山階鳥類研究所研究報告
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17 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 黒田 長久
    1985 年 17 巻 1 号 p. 3-8_2
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    After its half a century activity at Shibuya, Tokyo, the Yamashina Institute for Ornithology has been opened on 1 December 1984 at its new site near lake Tega, Abiko City, Chiba Prefecture.
    The lake Tega had been one of the four marshy lakes, Imba, Wada, Ushiku and Tega, which provided the most important winterquarters for waterfowl in central Honshu. Geese, the Bean and White-fronted, concentrated at lake Wada and ducks preferred Tega where joint duck-netting grounds existed since old tims. A pair of ducks caught were annually presented to Toyotomi and then Tokugawa Shogunates. The pochard, Aythya ferina was characteristic wintering species of the lake and many rare and accidental species of waterfowl had been obtained and observed, including Snow Goose, Canada Goose, Canvasback, Long-tailed Duck, Rudy Shelduck, etc.
    After the world war II, ducks were persecuted by indiscriminate gun-hunters and traditional netting came to the end. Moreover, main area of waterfowl resort was reclaimed for rice fields.
    However, remaining water surface is now protected from hunting and is still visited and inhabited by ducks, coots, moorhens and reed buntings, etc. The water pollution of lake Tega has been reputed as worst of lakes, but measures of water purification are being advanced. We saw and heard a green pheasant, an Ural owl and other birds in back-hill wood of new institute site, and it would be a tempting idea to have, in future, a waterfowl laboratory somewhere along the lake coast.
  • 綿貫 豊
    1985 年 17 巻 1 号 p. 9-22
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1) コシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの繁殖生態を,北海道厚岸町大黒島(42°52'N,144°52'E)で,1982年4月下旬から10月上旬まで調査した。
    2) 抱卵日数は41.8日,抱卵交代日数は2.9日,雛の体重増加係数(K)は0.078,雛の最大体重69gで61.2日で巣立した。成鳥体重48.5g,卵重11.2gであった。
    3) 平均巣立率は92%で,営巣地植生,巣穴の深さ,最近接巣間距離によって変化しなかった。
    4) 平均孵化率は75%で,深い巣穴の方が浅い巣穴よりも,早く産卵された方が遅く産卵されたよりも,孵化率が高かった。
    5) 複雑な根系をもつノガリヤス区の巣穴は深く,孵化率が高かった。
    6) どの産卵時期においても,孵化率はノガリヤス区>ヨモギ区>フキ区の順であったが営巣密度はヨモギ区(1.69/m2)>ノガリヤス区(0.80/m2)>フキ区(0.60/m2)の順であった。
    7) 孵化率が高いノガリヤス区では平均的に産卵日が早い傾向があり,部分的に"密度制限モデル"(Davies,1978)が支持された。
  • 田中 裕, 兼子 康雄, 佐藤 重明
    1985 年 17 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    (1) 筆者らは,東京大学海洋研究所研究船白鳳丸航海中に行なった海鳥の目視観察に基づき,小型シロハラミズナギドリ類の渡りと分布域の表層水温およびこれらの分布の関連について調べた。
