日本工業規格JIS K 1571: 2010に記載される室内防腐性能試験には, 木材保存剤の性能基準と, 供試菌ごとに無処理試験体(スギ辺材)の平均質量減少率を元にした試験の有効性基準が規定されている。本研究では, 有効性基準を安定して満たす培養条件に関わる因子とその組み合わせを検討するため, (1)種菌の調製回数, (2)培養瓶内での前培養期間, (3)培養瓶の材質の3因子が菌株の腐朽力に及ぼす影響に加え, 異なる機関で保存している供試菌株により腐朽力が異なるかを検討した。その結果, オオウズラタケの場合, 上記の3因子は腐朽力にほとんど影響を及ぼさなかったが, 菌株の保存機関の違いにより腐朽力が異なる可能性が認められた。カワラタケの場合, 前培養期間の長短により腐朽力に差が生じることが明らかとなり, 規格が定める最長の15日の前培養期間を設けると, 平均質量減少率の向上が認められた。
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