山階鳥類研究所研究報告
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22 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • R. Ian Goudie, Pierre C. Ryan
    1991 年 22 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1982年から88年にかけてニューファウンドランド沿岸で冬期に採集した5種の海鴨(ホンケワタガモ,ケワタガモ,クロガモ,コオリガモ,シノリガモ)の食性と消化器官(砂嚢重量,小腸•盲腸の長さ)を調査した。5種類ともほとんど動物質の餌を食べていたが,ホンケワタガモ,ケワタガモ,クロガモが貝類とウニ類を高い割合で食べていたのに対し,コオリガモとシノリガモは等脚類と端脚類を比較的多く食べていた。消化器官の計測値は体の大きさに関係なく,食性の違いによって種間での差異がみられた。
  • 中村 浩志
    1991 年 22 巻 1 号 p. 9-55
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    集団誇示行動を通し,秋に番いとなったカワラヒワの標識された個体群を追跡調査することにより,秋以後の分散と繁殖なわばりの確立過程および繁殖期における社会構造についての調査を行った。冬期間の移入と消失はともに小なく,翌年の繁殖個体数は,前年秋の集団誇示行動が終った時点でほぼ決っていた。秋に集団誇示行動域近くに繁殖なわばりを確立しなかった番いは,冬から春先にかけ次々にその地域から去り,そこから離れた場所になわばりを確立した。繁殖なわばりは,先に確立されたものの近くにつくられる傾向があり,集団誇示行動地域近くに早い時期から確立したなわばりは,いくつかが互いに隣接したなわばり群を形成したのに対し,離れた地域に遅く確立されたなわばりは,単独のものもみられた。すなわち,秋に集団誇示行動を通して番いになったメンバーが,翌年の繁殖期にかけて徐々に集団誇示行動地域から分散してゆく過程を通し,繁殖期のルース•コロニーと呼ばれるなわばり分布形態が確立された。秋に確立された番い関係は,番いの相手が死なない限り,翌年の繁殖期の終りまでほぼ維持された。営巣場所は繁殖のたびごとに変えられたが,雛の巣立ちに成功した場合は比較的前の巣の近くに,失敗した場合はより遠くへ移動して繁殖する傾向が認められた。しかし,営巣場所の移動は,それぞれの集団誇示行動地域に近い地域内に限られ,異なったグループの個体がそれにより混じり合うことは少なかった。繁殖期にみられた独身雄は,番い雄の死亡によって独身雌が出現する可能性の高いなわばり群を含んだ地域で活発に囀り,その地域から他の独身雄をしめ出していた。繁殖期の進行に伴ない独身雄の数が多くなると,単独なわばりのある周辺の地域に囀り域を持つ独身雄もみられた。独身雄の密度が最も高い時期にはまた,独身雄が留守の時に囀り域に侵入して囀る,なわばりを持たないより劣位の独身雄もみられた。すなわち,独身雄は順位関係に基づいた雌獲得のためのなわばりを確立していることが明らかにされた。これらの結果に基づいて,カワラヒワの社会構造とその特性に関する論議を行った。
  • 前田 琢, 丸山 直樹
    1991 年 22 巻 1 号 p. 56-69
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1) タスマニア州ホバート市において,1988年初秋に都市鳥類群集の調査を9地点で行ない,群集の構造とハビタットとの関係を調べた。
    2) 市街地の中心部から周辺部のユーカリ林にかけて29種の鳥類が確認され,これらのうち24種が,「都市性種」(5種),「郊外性種」(3種),「森林性種」(16種)に分類された。
    3) 市街地の群集は移入種(House Sparrow, Common Starlingなど)が優占していたが,林地の群集には移入種はほとんど見られなかった。
    4) 市街地の群集では,種数,密度,多様性指数とハビタット要因(植生階層構造,緑被率,裸地率,建蔽率,建築物戸数)の間に直線的な相関関係が見られたが,林地の群集はこの関係から大きく外れていた。
    5) 都市における在来植生の減少と移入種の増加が,ホバートの市街地と林地の群集の不連続性の要因となっていると考えられた。
  • 李 福来
    1991 年 22 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1986年,北京動物園にトキ増殖センターが設けられ,現在5羽のトキが飼育されている。それらは幼鳥時に中国陜西省洋県で野外から捕えられたものである。このうちの1985年生れの雌と1986年生れの雄を,繁殖のため同一ケージに収容した。1989年6月13日と15日に計2卵が産卵された。そして7月8日の朝1卵が孵化したが,親鳥につつかれて死亡した。ニワトリの仮母に託されていたもう1卵は,7月10日に孵化したが,残念ながら6日後に死亡した。トキの抱卵日数は文献によると28-30日とされているが,今回は25日であった。本例は飼育下におけるトキの初繁殖成功記録である。
  • Mark A. Brazil, Chris Cook
    1991 年 22 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1987年5月29日石川県舳倉島でハマヒバリ1羽を観察した。本種はソ連東北部の海岸域とシベリア内陸部に広く繁殖し,ソ連南部から中国にかけて越冬する。日本では本種の渡来記録は1953年以前には4回あるが,野鳥観察人口の増加とともに近年ではほぼ毎年のように記録されている。しかしいずれも秋期から早春期であり,今回舳倉島で観察された時期は日本では最も遅いものであった。
  • Mark A. Brazil, Phoebe Snetsinger
    1991 年 22 巻 1 号 p. 80-82
    発行日: 1991/01/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本種の越冬域のひとつは日本海,更には,日本の太平洋沖までとされてきた(De Schauensee 1984, Harrison 1985)が,日本では1980年代前半までに2例の観察記録があるのみで,ごく稀に渡来するに過ぎなかった。筆者らは本種の非繁殖羽の成鳥1羽を1987年6月12日三宅島湾内で,2歳羽と判断される1羽を1987年6月27日沖縄本島漫湖で観察した。しかし,過去2例と今回の2例の計4例とも4月後半から8月までの記録であり,日本を本種の越冬域に含むのは,妥当でないと考えられた。
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