    (2) ハグロシロハラミズナギドリとヒメシロハラミズナギドリは,毎年,定期的に,北西太平洋に渡来して来るものと考えられ,また,現在までのところ,シロハラミズナギドリを含む3種以外の小型種の北西太平洋への移動や渡りがないことが判明した。
    (3) ハグロシロハラミズナギドリの北西太平洋への渡来時期について,6~7月にかけて同海域に飛来し,8~9月に本州南東海域に多数分布する。そして,11月に繁殖地に戻るのではないかと考えられる。また,本種の好適水温は25~28°Cの範囲にあるので,三陸沖合での北方への分布も,37~38°N線までに制限されるのではないかと思われる。
    (4) ヒメシロハラミズナギドリは5~6月に本州東方海域に渡来し,7月下旬~9月にわたって三陸沖合に集中分布して,黒潮前線を主要な採餌域としていた。そして,10~11月に日本近海を去って繁殖地に戻るものと考えられる。
    (5) 6~9月の小型シロハラミズナギドリ類3種の分布域の表層水温は,16~31°Cの範囲にあり,ハグロシロハラミズナギドリ,シロハラミズナギドリ,ヒメシロハラミズナギドリの順に温暖域を好適水温とするようである。また,北西太平洋に分布する際に,それぞれの好適水温内で採餌海域を異にし,3種は競合を少なくして北西太平洋の餌場を利用しているといえる。
    (6) シロハラミズナギドリとハグロシロハラミズナギドリは,繁殖地か生息域を同じくする温暖域の海鳥類と群をつくるのに対して,ヒメシロハラミズナギドリは採餌域を同じくするウミツバメ類と大きな群を形成する。
  • 糟谷 洋子, 唐木田 丈夫, 大河原 雄児, 山口 賢一, 小林 英司
    1985 年 17 巻 1 号 p. 32-43
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1) セキセイインコを12L12Dで飼育すると,日中の飲水は少なく,消燈(19:00)の1時間前か1時間後に飲水のピークがある。ウズラでは点燈後(07:00)1時間にピークがみられる。
    2) セキセイインコは夜間(0.1ルックス以下)でも飲水するが,ウズラは夜間飲水しない。
    3) セキセイインコは前報(Gen.Comp.Comp.38,94,1979)と異なり,AIIの腹腔内注射に反応して飲水する。アンギオテンシンIIIは影響を与えない。ウズラも同様な反応を示す。
    4) セキセイインコでは,血中のAIIの濃度と1日の飲水量とは平行しないが,ウズラでは平行関係がある。セキセイインコにSQ14225(AIをAIIに転換する酵素の阻害剤)を与え,血中のAIIを減少させるような処置をしても,飲水はほとんど影響を受けないが,ウズラに与えると完全に飲水は抑制される。これらの結果は,セキセイインコでは血中のAIIは,ふだんの飲水には関係がないことを示し,ウズラでは,ふだんの飲水に血中のAIIが関与していることを示す。すなわち乾燥地帯原産のセキセイインコでは,AIIによる飲水誘起機構が弱くなったか,あるいは全く失われてしまったのであろう。適応現象の一つと考えられる。
  • 小城 春雄, 田中 博之, 辻田 時美
    1985 年 17 巻 1 号 p. 44-56
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1973年7月10~24日の間アナディール湾とその周辺海域において行った海鳥目視観察から,アナディール湾におけるウミガラス類の生息数は357054羽(ウミガラス:302068羽,ハシブトウミガラス:54986羽)と推定した。また,上記海域で行なわれた14回のサケマス流し網試験操業時に混獲されたウミガラス425羽の胃内容物解析から食性を明らかにした。すべてのウミガラスの胃内容物重量組成は端脚類44.6%,オキアミ類31.3%,魚類18.3%,消化物5.5%,エビ類0.2%,イカ類0.07%,クラゲ類0.004%であった。端脚類はほとんどすべてがParathemisto libellulaであった。Ogi and Hamanaka(1982)により報告された同一海域におけるハシブトウミガラスの胃内容物組成を使用し,本報告で明らかにされたウミガラスの食性と比較した。因子分析結果から,ウミガラスはオキアミ類と魚類を多く捕食する傾向があった。一方ハシブトウミガラスは端脚類を多く捕食していた。しかし,索餌域に端脚類が卓越する場合には両種共端脚類を専食していた。
  • 岡 奈理子, 丸山 直樹
    1985 年 17 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 1985/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1982~1984年に,斃死および事故死した276体のハシボソミズナギドリPuffinus tenuirostrisを材料にして,脛骨および大腿骨の視覚評価による簡便な栄養診断法の開発を試みた。骨髄のきめから視覚的に3段階(ランク1;水分を含みゼラチン状,ランク2;油分の浸出がなくグリース状,ランク3;油分の浸出がみられグリース状)に区分し,体重•胸筋重量•肝臓重量•体脂質含有率(ソクスレー法による)との関係を検討した結果,ランク2と3は相互重複が大きく,中~富栄養状態と対応し,ランク1は,体乾重量百分率を除いて他区分との重複が全く認められず,斃死および斃死寸前個体の貧栄養状態とよく対応した。脛骨と大腿骨はどちらもほぼ同結果を示すが,骨髄量の多い脛骨を用いた方が,高精度の結果が得られる。本方法は,斃死体の多少の腐敗やスカベンジャーによる損傷には左右されず,本種の貧栄養個体を野外で簡便に識別する上で,有効であることがわかった。
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