木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
54 巻 , 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 孫 章烈, 方 昇基, 趙 佑鎭, 李 徹球
    2008 年 54 巻 5 号 p. 245-254
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    室内空気質関連の研究の内,揮発性有機化合物(以下VOCs)に関する研究の動向を把握するために大韓建築学会,大韓設備工学会,韓国生態環境建築学会及び韓国生活環境学会の論文集における関連論文を調べた。調査対象期間は2001年1月から2006年12月までであり,4学会で発表されたVOCsに関する論文を三つの分野に分けて研究動向を把握した。三つの分野は,1)室内で汚染物質を放散させる建築資材におけるチャンバー実験と室内汚染物質濃度の実態調査,2)汚染物質の挙動及び室内空気質の改善方法,3)空気質が在室者に及ぼす影響である。調査の結果,VOCsに関する研究は2005年以降,特に1)と2)の分野で活発に行われていること,また3)の分野は最近になって研究が始まったため研究の幅が他の分野ほど広くはないことが把握できた。
一般論文
  • 福勝寺本堂(重要文化財)垂木用材の食害と材質
    斎藤 幸恵, 信田 聡, 太田 正光, 山本 博一, 多井 忠嗣, 大村 和香子, 槇原 寛, 能城 修一, 後藤 治
    2008 年 54 巻 5 号 p. 255-262
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    重要文化財福勝寺本堂に用いられていた垂木で,施工年代が異なり(1500,1662,1836年頃),品等・使用環境が似通ったものの劣化調査を実施した。供試試料は全てアカマツである。ケブカシバンムシによる食害が,古い材ほど著しく進んでいた。食害部分を除いた,木材実質の経年変化を検討するために,未被食部のみを取り出して供試した。古材未被食部の酸化開始温度,および微小試験片の縦方向引張ヤング率は,現代材より低い傾向にあったものの,経年によって低下の程度が増すとは断定できなかった。未被食部のX線回折から求めたセルロース相対結晶化度には経年による増大の傾向が見られ,縦方向引張ヤング率との間に,弱い負の相関が見られた。また古い材ほどホロセルロース率が低下する傾向があり,経年による未被食部の成分変性を示唆していた。木材実質そのものの変性よりはどちらかといえば虫害の方が,実用上の性能低下に大きく影響すると考えられた。
  • オーク木口面回転切削における刃先摩耗と切削面性状
    土屋 敦, 藤原 裕子, 奥村 正悟
    2008 年 54 巻 5 号 p. 263-271
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    逃げ面側のみCrN(窒化クロム)で被覆した超硬合金工具の切削性能と摩耗特性を明らかにするため,膜厚さが5.5(UP1)と11.5μm(UP2)のコーティング工具を回転径134 mmの植刃カッタに装着し,主軸回転数6000 rpmでホワイトオーク材の木口面を切削材長20 mまで切削したときの切れ刃の摩耗形状と摩耗量,切削仕上げ面粗さなどを測定し,コーティングなしの高速度工具鋼(HSS)および超硬合金(UH)工具の結果と比較した。HSSとUHでは切削材長とともに刃先の丸みが増し,切削材長20 mでは切削仕上げ面がかなり悪化した。一方,UP1 とUP2 ではコーティング層が局所的に強く摩耗し,逃げ面摩耗帯幅が切削初期に急増したが,切れ刃は鋭利な状態を保持し,切削仕上げ面は常に良好であった。切削材長20 mにおけるUP1 とUP2 の刃先の丸み半径は1.5μm前後であったが,これはHSSの 1/10以下,UHの 1/3 程度であった。
  • メタルラスとステープルからなる接合部の壁体強度特性への影響
    宮村 雅史, 太田 正光, 佐藤 雅俊
    2008 年 54 巻 5 号 p. 272-280
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    前報では,モルタル外壁の変形挙動や発生する応力を推定する解析手法を提案した。本報では,モルタルの接合部を構成するラスやステープルの強度・変形性能に関する予測法を改良し,前報で提案した解析手法に組込むことにより,モルタル外壁の変形について検討した。その結果,壁体の水平加力実験により剥落したモルタルやラス下地の破壊性状の観察結果と本解析手法による比較から,せん断変形角に対するモルタル壁の破壊状況を予測できることが認められた。したがって,モルタル外壁の接合部を構成するラス下地板,ステープル,ラスの強度実験を実施し,本論文で提案した解析手法を用いれば,せん断変形角毎に壁全体の接合部の破壊状況を予測することが可能であると考えられる。
  • 孟 慶軍, 平井 卓郎, 小泉 章夫
    2008 年 54 巻 5 号 p. 281-288
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    この研究では,現在情報の不足している木材と各種構造用面材との摩擦係数測定を実施した。針葉樹合板,広葉樹合板,OSB,MDF,火山性ガラス質複層板(VSB),鋼板について,木材および面材の繊維方向(強軸方向)のすべての組み合わせについて,摩擦係数を測定し,以下のような結果を得た。1.静止摩擦係数は0.2から0.4で,概観的にMDF>針葉樹合板>広葉樹合板>VSB>鋼板>OSBの順となった。2.動摩擦係数の静止摩擦係数に対する比は0.6から0.9で,平均値ではVSB>鋼板>広葉樹合板>OSB>針葉樹合板>MDFの順となった。3.摩擦係数は木材の比重と負の相関を持つことがわかった。4.木材の繊維に直交方向の摩擦係数は繊維に平行方向の摩擦係数より大きかった。合板表板の繊維方向についても,同様な傾向が見られたが,定量的な差は少なく,またOSBのストランド配向方向の影響はごくわずかであった。
  • 松下 美歩, 羽藤 綾美, 目黒 貞利
    2008 年 54 巻 5 号 p. 289-298
    発行日: 2008/09/25
    公開日: 2008/09/28
    ジャーナル フリー
    土壌微生物群集構造の解析に広く用いられているリン脂質脂肪酸(PLFA)分析法を木材の腐朽過程に応用し,スギ林または広葉樹林でのスギ及びコナラ供試材の分解にともなう微生物群集構造の変化について比較検討した。クラスター分析の結果,PLFA組成に基づく微生物群集構造は試験地の植生に関わらず,埋土した供試材の樹種の違いによって2つのグループに分類された。コナラ材は,両植生共に埋土初期から真菌類指標の脂肪酸の割合が高く,腐朽期間が長くなるにつれグラム陽性菌指標の脂肪酸が増加する傾向が見られ,これら微生物グループのバイオマスと木材腐朽率の間には有意な正の相関が見られた。一方,スギ材では,腐朽の進行に伴って真菌,グラム陽性菌,放線菌などの指標脂肪酸の増加が見られたが,真菌類バイオマスと木材腐朽率との間には相関関係が認められず,スギ材の腐朽には細菌類や放線菌類の関与が比較的大きいものと推定された。
feedback
Top