山階鳥類研究所研究報告
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11 巻 , 3 号
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  • 斉藤 隆史
    1979 年 11 巻 3 号 p. 137-148
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.本論文は基本群の形成,特に若鳥の分散から特定の地域への定着までの動向について記述し,基本群の構成員の結び付きに関する要因を論じたものである。調査は1970年の夏期および秋期に赤坂御用地において行った。
    2.基本群の形成は若鳥の夏期および秋期行動圏の選定,若鳥と成鳥の最終的な結び付きという三つの過程を経て行われる。若鳥は家族群の崩壊後,若鳥だけの夏期群を形成し,親鳥からの独立後,約一ヶ月以内に夏期行動圏を選定する。
    3.夏期群を形成しながら,若鳥は次第にその活動を夏期行動圏内の特定の場所に集中しはじめ,同一地域で観察される若鳥の構成が一定になってくる。大部分の若鳥は10月中旬頃までに秋期行動圏を選定するが,夏期および秋期行動圏は家族群の行動圏内に選定されると考えられる。
    4.成鳥は繁殖後も元のテリトリーを中心とした地域に留まっていて,その後に若鳥が成鳥の留まっている地域を秋期行動圏として選定する。その結果,成鳥の行動圏と若鳥の秋期行動圏が重複することになり,これらの個体によって基本群が形成される。
    5.したがって,基本群は行動圏が重複する個体から形成され,構成員間の結び付きは主に行動圏の重複によっていると考えられる。
  • 斉藤 隆史
    1979 年 11 巻 3 号 p. 149-171
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.本論文は基本群の行動圏および構成員間にみられる優劣関係について記述し,行動圏の大きさ,構造,基盤を明らかにし,優劣関係を決定している要因について考察したものである。
    2.調査は1968年の繁殖期から1974年の非繁殖期までの間,赤坂御用地において行った。調査地は主に常緑および落葉広葉樹からなっている。調査地内に生息するほぼすべての個体は標識され,その経歴が明らかになっている。
    3.基本群の行動圏は主要地域と副次地域に分けられ,前者は基本群が単独で行動する地域であるのに対して,後者は複合群として行動する地域である。行動圏の大きさは0.7haから15.9haまでで,平均は5.5haであった。
    4.主要地域はさらに中心部と周辺部に分けられ,中心部は最も好適な採食場所である採食活動中心点を含んでいる。主要地域は隣接群の間で重複するが,採食活動中心点は決して重複しない。
    5.主要地域の大きさは0.5haから3.9haであり,平均は1.6haであった。この地域はその群に属する成鳥の繁殖テリトリーを中心に形成されている。その結果,その大きさはその群に属する成鳥の数と密接な関係があった。
    6.基本群の形成過程において,成鳥は繁殖後も彼らのドミサイルに留まっていて,その後に若鳥が成鳥のドミサイルを彼らのドミサイルとして選定するので,行動圏の主要地域は構成員のドミサイルが重複した地域であると結論できる。
    7.同性間では成鳥が常に若鳥よりも優位であり,行動圏の主要地域における成鳥の先住効果がこの関係を決定する主要な要因と考えられる。同年齢間では雄が常に雌よりも優位であり,これは雄が雌よりも攻撃的であることと体が大きいことに起因していると考えられる。
    8.二羽以上の同性の成鳥を含んでいる群では,それらの成鳥間の優劣関係は場所依存的であった。これは基本群の行動圏の主要地域がその群に属するすべての成鳥の繁殖テリートリーを含んでいることによる。
    9.同性の若鳥間の優劣関係は,基本群が形成される以前に決定されていると考えられ,基本群形成後も一定に保たれる。おそらく,主要地域に対する先住効果と体の大きさが優劣関係に影響しているものと思われる。
    10.大部分の基本群では同性の成鳥は一羽しか含んでいないため,構成員間の優劣関係は逆転することなしに,冬の間維持された。
    11.この優劣関係を考慮に入れれば,一つの基本群の構成員は互に個体識別していることは明らかであり,主にドミサイルの重複に基づいた構成員間の結び付きは,個体識別によってさらに強化されているものと考えられる。
  • 斉藤 隆史
    1979 年 11 巻 3 号 p. 172-188
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.本論文は基本群の構成員の番形成およびテリトリーの形成について記述し,構成員の番相手の選定と基本群の主要行動圏内におけるテリトリーの配置を決定する要因について考察したものである。
    2.調査は1968年の繁殖期から1974年の非繁殖期まで,赤坂御用地において行った。調査地は主に常緑および落葉広葉樹林からなり,ほぼすべての個体は標識されて,各々の経歴が明らかになっている。
    3.番形成は基本群の崩壊後に行われ,基本群の構成員は主に同一群の構成員を番の相手に選んだ。構成員はドミサイルの重複によって結び付いているので,番形成にはこのドミサイルの重複が重要な役割を果していると考えられる。
    4.基本群の構成員はその群の主要行動圏内にテリトリーを形成したが,成鳥雄はより好適な場所にテリトリーを形成し,若鳥雄はその他の場所を占めた。これは主要行動圏に対する成鳥の先住効果に起因していると考えられる。
  • 中村 浩志
    1979 年 11 巻 3 号 p. 189-218
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.京都付近では冬期,この地域で繁殖する留鳥のカワラヒワの他に,渡りのカワラヒワとオオカワラヒワが飛来する。これら3者の関係を明らかにするため調査を行なった。
    2.留鳥のカワラヒワは,冬期を通じ林緑地域に高い定住性を持つ。多くの個体は番いとなっており,たえず離合集散するまとまりの少ない群れをつくり,畑•水田•林などさまざまな場所を採食地とし,餌内容は多様である。
    3.渡り性のカワラヒワは,冬期主として開放地にまとまりを持った群れを形成し,おのおの場所に応じた特定の餌を,すべての個体が食べ,また集団ねぐらをとる。これらの個体の体の大きさは,留鳥のカワラヒワのそれよりもやや大きい。
    4.オオカワラヒワは,秋と春にのみ多数出現する。生息場所,群れの状態,餌内容,ねぐらなどは,渡り性のカワラヒワと類似している。
    5.多数の標識個体について定住性•移動•消失状況を調べた結果,以上3集団に属する個体が混合する群れは少なく,殆どは上記のように分かれて生息していることが確認された。また,留鳥のカワラヒワはすでに冬期からそれぞれの繁殖地近くにきわめて高い定住性を持つこと,渡りのカワラヒワも冬期開放地に比較的高い定住性を持つこと,さらに春先にたちよったオオカワラヒワの群れは,短期間に個体がたえず入れかわっていることが明らかにされた。
    6.九州の東串良と熊本で短期間の調査を行ない,留鳥のカワラヒワと渡りのオオカワラヒワとが,それぞれ別の群れを形成していることを見い出した。
    7.3つの個体群が分かれてすんでいる機構について若干の考察を行なった。留鳥群の林緑への定住は,すでに形成されている番い関係に関連するところが多く,また2つの渡り群の開放地での生息は,一時的に多量に得られる餌と関連するものと推定できる。同時にこの分離には,相互関係による生活空間の分けあいが関与しているのではないかと判断できる。
  • 1979 年 11 巻 3 号 p. 219a
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 11 巻 3 号 p. 219b
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 11 巻 3 号 p. 219c
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 11 巻 3 号 p. 219d
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 11 巻 3 号 p. 219e
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 柿澤 亮三
    1979 年 11 巻 3 号 p. Plate5-Plate6
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
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