山階鳥類研究所研究報告
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12 巻 , 2 号
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  • 長谷川 博
    1980 年 12 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.アホウドリの最近の繁殖状況を,年2回,すなわち,卵期と雛期とに,伊豆諸島鳥島に訪れて調査した結果をもとに報告した。鳥島は,この種の,現在確認されている唯一の繁殖地である。
    2.1977/78年期には,繁殖期の初めに73羽の成鳥が観察され,少なくとも12羽以上,多くとも20羽以下の雛が育てられた。1978/79年期には,繁殖期初めに80羽の成鳥,雛期に95羽の成鳥が観察され,22羽の雛が育った。
    3.成鳥目撃数からみると,最近,非常にゆっくりではあるが着実に個体数が増加しており,おそらく50~60つがいが現実に産卵していると推測されるが,雛の生産数はそれらから予想される数より少ない。
    4.1960年代初期と近年の繁殖状況を比較した結果,繁殖に成功する割合は近年低くなっていて,特に,繁殖コロニーの東部地区で,その傾向がはっきりしている。東部地区ではこの20年余りの間にそこに生えている植物の丈が低くなった。この植生の変化が,低繁殖成功率のひとつの原因ではないかと考えられた。
    5.1979年3月に,琉球諸島南部の尖閣列島南小島で,16羽のアホウドリ成鳥が調査隊によって再発見された。ただ,そこでの繁殖は確認されなかった。こうした最近の観察などを総合すれば,アホウドリの総個体数はゆうに150羽をこえていて,200羽にかなり近づいていると推測される。
    6.繁殖地でなされるべき保護策をいくつか提案し,鳥島で繁殖しているクロアシアホウドリの繁殖状況についても付言した。
  • 江口 和洋
    1980 年 12 巻 2 号 p. 68-78
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.1975年から1979年にかけて佐賀県神埼郡東背振村権現山および福岡市東区立花山一帯の照葉樹林において,シジュウカラ雛の餌消費に関して研究をおこない,摂食量,排泄量,成長量,代謝維持量を測定した。
    2.摂食量はふ化後2日目に0.5g.dr.10日目に最大値1.3g.dr.に達した。10日目以後の平均摂食量は5.56g.fr.または体重の38%であった。雛1個体は巣立ちまでの15日間に65.65g.fr.の餌を消費する。摂食量と1巣雛数との間に相関はみられなかった。排泄量は4日目2.0g.dr.,8日目5.6g.dr.,14日目8.2g.drで,摂取乾燥物量あたりの同化率は26~57%の間を変動した。成長量は5日目に最大値0.34g.dr/日に達した。最大代謝維持量は0.5g.dr.であった。
    3.摂食量は4日目3.7Kcal,8日目6.0Kcal,14日目7.0Kcalで,排泄量はそれぞれ0.7,1.7,2.8Kcalであった。摂取エネルギー量に対する同化率は52~72%の間を変動した。最大代謝維持量は4.4Kcalであった。
    4.今回得られた摂食量,排泄量および代謝維持量の値のいづれも,Royama(1966)がカラマツ林で得た値より大きかった。照葉樹林における高温がこれらの違いに関係しているものと思われる。
  • 由井 正敏
    1980 年 12 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ラインセンサス法の研究の第IV報として林相条件が記録率に及ぼす影響について,従来の報告に新たな資料を加え,分析した結果を報告した。
    2.森林原野性鳥類の生息環境は種ごとに分化しているため,記録率を林相間で比較できる例はもともと多くない。
    3.今回得られた資料による比較では,観察者の背丈より低い林相,背丈より高く密で若い林相,成長林で複層化しているが林内は疎な林相,同林内中下層が中程度の密度の林相,同林内中下層が背丈より高く密な林相,の各々で同一鳥種の記録率は相対的にその順に,138.4,108.2,100,84.8,72.4となった。
    4.こうした記録率の林相差は,主として植生の高さと密度を組み合わせた要因が,観察者による鳥の認知効力をどの程度しゃ断するかによって決ってくると考えられた。
    5.ただし,ウグイス,コルリなど主として強いSongのみで記録される鳥種では林相による記録率の差は認められなかった。
  • 由井 正敏
    1980 年 12 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ラインセンサス法の研究第V報として,観察半径の取り方,観察半径による記録率の変化などを,従来の報告に新しい資料を加えて再度分析した結果を報告した。
    2.平均観察距離を観察半径として用いても,鳥種,林相,観察者等による記録率の差違は解消されなかった。
    3.観察半径は全種共通の一定半径を取ることが望ましいが,その最大距離は50m程度と考えられた。
    4.観察半径50mの記録率を100とした時の同25mの相対記録率を計算した。観察半径50mに氏べ,25mの場合に鳥種,林相,観察者等による記録率の差違が小さくなる傾向はほとんどなかった。
    5.一定の観察半径としては,記録の安定性,記録数の多さなどの観点から25mより50mの方が良いと考えられた。
  • 由井 正敏
    1980 年 12 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ラインセンサス法の研究第VI報として,総合記録率の繁殖期間内における時期的変化について,従来の報告に滝沢の分析資料を加えて総合的に検討した結果を述べた。
