ウッドデッキのように屋外で使用する木材には生物劣化に対する配慮が不可欠である。それには木材含水率を低く保つことが有効だが,長期間の使用により表面割れが生じると,割れから侵入する雨水が内部含水率を高める可能性がある。本研究では,設置後10年経過したスギ(
Cryptomeria japonica),ヒノキ(
Chamaecyparis obtusa),及びレッドウッド(
Sequia sempervirens)製のウッドデッキの腐朽程度と表面割れの評価を行い,またモデル的に板目面に鋸で割れ加工を行ったレッドウッド試験体の吸水後の乾燥過程における内部含水率変化を調べた。ウッドデッキの表面割れ本数はヒノキが多く,割れ深さはスギ,ヒノキでは最大2cm,レッドウッドでは最大1cm であった。スギ及びヒノキのデッキではレッドウッドデッキよりも腐朽程度が大きく,割れ深さが深い場合に腐朽との関係性が考えられた。また割れモデル試験体において,割れ深さ2cm の最深部のみ吸水後の水分停滞が見られ,乾燥48時間後においても腐朽の危険性があるとされる含水率20%以上を保った。これらの観察及びモデル試験から,表面割れの深さが2cm 以上の場合に水分停滞を助長し,腐朽の危険性が高まる可能性が示唆された。
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