スギで開発された簡便かつ非破壊的な心材含水率の推定法である横打撃共振法を,トドマツ精英樹クローンに適用した。立木状態で横打撃共振周波数(
f)と直径(
d)を測定したところ,
dと1/
fは高い相関関係にあり,その回帰直線はクローン毎に異なっていた。また,腐朽個体の検出にも応用できる可能性が示唆された。1/
dfと実際に伐採して調べた心材含水率との関係を調べたところ,両者の間には,個体値,クローン平均値とも有意な正の相関関係が認められた。相関係数は,クローン平均値の方が個体値に比べ高かった。1/
dfと心材含水率の関係には,
d,辺材含水率,心材率など複数の形質が影響していると考えられた。1/
dfの個体値の順位より,心材含水率の異なる3つのグループ(高い,中間,低い)に分けることが可能であると考えられた。特に,心材含水率の低いグループは,他のグループに比べて高い精度で選抜できると考えられた。これらの結果から,横打撃共振法は,非破壊的に心材含水率の低いグループを選抜することができ,トドマツにおける心材含水率の遺伝的改良に有効な方法であると考えられた。
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