山階鳥類研究所研究報告
Online ISSN : 1883-3659
Print ISSN : 0044-0183
ISSN-L : 0044-0183
15 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Donald S. Farner
    1983 年 15 巻 2 号 p. 97-140
    発行日: 1983/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    特に野生種に重点を置いて,鳥の生理学における最近の趨勢の中から,いくつかの重要なものを選んで簡潔に記述した。それらに含めたものは抱卵中の胚と外部環境の間におけるガス交換,肺気嚢システムの構造と機能,鳥のエネルギー論,換羽調節とエネルギー論,浸透圧調節,イオン調節と窒素排泄,腎臓と下部消化管,塩腺とレニンアンジオテンシンシステムの役割りを含む内分泌学,方向判定と航法等の諸研究である。これらの趨勢の中で見られることは,調査対象の種の範囲が拡大していること,自然条件下での測定に一層の努力がなされるようになったこと,野外における野生種についての実験の成功例などである。生理学的研究は,鳥に関する博物学と動物地理学のぼう大な知識の蓄積によって推進されてきたのである。
  • 中村 司, 北原 正彦
    1983 年 15 巻 2 号 p. 141-155
    発行日: 1983/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    鳥類の渡りの要因として重要である,日照と温度について,カシラダカを用い複合実験を試みた。
    まず22°C,15°C,8°Cに一定にした3つの飼育室の日照時間を,9時間から15時間まで延長させ,次に15時間から9時間まで短縮させ,この間におけるカゴ内の鳥の活動を渡りの衝動を中心に測定した。
    その結果,日照時間,13時間から14時間にかけて,22°C,15°C,8°Cの3グループとも,ほとんど同時に渡りの衝動,つまり渡り行動が開始され,温度差に関係なく,日照時間のみによってその行動が起きた。
    しかし渡りの活動量については,温度によりいろいろ差がみられた。
    即ち,22°Cで飼育した鳥のグループは7月から8月にかけて,渡り行動が盛んになり,9月で終了した。また15°Cのグループは7月に一度渡りの行動がみられた。また8°Cのグループは7月に小さな渡りの行動が起り,さらに9月にも,より大きな渡り行動がみられた。
    これらのことから,春の渡りは日無時間のみによって渡りがひき起こされることがわかった。しかし温度は渡りの活動量を定める要因として働いていることがわかった。
  • Asok Ghosh, Joysree Banerjee
    1983 年 15 巻 2 号 p. 156-166
    発行日: 1983/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    この短い考察の目的は,鳥における個体数の過剰によるストレスに対する内分泌器官と行動面の反応に関する我々の知識の現状をのべるものである。
    この社会的ストレスの主な結果は,部分的な生殖器機能の低下及び他の生理的障害に反映するものである。エピネフリンはストレスの状態に拮抗する重要な役割りを演ずる主要なホルモンの一つである。
    本研究はまた社会的ストレスの状態の引きがねとなる環境の諸要因について報じている。
    最後にストレス反応の行動を予知できるとして考えられる行動様式についても論じた。
  • 綿貫 豊
    1983 年 15 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 1983/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    北海道羽幌町,天売島において,ウミネコ,オオセグロカモメ,ウトウ及びハシブトガラスの捕食及び防衛機構を1979~1981年に調査した。ハシブトガラスは4月下旬と5月には主要な卵捕食であり,6月下旬にはウトウのヒナを捕食した。オオセグロカモメは6月中旬にウトウのヒナを捕食し,6月下旬と7月にウミネコのヒナが利用可能となるとそれを捕食した。ウミネコの成鳥はヒナを捕食しているオオセグロカモメに対しモッビングと直接攻撃をしたがこれらの直接防衛行動が捕食成功率を下げているという証拠は得られなかった。オオセグロカモメとハシブトガラスは,ウトウのヒナが巣穴の口近くに出ている早朝にそれを捕食した。ウトウの巣穴営巣性と夜行性は捕食者に対する間接防衛機能を持つと考えられる。
  • 1983 年 15 巻 2 号 p. 174
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
  • 1.迷鳥の観察記録(1970~1981年)
    飯嶋 良朗
    1983 年 15 巻 2 号 p. 175-176
    発行日: 1983/09/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    Nine species of stragglers and rare birds were recorded from Taik, southern Tokachi district, Hokkaido, from September 1970 to May 1981. A single bird of Accipiter gentilis albidus was observed on February 10, 1981 at Hikata. A single bird of Falco rusticolus was seen from January 11 to February 20, 1980: January 11 at Kosei, January 20 at Shimo-taiki, February 1 at Memu and February 20 at Furubetsu. A single bird of Falco columbarius was observed on March 10, 1979 at Toyosato. A single bird of Grus grus was observed in September, 1970 at Bisei and November, 1971 at Seika. Two birds of Grus monacha was seen in late October at Nakajima, from 1972 to 1974, and a single bird of G. monacha was seen at Nakajima from April 29 to May 6, 1981. A single bird of Grus canadensis was seen from December 5 to 23, 1979 at Seika. Two species of Grus were seen in company with Grus japonensis. A single bird of Tringa guttifer was seen from September 21 to 23, 1980 at Kosei. A single bird of Emberiza pusilla was seen among a flock of Acanthis flammea from January 25 to 28, 1978 at Kaishin. A single bird of Corvus monedula dauuricus was seen from April 3 to 8, 1978: April 3 at Taiko and April 3 at the town of Taiki, and on March 13, 1980 at Takuhoku. These records are the first ones from Tokachi District.
feedback
Top