    2.滝沢では優占上位18種中4種,富士では同11種中1種のみが記録率に有意な季節変化を示した。他の観察者による報告も含めて検討すると,延べ29種のうち一定の季節変化を示したのは合計5種に過ぎなかった。ただし数種の鳥では7月以降急激に記録率が変化する場合があった。
    3.記録率が時期的に一定の変化を示したアカハラ,ヒヨドリ,エナガ,キバシリの5種のうち前4種について,その原因を考察した。キジバト,エナガの変化は密度自体の変化によっていると推測された。
    4.記録率の時期的変化による密度推定の誤差を小さくするための方法について述べた。
  • 由井 正敏
    1980 年 12 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ライセンサス法の研究の第VII報として,生息密度自体と記録率の関係について新たに解析した結果を述べた。
    2.滝沢の9年間のデータおよび各地域間のデータについて,総合記録率と生息密度の関係を見たところ,いずれも有意な相関を持たなかった。Song記録率についてもほぼ同様な結果であった。
    3.これらの結果から,経験的に求めた総合記録率を用いて生息密度を推定する手法の有効性がさらに高まったと考えられた。
    4.密度増等によってSong記録率が高まっても総合記録率の変化は少ない原因として,Song,Callおよび移動活動などの間に拮抗的関係があることが推測された。
  • 河田 雅圭
    1980 年 12 巻 2 号 p. 106-128
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.帯広農業高校構内のカシワ自然林及びカラマツ造林地約16haで,1976~1979年の4月下旬~7月下旬にアカゲラとコアカゲラの造巣期から巣立ちまで,繁殖について観察を行った。
    2.主調査地内に毎年3~7つがいのアカゲラと,1つがいのコアカゲラが繁殖した。
    3.アカゲラの造巣期は,4月下旬~5月中旬で,造巣期と産卵期をあわせると27~30日間であった。抱卵期は5月中旬~6月上旬で15~20日間,育雛期は6月上旬~下旬の約20日間であった。コアカゲラの繁殖はアカゲラより数日遅れ,抱卵期は6月上旬~中旬,育雛期は6月中旬~7月上旬であった。
    4.アカゲラの巣造りは,初期は雄だけで行い,後期になってから雌が参加した。巣造り期間中,交尾とドラミングが観察され,ドラミングは抱卵,育雛まで続いた。コアカゲラは,雌雄とも巣造りに参加したが,雄が主に行っていた。
    5.アカゲラの営巣木はほとんど生立木で,主調査地ではカシワ(77.8%)が多かったが,主調査地外では10種の樹木にわたり多様であった。営巣木の胸高直径は20~65.0cmで,25~30cmの間が最も多かった。巣の高さは,0.7~7.3mで平均3.03mであった。コアカゲラは観察された5例とも枯木か生立木の枯れた幹に営巣した。
    6.アカゲラの抱卵は雄と雌が交代で行ったが,日中の抱卵時間は雌で長いことが多かった。抱卵率は,抱卵後期になるにしたがい高くなった。抱卵初期には雄,雌どちらか一方が60分以上抱卵している時間帯があったが,後期は1時間に両性とも20~40分は抱卵を行った。コアカゲラでも雌雄交代で抱卵を行った。
    7.給餌は,雌雄交代で行った。雌雄合せた1時間あたりの平均給餌回数は,ふ化後14日目ごろまでは増加する傾向にあったが,18~20日目には減少した。親による巣の中からの糞の運搬行動は給餌回数の増加とともに増加したが,巣立ち2~3日前にはまったく行われなくなった。観察したコアカゲラの巣では雄だけが給餌を行った。
    8.アカゲラでは,全部が巣立つのに2~3日かかった。雛の数は2~4羽であった。雛は巣立ち後1週間は巣の近くの高い枝で親から給餌をうけていた。コアカゲラも全部が巣立つのに2日かかった。巣立った1羽はハイタカに捕えられた。
  • 井上 良和
    1980 年 12 巻 2 号 p. 129-137
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.コサギEgretta garzettaの非同時孵化に至る過程を明らかにするために,1977年に三重県で調査をおこなった。
    2.47巣を調査対象とし,特に12巣において48日間の巣を中心とした終日の行動観察をおこなった。
    3.営巣開始からヒナの巣立ち後までの全繁殖過程を,5つのステージ,すなわちステージ1(造巣期),2(産卵期),3(抱卵期),4(巣内育雛期),5(巣外育雛期)に分けた。
    4.産卵はほぼ1日半に1卵ずつおこなわれ,一腹産卵数は平均4.86卵(4-7卵)であった。
    5.抱卵は両性によって初卵産下後ただちに始まり,その後,抱卵率(1日の観察時間に対する抱卵時間の割合)は急激に増加し,通常第2-3卵産下以降に完全抱卵(抱卵率80%以上)になった。また,抱卵日数は平均23.44日であった。
    6.ヒナの孵化には時間的ずれがみられ,初卵と第2卵ないし第3卵までは孵化のずれは近接し,第3卵ないし第4卵以降,孵化間隔は産卵間隔(およそ1日半)に近づいた。
    7.完全抱卵になる過程と,各卵の孵化のずれ方がよく平行していることは,卵の本格的な発生が抱卵開始とともに始まり,孵化までに要する時間が抱卵の積算時間によることを強く示唆している。
    8.以上の結果をもとに,同時孵化と非同時孵化について若干の論議をおこなった。
  • 富士元 寿彦
    1980 年 12 巻 2 号 p. Plate1-Plate2
    発行日: 1980/05/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
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