木材保存
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44 巻, 2 号
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総説
研究論文
  • 大澤 朋子, 前田 啓, 信田 聡
    2018 年 44 巻 2 号 p. 67-80
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/01
    ジャーナル フリー
    ウッドデッキのように屋外で使用する木材には生物劣化に対する配慮が不可欠である。それには木材含水率を低く保つことが有効だが,長期間の使用により表面割れが生じると,割れから侵入する雨水が内部含水率を高める可能性がある。本研究では,設置後10年経過したスギ(Cryptomeria japonica),ヒノキ(Chamaecyparis obtusa),及びレッドウッド(Sequia sempervirens)製のウッドデッキの腐朽程度と表面割れの評価を行い,またモデル的に板目面に鋸で割れ加工を行ったレッドウッド試験体の吸水後の乾燥過程における内部含水率変化を調べた。ウッドデッキの表面割れ本数はヒノキが多く,割れ深さはスギ,ヒノキでは最大2cm,レッドウッドでは最大1cm であった。スギ及びヒノキのデッキではレッドウッドデッキよりも腐朽程度が大きく,割れ深さが深い場合に腐朽との関係性が考えられた。また割れモデル試験体において,割れ深さ2cm の最深部のみ吸水後の水分停滞が見られ,乾燥48時間後においても腐朽の危険性があるとされる含水率20%以上を保った。これらの観察及びモデル試験から,表面割れの深さが2cm 以上の場合に水分停滞を助長し,腐朽の危険性が高まる可能性が示唆された。
資料
  • 川田 達郎, 辻本 吉寛, 中島 正夫
    2018 年 44 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/01
    ジャーナル フリー
    木造住宅を長持ちさせるためには,新築時の木材の適切な保存措置と使用開始後の定期的なメンテナンスが不可欠である。本研究では,東北,関東,近畿,九州地方で合計37棟の解体予定の木造住宅の腐朽被害および蟻害に関する生物劣化被害調査を行った。その結果,36棟で何れかの生物劣化被害が確認され,そのうち35棟で生物劣化被害は地盤面から1m 以上に達しており,小屋組や2階開口部周りといった,建築基準法上は防腐防蟻措置が不要な部分にも多数確認された。さらに,経年により防水機能が損なわれた場合においては,品確法で定める防腐・防蟻措置で示された部材に適合する耐久性区分D1の樹種や薬剤表面処理材においても,生物劣化被害が発生する可能性があることが示唆された。また,通常の点検では判らない生物劣化被害の事例も多数見られた。構造部材に生物劣化被害があった場合,修繕に手間と費用が掛かることも多い。また,防腐防蟻剤を再塗布したり,再注入したりするのは現実的に不可能であるため,木造住宅を長持ちさせるためには,新築時に長期間防腐防蟻効力を維持し得る保存処理を講じておくことが有効であると考える。
情報
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