逃げ面側のみCrN(窒化クロム)で被覆した超硬合金工具の切削性能と摩耗特性を明らかにするため,膜厚さが5.5(UP1)と11.5
μm(UP2)のコーティング工具を回転径134 mmの植刃カッタに装着し,主軸回転数6000 rpmでホワイトオーク材の木口面を切削材長20 mまで切削したときの切れ刃の摩耗形状と摩耗量,切削仕上げ面粗さなどを測定し,コーティングなしの高速度工具鋼(HSS)および超硬合金(UH)工具の結果と比較した。HSSとUHでは切削材長とともに刃先の丸みが増し,切削材長20 mでは切削仕上げ面がかなり悪化した。一方,UP1 とUP2 ではコーティング層が局所的に強く摩耗し,逃げ面摩耗帯幅が切削初期に急増したが,切れ刃は鋭利な状態を保持し,切削仕上げ面は常に良好であった。切削材長20 mにおけるUP1 とUP2 の刃先の丸み半径は1.5
μm前後であったが,これはHSSの 1/10以下,UHの 1/3 程度であった。
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