筆者は,1983年から1985年にかけて,北太平洋でのハシボソミズナギドリの渡りルート洋上調査の一環として実施された第三次洋上調査中(1983年5月10日~同年6月7日),鹿島灘沖で,本種の大量死発生状況を観察した。
本種の衰弱•斃死鳥は,ホノルル経由で北米西北岸のポートランドまでの往路と,アラスカ湾沖,ベーリング海を経て千島列島沖までの航海中,一羽も観察されなかったものの,6月5日北海道•東北沖で観察された169羽のうち1羽に衰弱浮遊鳥が確認され,次いで6月6日鹿島灘沖では294羽のほとんどが衰弱鳥と判断され,3羽の斃死鳥が観察された。
この鹿島灘沖に認められた本種の衰弱•斃死鳥の集中分布は,同年の日本沿岸の大量死発生地域(徳島県~茨城県)の北端部とよく対応した。
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