木材学会誌
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54 巻, 6 号
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論文特集「温暖化防止に寄与する“木材”」
  • 坂 志朗
    2008 年 54 巻 6 号 p. 309
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 山崎 真理子, 平野 佳祐, 佐々木 康寿, 水谷 章夫, 崔 哲, 榊原 勝己
    2008 年 54 巻 6 号 p. 310-318
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    地球温暖化対策の一つとして,炭素貯蔵機能を有する木材の利用と建物の省エネルギー性の向上は有効な手段である。本研究では,木造住宅の壁体構成が室内熱環境に及ぼす影響を調べ,省エネルギー効果を検証した。具体的には,構成が異なる3種類の木質壁体を対象に,それぞれの熱物性をJIS準拠試験と実験建物を用いた大型試験により調べた。さらに,建物の暖房時の消費電力を測定し,壁体構成が省エネルギー効果に及ぼす影響を検証した。得られた知見は次の通りである。1. 熱貫流率は,一般的な土壁>木材と土壁を複合させた壁体>断熱材を主とする壁体の順に大きい。2. エアコンの消費電力は,土壁住宅>木材・土複合壁体の住宅>断熱型住宅の順に大きく,この傾向は室内外温度差が大きくなるほど顕著に現れた。3. 断熱型住宅の場合には暖房消費電力/室内外温度差の比が概ね一定となった。一方,木材・土複合壁体の住宅および土壁住宅ではこの比が一定とならず,熱容量の影響が見受けられた。4. 木材・土壁複合壁体は土壁と比べて断熱性能が改善されており,これに伴い省エネルギー効果が認められた。
  • 梶本 武志, 橘 熊野, 前田 育克, 久保田 静男, 畑 俊充, 今村 祐嗣
    2008 年 54 巻 6 号 p. 319-326
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    スギ材のL-乳酸蒸解によって産生したパルプ状繊維の特性評価を行った。スギ材をL-乳酸存在下,200℃,1時間密閉系において蒸解させた結果,パルプ状繊維とL-乳酸蒸解木材液化物に分離した。パルプ状繊維について,分子量測定,X線回折,電子顕微鏡観察,固体 13C NMR,赤外分光分析により分析した。パルプ状繊維は,結晶型がI型の天然セルロースで,結晶化度は23~25%,分子量は1.1×106-1.5×106,乳酸ユニット構造を含有するセルロースエステル誘導体であることを見出した。スギ材をL-乳酸存在下で蒸解することにより,酸加水分解及び熱分解によって脱リグニン化が起こり,木材から機能性セルロースが産生できることを明らかにした。
  • 高畠 幸司, 五十嵐 圭日子, 鮫島 正浩
    2008 年 54 巻 6 号 p. 327-332
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    ヤマブシタケ菌床栽培において,栽培後に生じる廃菌床を培地材料に用いて再び栽培した。この工程を3回繰り返した。子実体収量は繰り返し3回目でも最初の培地(基本培地)と同等であった。しかし,廃菌床培地は1回目の廃菌床培地で子実体収量が最も多く,その後,リサイクルする毎に減少した。子実体収量はリサイクル2回目までは基本培地の1.3~1.4倍になった。1回目,2回目の廃菌床培地では,低分子α-グルカン,β-グルカンの含有量が多くなり,C-N比が低くなった。低分子グルカン並びにN源の増加が子実体収量の増加に寄与することが示唆された。ヤマブシタケ菌床栽培において,リサイクル2回目までの廃菌床は,培地材料として有用であることが明らかになった。
  • 鈴木 京子, 山田 哲夫, 斎藤 幸恵, 鈴木 勉
    2008 年 54 巻 6 号 p. 333-339
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    900℃触媒炭化で調製したニッケル添加木炭の粉砕-酸洗浄を行い,炭素の結晶性,細孔構造,ニッケルの含有率等を調べた。その結果,この処理では導電性炭素,液相高分子吸着材としての性能が向上し,ニッケルの除去率は約99%に達した。従って,この処理を実用製品化に組み入れることは有利であることがわかった。さらに,この炭素の微細構造,特に細孔構造に関する有用な情報が得られた。
  • 下田 隆史, 馬場 洋介, 西堀 耕三
    2008 年 54 巻 6 号 p. 340-345
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    マイタケ(Grifola frondosa)廃菌床のエタノール変換効率を高めるために,ボール撹拌型併行複発酵法を試みた。ボール撹拌型併行複発酵法とは,廃菌床,セルラーゼ溶液,酵母とジルコニアボールを同一容器に入れ,それを前後左右上下に激しく振とうさせることによって行う方法である。ボール撹拌型併行複発酵装置にて併行複発酵を行ったところ,高いエタノール収率は得られたが,ボール撹拌を行っている間はエタノール発酵が生じず,ボール撹拌による発酵阻害が確認された。この発酵阻害は,静置と撹拌を交互に行なう間欠ボール撹拌で改善され,発酵時間の大幅な短縮ができると共に,ボール添加無しで撹拌した場合と比較して約1.3倍高いエタノール収率が得られた。以上からボール撹拌型併行複発酵はマイタケ廃菌床の酵素糖化によるエタノール変換効率を高めることが分かった。また,本方法はバイオマスの種類に関係なくそれらのエタノール変換に対して有効であることが示唆された。
  • 都市エリア事業(都城盆地エリア)成果報告
    藤本 英人
    2008 年 54 巻 6 号 p. 346-351
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    都城盆地エリアの地下水汚染の元凶となっている家畜排泄物を焼却するための助燃剤として低品質木炭を用いた。この手法により,自燃しない豚糞の燃料化が可能になり,エネルギー利用の道が開けた。低品質木炭は,エネルギー収率の観点から,300℃以下の低温で焼成した低品質のものが望ましい。豚糞と木炭を混合することによりいくつかの利点があった。自燃に必要なカロリー,悪臭の軽減,乾燥の促進,取り扱いが容易になったことなどである。パイロットプラント規模の燃焼炉でこの混合物による48時間の連続運転を行った。このときに発生する蒸気量を測定し,木材乾燥の熱源となりうるか検討した。その結果,120℃の高温乾燥に必要な蒸気量は確保しにくいが,80℃程度の中温乾燥には十分使えることが明らかになった。このような木質バイオマスの直接燃焼は,ローテクではあるが,エネルギー効率が良いことから,今後様々な分野で使われ,化石資源燃料の大幅な削減に寄与するものと思われる。
  • 吹野 信, 加藤 幸浩, 清野 新一, 石河 周平
    2008 年 54 巻 6 号 p. 352-357
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    建築廃木材の解体現場から中間処理工場までの輸送コスト,中間処理工場の破砕処理コスト,破砕チップの再資源化工場までの輸送コストを検討した。建築廃木材,破砕チップの各輸送コストは,1日の往復回数が増大することにより大きく低減した。また,建築廃木材の輸送コストは破砕チップの約2倍高くなった。破砕チップの輸送コストは,1日1往復区間のような遠隔地において,帰り荷利用率が高まることにより特に低減額が大きかった。建築廃木材と破砕チップの全輸送コストは,中間処理工場の立地場所の及ぼす影響が大きかった。全輸送コストは,建築廃木材と破砕チップ輸送における1日の各往復回数および破砕チップの帰り荷利用率から試算された。破砕処理コストは,中間処理工場の規模を年間処理量2万tから5万t,10万tに拡大することにより大きく低減した。
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