木材保存
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42 巻, 2 号
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解説
研究論文
  • 成田 廣枝
    2016 年 42 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    富山県魚津港沿岸地帯は,海水準の上昇により一旦海水下となった地層に砂礫,泥炭等が堆積して,再度陸地となっている。ここで掘り出された海水浸漬履歴のあるスギ(Cryptomeria japonica)埋木(魚津埋木,14C年代:1361±33~1481±31 yBP)について化学的な分析を行った。木質化学成分は,現生木とほぼ同等であった。精油に関しては,続成作用により部分的に変化はしているが,現生木中の精油成分を全て含有していた。よって,魚津埋木は熟成の度合いが低く,また有機成分は海水の影響をほとんど受けていないと考えられる。灰分の電界放出形電子顕微鏡/エネルギー分散型X 線分光法(FE-SEM/EDX)による元素分析では,ナトリウムが検出され,魚津埋木の海水浸漬履歴を示唆するものと考えられる。同位体年代と埋木特有のテルペン類から計算した熟成度との関係を内陸性スギ埋木と比較した結果,魚津埋木は山口県産阿武埋木(14C年代:2950±70 yBP)および福井県産若狭埋木(14C年代:6180±60 yBP)との間によい相関関係を示した。
  • 石川 敦子, 片岡 厚, 松永 正弘, 小林 正彦, 神林 徹, 川元 スミレ, 木口 実
    2016 年 42 巻 2 号 p. 72-80
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
資料
  • 片谷 昌寛, 吉田 慎治
    2016 年 42 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    クロチアニジンを担持させた不織布(商品名:タケロックNW)を開発し,その不織布原反のシロアリに対する物理バリア性を室内試験にて,タケロックNW の防蟻性能を室内および野外試験にて確認した。タケロックNW はその繊維の構造により,シロアリが足を取られやすい繊維を多く有している。そのため,穿孔や歩行しようとするシロアリに対して長時間クロチアニジンと接触させて効果的に防除することが可能である。また,タケロックNW は布のように敷衍,切断,接合が容易である性質と,スポンジのように空隙に充填することが容易である性質を有し,作業性に優れている。さらに,不織布に担持されているクロチアニジンはマイクロカプセル化されており,タケロックNW をセメントで固定することも可能である。
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