山階鳥類研究所研究報告
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25 巻 , 1 号
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  • Charles G. Sibley, Jon E. Ahlquist, Paul DeBenedictis
    1993 年 25 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    前世紀以来のほとんどの分類によれば,クイナ科(Rallidae)はツルやその仲間,例えば,ジャノメドリ,ノガン,ツルモドキ,ヒレアシ,ラッパチョウ,ノガンモドキ,カグーなどと共にツル目(Gruiformes)に入れられている。クイナにクイナ目(Ralliformes)として独立した目を割り当てている分類もある一方,他の分類では現在チドリ目(Charadriiformes)に入っているいくつかの分類群が,クイナ科に近縁であるとしてツル目に入られてきた。DNA交雑法によるデータは,クイナが他のいかなる分類群よりも典型的なツル目鳥類に近縁であるが,ツル目の中では特定の近縁群を持たないことを示唆している。
  • 黒田 長久
    1993 年 25 巻 1 号 p. 12-27
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1992年7月8日沖縄島東村北部新川ダムサイトで犬の咬傷で死亡し,同村教育委員会で冷凍保存され,その後我孫子市鳥の博物館に送られたヤンバルクイナ雄幼鳥についてその形態測定と解剖を行った。この標本と1992年11月石垣市ダム下流道路で拾われたオオクイナ,筆者所有の断片的記録資科(クイナ,ヒクイナ,ツルクイナ,ムナジロクイナ,バン,タスマニアバン(無飛力),オオバン)を用い,外形態の翼開型や剥皮体の各部測定(黒田1961),胸骨,腰骨,胸筋量,脚節量,臓器重量などを調べた。ヤンバルクイナは胸骨,胸筋が縮小し,無飛力化が進んでおり,脚筋は発達し,胸筋の約4倍の量があった。上膊骨は短細化し,大腿骨は太く上膊骨より長かった。脚も長く地上走行から樹上塒への登攀にも十分適応を示していた.
  • 池長 裕史, 儀間 朝治
    1993 年 25 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    沖縄島の北部のみから記録されているクイナ科の希少種であるヤンバルクイナは5種類以上の鳴き声を持つ。初めてビデオ撮影に成功したデュエットの映像と録音テープをもとに,本種の鳴き声についてソナグラフで解析し,以下の知見を得た。
    1) 5種類の鳴き声:コールI(ケッケッ(Kyo)-コール),コールII(ググッ(Gu)-コール),ソロソングI(クルル(Krr)-コール),デュエット(ケケケ(Kek)-デュエット)及びソロソングII(ケケケ(Kek)-コール)のソナグラムと波形を図示し,デュエットについては2羽を分別した。
    2) デュエットの際,2羽はお互いに向かい合わず,反対方向を向いて頭をふりながら同時あるいは交互に鳴き合わせた。
    3) デュエットは,先に鳴き始め,1秒間に7~8回の比較的安定した間隔で発声する個体と,これに同調し,やや分散的に鳴く別の個体とにより唱和され,この2羽は嘴の長さの差からそれぞれ雄と雌と考えられた。
    4) ソロソングII(ケケケ(Kek)-コール)はデュエットに類似していたが,他の個体が同調することなく,それより短い独唱のままで終わっており,導入部,声の連続性,後半の声の強さの変化においてデュエットとは差がみられた。
    5) 同じ種類の鳴き方でも鳴き声は変化し,ある特定の声の特徴について,それが雌雄の差によるのか,鳥の個体差によるものなのかは今後の課題である。
  • 原戸 鉄二郎, 尾崎 清明
    1993 年 25 巻 1 号 p. 40-53
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    ヤンバルクイナの就塒行動をナイトライティング法を用いて観察した。ヤンバルクイナは夜間樹上で塒をとるが,この就塒行動が観察される確率は,年間を通じて6月と9月が高く11~1月は低い傾向があった。多くの場合単独で見られたが,番と見られる2羽や成鳥と若鳥が一緒のこともあった。また同じ木に3日続けて塒をとったことが観察され,同一個体が同じ塒を繰り返し利用することが示唆された。塒に利用された木はほとんどがイタジイであり,そのうち枯木の占める割合が21%であった。ヤンバルクイナが塒として選んだのは,平均して樹高10.6m,胸高直径が29.2cmの木で,寝ていた場所の高さは6.7m,その枝の太さは12.7cmであった。また,幹の根元の傾きは平均67.2°,寝ていた枝の傾きは27.7°で葉の無い見通し良い場所であった。これらの塒場所の条件は,太くて安定しており登り易いことと,外敵を見つけて逃げることに適していると考えられた。
