木材学会誌
Online ISSN : 1880-7577
Print ISSN : 0021-4795
ISSN-L : 0021-4795
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
カテゴリーI
  • 関野 登, 田名部 功幹, 姜 卓秋
    2021 年 67 巻 4 号 p. 167-177
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    半炭化チップの床下敷設利用(断熱資材)を想定し,加熱温度270~300℃,酸素濃度1~4%で半炭化させた木材(ベイマツ心材)について,質量減少率を指標に断熱性,吸湿性,強度性能などの変化を調べた。熱伝導率は質量減少率の増加につれて直線的に低下し,その低下率は質量減少率1%あたり約0.75%であった。熱伝導率低下の主要因は密度低下による空隙率の増加であったが,熱橋となる実質の熱伝導率も吸湿性低下と真密度低下によって最大5%低下することが熱伝導モデル解析から明らかとなった。質量減少率が40%に達すると圧縮強度およびせん断強度は1/4程度に低下したが,繰り返し落下衝撃による粉化率は10%以下に留まった。耐朽性が確保される質量減少率20%以上を前提とすれば,断熱性と耐衝撃性を両立させる半炭化条件は,質量減少率で20~40%の範囲と言える。

  • 本多 航, 落合 陽, 青木 謙治, 稲山 正弘
    2021 年 67 巻 4 号 p. 178-187
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    近年では木質構造用ビスを引き抜き方向に耐力負担させるような設計が増えており,その引き抜き性能について理論的な裏付けに基づく設計手法の確立が求められている。ビスのねじ部を再現した三次元有限要素解析 (FEM解析) を実施し,繊維直交方向における引き抜きではねじ山の先端に引張応力の集中が見られた。FEM解析と実験での破壊性状を基に線形破壊力学を用いた繊維直交方向における引き抜き耐力推定式を提案した。推定式での算定値をスギ・ヒノキ・カラマツ・ベイマツの製材を対象とした引き抜き試験の結果と比較したところ,全体的に安全側の評価となったが実験値の傾向をよく捉えた結果となった。

カテゴリーII
  • 阪上 宏樹, 後藤 栄治, 新津 栄市, 和田 正三
    2021 年 67 巻 4 号 p. 188-196
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    八ヶ岳高原海の口自然郷内にはサラサドウダンが群生しており,樹齢百年以上と言われる古木も珍しくないが,近年,シカの樹皮剥皮による枯死が顕著化している。他方で樹皮が再生する個体も多いため,被害が深刻だった2015年に,標高約1550mに設定した一辺30mの正方形プロット内を調査した。その結果,プロット内には株立状のサラサドウダンの幹が総計184本あり,シカに剥皮された幹は83本と被害が深刻だったが,このうち80本は樹皮が再生していた。更には全周が剥皮されても,大面積の樹皮が再生した幹が存在した。再生した幹の形成層付近を顕微鏡観察した結果,木部に傷害柔組織が存在したが,継続して木部が形成され,形成層との間に成長輪界は確認できなかった。2019年に剥皮され,同年に採取した部位の表面には生細胞が存在したため,シカによって樹皮を剥皮されても極めて短期に樹皮が再生することが示唆された。

  • 横尾 謙一郎, 古閑 美子, 阪上 宏樹, 松村 順司
    2021 年 67 巻 4 号 p. 197-207
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    芽かきしたセンダン (Melia azedarach) における木材性質を調べるために,3クローンにおける10年生および16年生の樹幹内変動を検討した。直径成長は良好で,樹幹内の木材性質は,10年生は気乾密度,曲げ弾性率 (MOE) および曲げ強さ (MOR) で,16年生は気乾密度でクローン間差が認められた。気乾密度,MOEおよびMORは地上高に関わらず,髄から樹皮側に向かって高くなる傾向がみられたが,地上高別の平均値では大きな変化は認められなかった。成長初期は地上高が低い部分では気乾比重,MOEおよびMORが低かったが,地上高が低いほど直径成長量が大きかったため,成長に伴い地上高による差が小さくなったと考えられる。センダンの生産目標は末口径30cm以上,長さ4mとしており,生産目標のサイズに仕立てることによって,地上高による差が小さい木材性質の材が収穫できる可能性が高いことが示唆された。

  • 吉原 浩, 吉延 匡弘, 丸田 誠
    2021 年 67 巻 4 号 p. 208-216
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    市販の板紙のヤング率を引張試験,静的曲げ試験,縦振動試験およびたわみ振動試験で測定し,測定値に及ぼす試験方法の影響について検討した。その結果,板紙の積層構造や非弾性な変形に起因すると考えられる差が顕著に存在することが示された。したがって,実用的な場面で板紙を適切に使用するためには,板紙が受ける負荷様式に応じてさらに検討を加えるべきであることが示唆された。

カテゴリーIII
  • 許 銀超, 黄 栄, アヨブ サラゲイ, 金 光范, 中川 明子
    2021 年 67 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,製紙用パルプの製造法として,環境負荷の小さい無塩素漂白を提案する。蒸解性の良好な樹齢12年のユーカリ・グロブラス材からクラフト蒸解と酸素漂白法を用いて実験室でパルプを調製し,漂白性を検討した。一方,比較としてユーカリ・グロブラスとアカシア材混合チップを原料とする工場製酸素漂白クラフトパルプについても検討した。新規な漂白方法として,酸素 (O) 漂白,モノ過硫酸 (Psa) 処理とアルカリ性過酸化水素 (Ep) 処理を用いるO-Psa-Ep- Psa-Epの5段漂白シーケンスを採用し,白色度89-90%ISOの漂白パルプが得られることを示した。さらに,重要な最終品質のパルプ粘度を改善する方法として,Psaに微量の二酸化塩素を混合して漂白を行う方法を提案する。

エラータ
  • 平野 優, 斎藤 琢, 武津 英太郎, 小林 元, 村岡 裕由, 沈 昱東, 安江 恒
    2021 年 67 巻 4 号 p. 223
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/10/28
    ジャーナル フリー

                    論 文 訂 正

     

     木材学会誌に掲載された論文の内容について,下記の通り訂正します。

     

     論文表題:冷温帯におけるスギの肥大成長と炭素収支,気候要素との関係

     著者:平野 優,斎藤 琢,武津英太郎,小林 元,村岡裕由,沈 昱東,安江 恒

     掲載号:67巻3号 p.117-128 (2021)

     

     本文において,下記のように訂正する(下線部分が訂正部分)。

     

    1)121ページ2段18行目から

    (訂正前)前年4月下旬から6月上旬(DOY前年116~153)の連続した期間において

    (訂正後)当年4月下旬から6月上旬(DOY当年116~153)の連続した期間において

     

    2)122ページ2段20行目から

    (訂正前)月降水量との間に有意な負の相関(p<0.05)が認められた。

    (訂正後)月降水量との間に有意な相関p<0.05)が認められた。

     

    3)124ページ1段6行目から

    (訂正前)4月,7月,8月では月降水量との間に有意な負の相関が認められたことから

    (訂正後)4月,7月,8月では月降水量との間に有意な相関が認められたことから

     

    4)125ページ1段目19行目から

    (訂正前)7月下旬のGPPとEWの間に有意な正の相関が認められたことから

    (訂正後)7月下旬のGPPと早材幅の間に有意な正の相関が認められたことから

feedback
Top