木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
カテゴリーI
  • 平野 優, 斎藤 琢, 武津 英太郎, 小林 元, 村岡 裕由, 沈 昱東, 安江 恒
    2021 年 67 巻 3 号 p. 117-128
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    スギの成木を対象に,早材幅および晩材幅クロノロジーと年輪幅から推定した幹バイオマス増加量について,気候要素および光合成や呼吸による生態系の炭素収支とそれぞれ単相関分析を行った。早材幅と幹バイオマス増加量の間では有意な正の相関が認められた。前年の春~夏,当年の冬~春の気温と早材幅の間に有意な正の相関が認められた。同様の期間の総一次生産量(GPP),生態系呼吸量(RE)と早材幅の間にも有意な正の相関が認められた。気温とGPP,REの間について,冬~春にそれぞれ有意な正の相関が認められた。これらの関係から,前年の成長期の気温が葉の生産量を変動させ翌年の光合成量に影響を与える可能性があり,さらに当年の成長期前の気温が光合成量に影響を与え貯蔵光合成産物が変動することにより,早材幅が変動することが示唆された。これらの要因により早材幅が変動した結果,幹バイオマス量も変動することが示唆された。

  • ベイズ統計モデリングによる製材の乾燥試験データの評価
    渡辺 憲, 加藤 英雄, 長尾 博文, 松元 浩, 藤田 和彦
    2021 年 67 巻 3 号 p. 129-137
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    高温セット処理がスギ心持ち正角の強度に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目的に,過去の試験データを再評価した。乾湿球温度120℃/90℃の高温セット処理を24,36,48時間施した後に中温乾燥で仕上げた3条件,および天然乾燥18か月の計4条件で乾燥したスギ心持ち正角の曲げ強度およびせん断強度のデータをもとに,階層ベイズモデルによって高温セット処理時間と各強度との関係を評価した。その結果,24時間以上の高温セット処理とその後の中温乾燥によって曲げ強度とせん断強度の平均値はともに低下することが明らかとなり,高温セット処理24,36,48時間による曲げ強度の低下率は天然乾燥を基準にして,平均7.6%,8.3%,21.3%,せん断強度の低下率は平均13.9%,19.4%,22.1%であった。これらの知見は,スギ心持ち正角の高温セット処理時間を決定する際の判断材料として有用である。

  • 松本 遼斗, 加用 千裕
    2021 年 67 巻 3 号 p. 138-148
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,建築物に使用される伐採木材製品 (HWP) の地球温暖化緩和策への貢献度を評価するため,炭素貯蔵量を建築物の現存量から直接推計する方法を用いて都道府県ごとに把握した。日本全国の建築物の炭素貯蔵量は過去30年間増加しており,2019年は約2.3億t-Cとなり,その約9割が木造建築物由来であった。都道府県別では,東京都,愛知県,北海道,埼玉県,神奈川県,大阪府と,人口の多い地域の炭素貯蔵量が大きかった。ただし,人口増加に対して建築物の炭素貯蔵量は対数関数的に飽和する関係が確認された。また,日本全体の建築物の炭素貯蔵量は森林の炭素貯蔵量の約13%に相当している事がわかった。都道府県ごとに見ると,千葉県,東京都,神奈川県,大阪府で建築物の炭素貯蔵量が森林の炭素貯蔵量を上回っていた事から,大都市における建築物の炭素貯蔵機能は森林に匹敵していると考えられる。

カテゴリーII
  • 丸竹材の強度性能の推定
    堀江 秀夫
    2021 年 67 巻 3 号 p. 149-162
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    日本の有用竹であるマダケとモウソウチクの丸竹材(青竹)の強度試験を行った。このとき,丸竹材の内径dは,外径Dと回帰式d=0.81Dを用いて推定した。この内径と外径の値から断面性能を算出し,さらに丸竹材を均質な中空円形断面材と仮定して各種強度性能を算出した。試験結果から,丸竹材の強度性能は,外径Dを説明変数とする回帰式で表すことができた。このうち,立体骨組の構造解析に必要な剛性データ(曲げ剛性EI,軸剛性EA,捩り剛性GJ)の回帰式は,竹種に係わらず,次のとおりである。

    Log EI=3.49 Log D-2.49

    EA=403 D-7885

    Log GJ=3.90 Log D-6.60

feedback
Top