木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
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63 巻, 4 号
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カテゴリーI
  • 設楽 稔那子, 吉田 宏昭, 上條 正義, 藤巻 吾朗, 山口 穂高
    2017 年 63 巻 4 号 p. 149-161
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
    ジャーナル フリー

    我々は木材製品を見かけると思わず手に取ることがあり,視触覚という複合的な感覚によって木材製品を評価している。本研究では,木材製品における視触覚的な印象形成に触覚と視覚のどちらが優位か木材4種類と塗装2種類を条件として,1)見ずに触る,2)触らないで見る,3)見ながら触るといった3種類の感覚ごとの官能検査を実施し,重回帰分析によって視触覚印象形成に対する触覚と視覚の関係の解明を試みた。その結果,視触覚に対して全般的には視覚の影響が優位であったが,温冷感,粗滑感,乾湿感といった触覚受容器から取得される情報による印象は触覚の影響も強かった。また,触覚と視覚と物理特性との関係性を検討したところ,木材評価時の印象は木材の明るさに起因する視覚と摩擦に起因する触覚に関係があることが示唆された。

カテゴリーIII
  • 松原 独歩, 若島 嘉朗, 藤澤 泰士, 清水 秀丸, 北守 顕久, 石川 浩一郎
    2017 年 63 巻 4 号 p. 162-175
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
    ジャーナル フリー

    木材のボルト接合において,締付けトルクと締付け軸力の関係をバイリニアモデルとし,塑性域締付け軸力を管理するための締付けトルク算定法を提案した。そしてワッシャーの辺長比を7.8から18.8の範囲でパラメータとした12種類のワッシャーを対象としたスギ―ボルト接合の締付け実験を行い,提案算定法による計算値を検証した。結果,辺長比7.8から16.0の範囲では,弾性範囲のトルク係数に影響を及ぼさないことがわかった。また算定法にて,塑性域の最大トルク係数と弾性域の最大トルク係数の比をγmax,塑性域の最小トルク係数と弾性域の最小トルク係数の比をγminと新たに定義し,それぞれはワッシャーのめり込みが進展するに伴い変動することがわかった。また辺長比10.0,10.9,7.8の条件下においてγmax,γminを設定し本算定法によってトルク算定することで,塑性域締付け軸力を得られることがわかった。

  • 久保島 吉貴, 柳田 高志, 吉田 貴紘, 木口 実
    2017 年 63 巻 4 号 p. 176-182
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
    ジャーナル フリー

    トレファクションチップの炭化の程度を正確かつ簡便に得る方法を開発する目的で,半炭化処理された木材の重量減少と色彩の関係を検討した。29mm×29mm×5mmの全乾状態の試験体を温度200, 230および250℃,保持時間0-360分の条件で加熱した。加熱前後で色彩測定を行い測色値L*, a*およびb*を得た。その結果,加熱後は,まさ目面,板目面および木口面において心材と辺材の結果は重量比(加熱後全乾重量/加熱前全乾重量)に対して同一の曲線上に存在すると見なすことができた。炭化の程度を示す指標としてはL*,L*+a*およびL*+b*が適当であった。トレファクションチップの半炭化の程度を色彩測定から推定する際に,試験体として心材と辺材を区別することなく両方を使用できることが分かった。しかしながら木取り面によって早晩材のパターンが異なることから色彩試験に用いるチップの木取りを決めておく必要がある。

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