    ヤンバルクイナの分布は,沖縄島北部のイタジイが連続的に分布している地域とほぼ一致しているが,これまで南限の記録があった塩屋湾より南部の地域では確認できなかった。
  • 北島 信秋, 黒田 長久
    1993 年 25 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.1990年1月~2月および1990年10月~1991年2月の冬季間に,千葉県我孫子市高野山を中心とする半径20kmの円内で,カラス(ハシブトガラスとハシボソガラスの両種)の冬季塒と飛来個体数,飛来範囲を調査をした。
    2.調査地内に冬季塒は5ケ所確認された。各塒間の平均距離は15.2kmであった。
    3.高野山塒の冬季飛来個体数は約2,000~2,600羽であった。
    4.高野山塒の飛来範囲は約70km2で,塒から採餌場所までの最も遠い距離は北方へ約20km,南方へは約10kmで,東西に狭い楕円形であった。
    5.塒に飛来個体が多く来る時間帯は,日の入りを挟んで前後10分間であった。
    6.飛翔経路は,塒と採餌場所とを直線に結ぶもので,長野県などの山間地で観察されているような谷間を通るものとは違っていた。
    7.高野山塒への入塒羽数の変化は,日没間際にピークがほぼ一挙にくる地点と14時30分過ぎより日没まで,暫時もどってくる地点の2つのタイプが観察された。
    8.高野山塒の帰塒前集合場所における飛去数が増大する時間は,日没前の35分内であった。
    9.高野山塒のカラスは,帰塒前集合所を何箇所も経て入塒していく様子は観察されなかった。
  • Ganapathy Bhat, Biswaranjan Maiti
    1993 年 25 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    毎日5日間経口投与したニトロフラントイン(200mg/kg体重)により,キノドスズメの精巣重量,細精管の直径,第2次精母細胞数および精細胞数の減少が認められた。精子数も減少したが,ライディッヒ細胞の核の面積,3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素の活性および精巣シアル酸含量に変化はなかった。塩化カドミウム(0.05mg/kg体重)を腹腔内に一回投与しただけでは,上記のような変化は認められなかった。このことより,ニトロフラントインには精子形成阻害効果があるが,少なくとも今回用いた用量では塩化カドミウムにそのような効果は認められないことが示された。さらに,どちらの化学不妊剤とも,精巣における性ステロイドホルモン産生活性あるいはそれを支配する上位の生殖腺刺激活性には影響を及ぼさないことも示唆された。
  • Kakali De, Asok Ghosh
    1993 年 25 巻 1 号 p. 68-75
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    脱水が,半家禽化された2種の鳥類,ドバトとイエスズメの副腎にどのような影響を与えるかを調べた。イエスズメでは,脱水による副腎の組織学的な変化は見られなかったが,ドバトでは髄質部が退縮し,骨髄球様組織が増加した。一方,イエスズメにおいては脱水によりノルエピネフリン(34%),エピネフリン(50%)とも副腎髄質中の含量が減少したのに対して,ドバトではエピネフリン(45%)のみが減少した。副腎中のコルチコステロンはドバト(375.7%)でもイエスズメ(336.7%)でも増加した。今回の実験により,脱水によるストレスにはコルチコステロンの関与は鳥類で普遍的であるが,カテコールホルモンには,NE:E比とは独立して,種による反応の違いがあることが示された。この反応の違いを説明するためには,腎臓の生理学的状態や他のホルモンのことを考慮しなければならないだろう。
  • 小西 弘臣, 鈴木 利典, 玉田 克巳, 藤巻 裕蔵
    1993 年 25 巻 1 号 p. 76-92
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.鹿追町然別湖畔の常緑針葉樹林と千歳市支笏湖東岸の落葉広葉樹林で1987,1988年にクマゲラの繁殖について調べた。
