イオン液体,1-
n-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド([C
4mim]Cl)を用いて処理されたトドマツ(
Abies sachalinensis)木粉およびアカシアマンギュウム(
Acacia mangium)機械パルプ(アカシア機械パルプ)の化学的性質を検討した。[C
4mim]Clを用いて処理されたトドマツ木粉およびアカシア機械パルプからの残渣率は,溶解時の温度および時間に伴って減少した。一方,トドマツ木粉の残渣のFT-IRスペクトルは糖成分に由来する1050 cm
-1 および896 cm
-1 のピークの減少と,リグニンに由来する1507 cm
-1 および858 cm
-1 のピークの増加を示した。さらに,アカシア機械パルプからの残渣中のグルコースが急激に減少する一方,リグニン量は増加していた。これらのことから,セルロースやヘミセルロースといった木材中の糖成分の溶解速度は,リグニンのそれよりも非常に速く,その結果リグニンが残渣中に濃縮されることが明らかとなった。
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