木材学会誌
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55 巻, 6 号
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一般論文
  • 最小切取り厚さに関する基礎的検討
    青 龍, 横地 秀行, 尾崎 士郎
    2009 年 55 巻 6 号 p. 331-338
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2009/11/28
    ジャーナル フリー
    スギ材を有効に利用する目的から,最適な単板切削条件を見出すための基礎的な検討を行った。単板切削の全切削過程は,切取り厚さの変化によって,設定切取り厚さに達するまでの過程,設定切取り厚さで切削する過程,設定切取り厚さから0に変化する切削過程および切取り厚さ0で切削工具が被削材表面を滑るバニシング過程からなった。全切削過程における切取り厚さ,切削力,加工面プロフィル,工具送りおよび被削材回転を連続的に測定した。設定切取り厚さに対する切削力,すくい面摩擦角,逃げ面摩擦角および加工誤差の変化を分析した。単板切削の最小切取り厚さおよびバニシング過程でのバニシング力の発生機構を検討した。刃先角30°,刃先丸み半径が 1μm,逃げ角が 0°の場合,最小切取り厚さは0.2 mm近傍になった。またバニシング力は削り残しによって発生することが明らかになった。
  • 菊池 光, 畑 俊充, 今村 祐嗣
    2009 年 55 巻 6 号 p. 339-345
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2009/11/28
    ジャーナル フリー
    木質バイオマスからバイオオイルと木質炭素化物の2つの生成物を効率よく変換するため,直パルス通電法を取り入れた新しい急速熱分解装置を開発した。本熱分解装置の新規性は,直流の大電流を発生する特別なインバーター電源をもつ直パルス通電法を装置の熱分解部に適用した点にある。この電源を用いることにより,従来型の熱分解炉では起り得ない,木質バイオマス原料の粒子の間で微小時間内に放電現象が発生することが期待できる。熱伝導が良くなるように微粉末化した125-250μmの粒度の木粉を原料に用い,50 g/hの搬送量で直パルス通電により加熱したチタン製パイプヒーターの中に連続供給して,400-550℃の反応温度で熱分解実験を行った。熱分解温度が450℃の時に,最大値40%の収率でバイオオイルが得られ,このオイルの高位発熱量は16 MJ/kgであった。また,熱分解温度500℃で加熱した際,プラス電極に付着した木質炭素化物にリング状のグラフェン層をもつポーラスナノカーボンの形成を確認した。
  • 村井 宏輔, 内田 隆一郎, 大久保 篤史, 近藤 隆一郎
    2009 年 55 巻 6 号 p. 346-355
    発行日: 2009/11/25
    公開日: 2009/11/28
    ジャーナル フリー
    樹齢25年のオイルパーム材樹幹から部位ごとに木片をサンプリングし,それぞれのアルコール・ベンゼン可溶部量,ホロセルロース量,リグニン量,熱水抽出物量及び抽出グルコース量を測定した。その結果,熱水抽出量,抽出グルコース量共に樹幹上部,材中心部ほど増加した。熱水抽出と同時にアミラーゼ処理を行ったところ,可溶性糖としてグルコース,フルクトース,スクロースが検出された。各部位での定量値から,樹幹全体(樹高0.5 m~9.5 m)からの可溶性糖はグルコース63 kg,フルクトース13 kg,スクロース11 kgと算出され,推定エタノール量は51.5 L/本,耕地面積あたりの推定エタノール収量は7.4 kL/haとなった。またオイルパーム木粉から抽出した糖液を木粉共存下でZymomonas mobilisによる発酵試験を行った結果,グルコース溶液を用いたコントロール発酵試験とほぼ同等のエタノール収率が得られ,発酵阻害は見られなかった。以上の点から,オイルパーム材はバイオエタノール製造原料として有望であると予想された。
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