106年生の高樹齢カラマツ(
Larix kaempferi Carr.)造林木5個体を対象として,仮道管二次壁中層(S
2層)のセルロースミクロフィブリル傾角(以下MF傾角)をヨウ素法により測定した。MF傾角の年輪内変動は形成層齢によらず,早材では外側に向かうにつれて減少し,晩材では早材よりも変動が小さかった。早材のはじめから早晩材境界にかけてのMF傾角の減少傾向は肥大成長速度の大小に関わらず,形成層齢の増加に伴い緩やかな減少から急激な減少へと変化した。MF傾角の樹幹内半径方向変動は,晩材では形成層齢の増加に伴い急激に減少した後,緩やかな減少に変化し,30年輪以降その変動は小さくなった。早材では形成層齢の増加に伴う減少は認められなかった。30年輪以降において年輪幅と晩材MF傾角には有意な相関は認められないことから,成熟材部の晩材MF傾角は年輪幅の変動の影響を受けないといえる。
抄録全体を表示