山階鳥類研究所研究報告
Online ISSN : 1883-3659
Print ISSN : 0044-0183
ISSN-L : 0044-0183
17 巻 , 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 大原 均, 山岸 哲
    1985 年 17 巻 2 号 p. 67-73_1
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.1984年6月14日に,長野県下伊那郡喬木村富田地籍(標高約700m)のアカマツ林で,前報にひきつづきヤブサメの巣を再び発見した。
    2.この巣の中には,ツツドリの雛と思われる1雛がいて,4羽のヤブサメの成鳥が通っていた。
    3.これ等の4羽にカラーマーキングをして,雛が捕食された6月18日までの5日間,巣における各成鳥の育雛活動を主に朝と夕方,延べ2,284分観察した。
    4.今回の観察結果から,前報におけるヘルパーの仕事分担の解釈に若干の誤りがあったことが判明した。すなわち,ほとんど雛に給餌せず,巣の近くでよく囀るだけの個体がヘルパーだと思われる。。
    5.今回の観察では,両親と思われる鳥の他に2羽のヤブサメが巣に来たが,その2羽目の鳥は隣接なわばりの親か,あるいはそこのヘルパーがツツドリの雛の「餌乞い声」にひきつけられて来た可能性がある。
    6.前報では,ヤブサメのヘルパーつき繁殖は例外的に生起したものであろうと記したが,今回の再発見で,ヤブサメでは規則的に成鳥3羽の協同繁殖が行われている可能性が大きくなってきた。
    7.ただし,ヘルパーの給餌貢献度はきわめて小さく,ヤブサメにおける両親以外の第三の成鳥の存在意義を今後明らかにする必要がある。
  • 江口 和洋
    1985 年 17 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    熊本県水俣市旧JIBP水俣研究地域内の照葉樹林において,ヤマガラとシジュウカラの雛の餌消費,餌サイズ,エネルギー摂取量及び栄養摂取量を測定した。1日当たりの給餌回数は両種で差はなく巣当たり約100回前後であった。両種は主に鱗翅目幼出及び成虫,クモ類及び直翅目を給餌していたが,ヤマガラの方が小型の餌を選択していた。1日当たりのエネルギー摂取量は有意な差はなかったが,ヤマガラは鱗翅目成虫,クモ,直翅目等外骨格の硬い餌を多く摂取するため消化吸収率が低かった。1日当たりの消化吸収量は両者で差はなかった。栄養分析の結果,ヤマガラはシジュウカラに比べて窒素摂取量が高かった。餌の質の違いが両種の一腹卵数の違いに関係していると考えられる。
  • 中村 秀哉
    1985 年 17 巻 2 号 p. 84-104
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    茨城県水戸市において,セグロセキレイの繁殖について生息地と婚姻システムの点から調査した。
    1.産卵の開始と終了は,市街地周辺より河川敷において早かった。これは,餌•捕食•天候の地域的差によるものと考えられた。
    2.クラッチサイズの季節的変化は,3月から6月の期間で4月をピークとした山型を示した。クラッチサイズの市街地周辺と河川敷における頻度分布には有意な差はなく,平均クラッチサイズは5.18卵であった.
    3.孵化率•巣立率とも河川敷より市街地周辺のほうが高かった。市街地周辺の高い繁殖成功は,市街地周辺における繁殖利用の増加に関連していると思われた。
    4.繁殖成功率は繁殖前期より後期のほうが低く,後期繁殖は特に河川敷において不利であった。繁殖期中の河川敷から市街地周辺への一部個体の移動は,これに適応した行動であると考えられた。
    5.一夫二妻での繁殖は,巣雛の死亡増加と孵化率の低下のため,特に第二配偶雌において不利であった。しかし,一夫二妻の巣は捕食や天候による害を受ける率が低く,結果的に一夫一妻と同程度の繁殖成功をおさめた。セグロセキレイにおいて一夫二妻による繁殖が少ないのは,一夫二妻になった時の不利が存在し,これを打ち消す要因が確実でないためであろう。
  • Manisha De, Asok Ghosh
    1985 年 17 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    白色レグホンのひなのファブリキュウス嚢(F嚢)切除による血糖,副腎皮質,副腎髄質の変化について調べた。
    その結果F嚢切除後10日目,17日目及び24日目のひなでは終始高血糖症状を示した。同様にしてF嚢を切除したひなにおけるカテコラミン全量は増加した。F嚢切除後10日目のひなではコルティコステロンの合成と貯蔵が高まり,17日目,24日目ではコルティコステロンの放出がみられた。これらはF嚢切除に原因するものと思われる。この実験からF嚢切除後17日目と24日目のひなの高血糖症状はコルティコステロンの放出によるものと推論される。しかし,F嚢を切除した10日目のひなにおける高血糖症状については説明が困難である。
  • 岡 奈理子, 杉森 文夫, 石橋 順子
    1985 年 17 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ハシボソミズナギドリの斃死発生数を,1976年から1982年まで,千葉県九十九里海岸で調査した。調査は,椎名内浜に2kmのライントランセクトを設け,毎年春季,原則として週1回行なった。あわせて,ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリの斃死数も記録した。
    2.その結果,ハシボソミズナギドリの斃死ピークは,毎年5月下旬から6月初旬に認められたが,ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリでは,両種共斃死ピークは認められなかった。
    3.ハシボソミズナギドリの斃死ピーク時の累積斃死密度は,1977年を除くと,12.3±5.72(SD)/kmと低値を示した。1977年は,同44.5/kmの高値を記録したものの,1974年,1975年の全国的な大量斃死時の九十九里海岸の斃死密度80/kmと比較すると著しく低く,他地域での斃死発生報告も得られなかったので,悪天候による局所的な現象とみなされた。
    4.ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリは,ハシボソミズナギドリと比較して,全期間中斃死発生が少なかった。
    5.以上のことにより,ハシボソミズナギドリの1974年,1975年レベルの大量死は,1976年~1982年の7年間発生していないことが判明した。
  • 山岸 哲
