ヒノキの実生林とさし木林における木材性質のバラツキを把握するために,実生ヒノキ3林分60個体およびナンゴウヒ2林分40個体を用いて実験し,肥大成長,容積密度,生材含水率,心材色,仮道管長,丸太の動的ヤング率および力学的性質の林分内変動と林分間差を検討し,以下の結果を得た。
1)肥大成長の林分内変動は,さし木林が実生林よりも小さかった。
2)さし木林の胸高部位の容積密度,辺材の生材含水率,仮道管長および力学的性質の林分内変動は実生林よりも明らかに小さく,心材含水率,心材色,丸太動的ヤング率はやや小さい程度であった。
3)胸高の心材色および仮道管長,樹幹高さ方向の丸太動的ヤング率の変動パターンが,実生林とさし木林で顕著に異なった。
以上のことから,ヒノキさし木林の木材性質の林分内変動は,実生林に比べ小さいことが判明した。
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