木材学会誌
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62 巻, 3 号
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カテゴリーI
  • 曲げ弾性率と柔細胞および繊維細胞の細胞壁厚・壁率の関係
    桐生 智明, 三好 由華, 古田 裕三
    2016 年 62 巻 3 号 p. 61-66
    発行日: 2016/05/25
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    成長に伴うモウソウチクの力学的性質の変化に関わる因子を明らかにするために,発筍から40日~9年が経過した竹稈から採取した飽水状態の竹材を用いて,内皮側もしくは外皮側から負荷した際の曲げ弾性率を測定した。また,弾性率に影響を与えると考えられる容積密度,柔細胞および繊維細胞の細胞壁厚,柔組織および維管束鞘の細胞壁率を,内皮側と外皮側で測定し,曲げ弾性率とこれらの関係を検討した。その結果,竹齢の増加に伴う曲げ弾性率の増加は,材全体の密度増加のみでは説明できず,細胞壁実質が増加する細胞の種類や存在位置によって寄与の大きさが異なることが明らかとなった。また,内皮側負荷時の曲げ弾性率には柔細胞の細胞壁厚や壁率が,外皮側負荷時には繊維細胞の壁厚や壁率が,より大きく関与することが示された。
カテゴリーII
  • 節の量の違いと使用場所が内装材の評価に及ぼす影響
    松本 久美子, 川等 恒治, 今井 良, 斎藤 直人, 佐々木 三公子, 川端 康弘
    2016 年 62 巻 3 号 p. 67-72
    発行日: 2016/05/25
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    針葉樹内装材の見た目の好ましさについて,節の面積率ならびに使用場所の及ぼす影響を検討した。節の面積率は,0,0.46,0.86,1.32%の4水準とした。使用場所については,前報で検討した住宅の居間に加えて,飲食店,ホテル,ホール,学校を設定した。前報で住宅は,面積率0~0.86%までは,その増加とともに好ましさは緩やかに低減し,1.32%になると大きく低下する傾向を示した。飲食店,ホテル,ホールでは,0~0.86%までは住宅と同様に低下したが,1.32%では住宅よりも評価回答の平均値は高かった。学校は,これらの場所とは異なり,節の面積率が増加しても回答の平均値はほぼ横ばいを示し,明確な傾向は見られなかった。分散分析より,節の面積率と使用場所の交互作用にp=0.001で有意差が見られたことから,針葉樹内装材の好ましさには,節の面積率とともに,使用場所が影響を及ぼすことが示唆された。
カテゴリーIII
  • 渋沢 龍也, 戸田 淳二, 谷川 信江
    2016 年 62 巻 3 号 p. 73-79
    発行日: 2016/05/25
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    短尺低質丸太の有効利用を目的とし,ホットメルト接着剤によりスカーフたて継ぎした強軸方向単板を用い,24mm厚9層9プライ合板を試作し,接着せん断性能・層内せん断性能・曲げ性能にたて継ぎが与える影響について検討した。接着せん断性能は,たて継ぎを有する単板が多いほど低下する傾向を示した。曲げ性能は,表層単板にたて継ぎを含む仕様では,低下するものがみられた。表層単板にたて継ぎを含まない仕様においては危険率5%で有意な影響はみられず,構造用合板のJAS規格に合致する性能が得られた。平行層理論から算出した単板たて継ぎの接合効率は全単板にたて継ぎがある仕様では弾性係数で60%,強度で35%と低い値を示した。表層単板にたて継ぎを含まない厚物合板は,実用可能な曲げ性能を有していた。
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