し,各試験体の半分の面積を木材保護塗料(水性3種類,油性2種類)で塗装した。試験体は,つくば市で108か月(9年)間,南・北向き垂直条件の屋外暴露試験に供し,保存処理が塗装耐候性に及ぼす影響を検討した。塗装面の劣化抑制効果は,CUAZ 処理材>DDAC 処理材>無注入材の順に高かった。特にCUAZ 処理材では効果が高く,多くの塗料で108か月以上の塗装寿命を得た。変色抑制効果も同じ順で高かった。最も効果の高かったCUAZ処理材では,多くの塗料で期間中,色差(
E *ab)7未満が維持された。以上の結果から,CUAZ やDDAC で保存処理されたスギ製遮音壁に対し,木材保護塗料塗り(WP)を適用することによって,無注入材の場合よりも長期耐候性が高まること,さらに保存薬剤処理との組み合わせによっては,10年程度の長い塗り替え周期で,遮音壁の耐候性を維持し得ることが示された。
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