    2.然別湖畔では産卵は5月11~13日,抱卵期は5月14または15日~5月28または29日,育雛期は5月29または30日~6月29日,支笏湖畔では育雛期途中から観察を始め,巣立日は6月20,21日であった。
    3.雌雄とも抱卵し,日中の抱卵時間は雌雄ともほぼ同じであったが,夜間は雄が抱卵した。
    4.育雛前期には雌雄とも抱雛し,日中の抱雛時間は雌雄ともほぼ同じであったが,育雛前•中期には夜間に雄が抱雛した。
    5.1日当たりの給餌回数は,育雛前期には雌雄あわせて10回くらいであったが,中期には20回くらいとなり,巣立数日前から減少した。給餌回数に雌雄差はなかった。糞運びは育雛中期から目立つようになったが,巣立数日前から減少した。
    6.1987年には巣への飛来•飛去方向には雌雄差が見られ,抱卵•育雛期中にも変化した。巣への飛来•飛去時に,営巣木付近の木に一度止まることが多く,とくに巣立数日前から給餌後に止まる回数,時間が増加した。
    7.ドラミングは造巣期から育雛期に聞かれ,とくに巣立数日前から給餌後に多かった。
    8.幼鳥数は然別湖畔では雄1羽,雌2羽,支笏湖畔では雄2羽,雌1羽であった。巣立日は前者で6月29日,後者で6月21日,巣立数はいずれも3羽であった。
    9.雛に与える餌と,巣立後巣内から集めた残渣は主にアリ類であった。
  • 鈴木 惟司
    1993 年 25 巻 1 号 p. 93-101
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    小笠原諸島の固有種メグロApalopteron familiareは,オスが繁殖期にもめったにさえずらないとされてきた。本種のオスが本当にめったにさえずらないのかどうかを明らかにするため,1991年6月初旬,母島において本種のさえずり活動を調査した。各々つがいを形成していると見なせるオス2羽のさえずり活動を,6月9日午前3時半から午後7時まで連続的に記録した。この2羽の1日のさえずり総数は各々97および132であった。これらのオスは日の出前の午前4時から午前4時半までの間に活発なさえずり活動を行ない,この30分間の間に各々91(93.8%)および94(71.2%)のさえずりを発した。しかしその後さえずり活動は低下し,特に日中にはごく稀にしかさえずらなくなった。また6月3~8日の早朝に沖村内でさえずり個体の分布を調査した。午前4時-5時の時間帯には村の広範囲に渡ってさえずり個体が認められたが,同5時-7時の時間帯にはさえずり個体は稀に見られるだけだった。これらの結果から,少なくともつがいになっているオスは,早朝,しかも日の出前の極く短時間だけ非常に活発にさえずるが,日中にはほとんどさえずらないことが明らかになった。このようにメグロは日中はあまりさえずらないし,また一時に出すさえずり数も日中には1-2回であることが多かった。したがって,昼間にさえずり個体と遭遇することは稀であった。しかし,それでもさえずり個体は母島の各所で記録された。
  • 小城 春雄, 服部 保次郎, 吉野 威, 山原 利弘, 沢田 成彦, 古川 敏広
    1993 年 25 巻 1 号 p. 102-104
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    練習調査船若竹丸のベーリング海におけるサケマス流し網調査期間中の1989年7月12日に,58°30'N,179°30'Eでアホウドリの幼鳥が船の周囲で約2時間観察された。このアホウドリの外観は,薄桃色がかった大きなくちばしと脚部の他は全て黒褐色であった。また,翼の上部ばかりでなく下部も黒褐色であった。このような幼鳥は繁殖地である鳥島には出現しない(Hasegawa and DeGange 1982),そして山階鳥類研究所に保存されている4才鳥の剥製標本から判断して,今回観察されたアホウドリ幼鳥個体の年齢は1~3才であると考えられた。
    その他のアホウドリの観察例では,幼鳥あるいは亜成鳥が1979年7月21日,57°30'N,177°00'Wで1羽,そして成鳥ないし亜成鳥が1985年8月30日,55°30'N,175°01'Eで1羽出現した。
    これらの観察例から,ベーリング海におけるアホウドリ幼鳥および亜成鳥の夏季の分布域は,沿岸域ばかりでなく外洋域にもおよんでいる可能性がある。
  • 平岡 考
    1993 年 25 巻 1 号 p. Plate1-Plate2
    発行日: 1993/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
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