    1985 年 17 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1) 大阪府と和歌山県境にある多奈川火力発電所周辺の緑のエリアと自然林の鳥相を,1984年に比較調査し,9目24科42種の鳥を確認した。
    2) 緑のエリアと自然林では出現種類数に大差はなかったが,緑のエリアのうちの植栽林に出現する種類は著しく少なかった。
    3) 緑のエリアの鳥相の多様性は緑のエリア内の伐り残された自然林によって支えられており,植栽林にはまわりの自然林から鳥が拡散してきていることが示唆された。
    4) 冬季,植栽林へ入りこんだ鳥のうち,大型の地上採食種(ドバト•シロハラ•ツグミ)が自然林よりも多く出現したが,これは植栽林の林床がすけているためと推定された。
    5) 植栽林でキジバト(1巣)とヒヨドリ(5巣)の古巣を発見した。
  • 小笠原 〓
    1985 年 17 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    I analyzed the several acoustic sounds of Japanese Crested Ibis Nipponia nippon which is one of the species in danger of extermination in the world, by means of sound spectrograph (Rion SG-07). The acoutic sounds of so-called Kinchan (female) in the cage (Toki Hogo Center, Sado, Niigata Pref. Japan) and of the breeding one in China were compared with several sonagrams shown by the pattern of 7.2 second (2.5KHz). Dement'ev (1969) reported that voice of Japanese Crested Ibis resembles croaking of Raven, but it was, in fact, much louder, and it may be expressed as "ka-ga, ka-ga, ka-ga" and sometimes as "kag, kag, kag". In this study, I recorded three kinds of different sonagrams of Kinchan (Kwá, kwáu and Kwá-n) and four kinds of sonagrams in China (Kwá, kwa-u, Kwan and Kwá-n). The sonagrams of Kwa-n in Kinchan and those in China are said to be similar sounds, but it is clear that both sonagrams are somewhat different from each other.
  • 佐藤 理夫, 有馬 健二, 佐藤 文男
    1985 年 17 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    On 22 September 1982, a Pallas's Warbler Phylloscopus proregulus was obtained in the Sea of Japan off the coast of Iwanai in Hokkaido. In our country this species has only been observed on 21 April 1964 on Tsunoshima Island in Yamaguchi Prefecture. The speciman in this short comunication is classified to Phylloscopus proregulus. We consider that the main migration route of this subspecies is formed in the inside of the eastern Asia including the coastal area. The Pallas's Warbler obtained seemed to be strayed from the main migration route to sea by a strong wind from the low pressure.
  • 風間 辰夫
    1985 年 17 巻 2 号 p. 138-139
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1984年12月2日,新潟市五十嵐3の町の新川河口でヒメハジロBucephala albeolaのへい死体を拾得した。
    本種が日本で記録された地域は,北海道,青森,岩手,宮城,千葉,それに新潟県となっている。特に日本海側の記録は新潟県の1957年における一例のみであり,今回は二例目となる(清棲1965,日本鳥学会1974,黒田1984)。
    1.発見日時,場所:1984年12月2日午後4時頃,新潟市五十嵐3の町の新川河口
    2.発見者:筆者
    3.鳥体の状況:体重185グラムで非常にやせていてかなり腐敗が進んでおり死後7~10日と思われた。
    各部の測定値は,嘴峰長28mm,〓蹠長28mm,翼長158mm,尾長67mmで,雌の成鳥であった。
  • 風間 辰夫
    1985 年 17 巻 2 号 p. 140-141
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1984年12月27日,新潟県柏崎保健所ヘウミオウムCychlorrhynchus psittaculaの保護依頼があり,新潟県傷病鳥救護舎で保護飼育したが4日目に落鳥した。
    本種が保護されたのは日本で初めてであり,へい死体の報告及び渡来状況については新潟県柏崎で現認した(風間1968a)。
    1.発見日時,場所:1984年12月27日午前10時頃,新潟県柏崎市大久保1丁目地内の道路上。
    2.鳥体の状況:体重165グラムであり,非常にやせていた。
    各部の測定値は,嘴峰長16mm,〓蹠長27mm,翼長148mm,尾長47mm。
    3.飼育状況:本種の飼育は日本で初めてである。ウミオウムを保温し,冷凍ワカサギを切って,これにパンビタンを混ぜ1日30~50グラムを与えたが体重は増加せず4日目の午前11時頃落鳥した。
feedback
Top