山階鳥類研究所研究報告
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26 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 上田 恵介
    1994 年 26 巻 1 号 p. 1-46
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    Sperm competition is the competition between sperm from two or more males to fertilize the egges of a single female during one reproductive cycle. Recently many ornithologists have focused on this theme, and are studying many bird species by using biochemical methods (e. g. DNA fingerprinting). I review almost all of the important literature on avian sperm competition of the last decade, and discuss the evolution of social behaviour of both sexes through sperm competition. Sperm competition is an essential process of intrasexual selection which influences not only the characteristics of reproductive organ and mating behaviour, but also the mating system, social organization and life history strategy of birds. It is a co-evolutionary process between both sexes.
  • 北島 信秋
    1994 年 26 巻 1 号 p. 47-58
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.オオバンの繁殖生態を千葉県我孫子市手賀沼において1990年4月から10月まで調査した。
    2.営巣は,雄が巣材を運び,雌がそれを嘴で受けて行った。営巣日数は約2~7日であり,この時の巣は交尾や羽の繕いにも使われていた。営巣場所は発見巣43巣中37巣がヒメガマ群落中にあり,6巣はマコモ群落にあった。巣材はヒメガマがほとんどであった。巣材の補給を抱卵期,育雛期も続けた。抱卵期には雛の孵化にあわせるように巣材運搬回数が増加していき,孵化時に巣は育雛用として数日使われた。
    3.産卵は4月上旬に始まり,5月にピークをむかえ,7月に終わった。産卵は1日1卵で,一腹卵数は平均5.2卵,卵重は平均35g,大きさは平均52.0×35.5mmであった。
    4.抱卵は雌雄で行い,特別な事情のないかぎり終日連続して,途切れることなく孵化まで続いた。1回の抱卵時間は平均51分,抱卵日数は21日~25日であった。また抱卵中は雌雄相互の給餌は見られなかった。雛の孵化後数日すると,それまでの巣と別に育雛用の巣を作って雛を育てた。雛への給餌は水面上で行われた。
    5.28巣で126卵が産卵され,その32%,40羽が孵化した。しかし2週間後に観察される雛数は12%に減少していた。営巣数43巣中,孵化に成功した巣は11巣,26%であった。卵の消失や巣の崩壊はイタチやカラス,人間,漁船の影響によるものが観察された。
    6.当地のオオバンの個体数の減少原因は,繁殖成功率の低さにあるとみることが出来る。今後繁殖成功率を低めている原因を詳細に研究する必要がある。
  • Saumen K. Maitra, Rita Sarkar
    1994 年 26 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    成熟雄ギンバシに,さまざまな用量(0.5μg,10μgそして20μg/100g体重)の有機リン系殺虫剤quinalphosを経口投与して,投与後1日目,5日目,10日目に精巣の薬剤反応性を,対照群のものと比較して調べた。薬剤投与5日後と40日後共に,精巣重量と細精管内の正常な生殖細胞数の有意な減少が認められた。薬剤摂取群では,さらに精巣内に多くの退化生殖細胞が検出されたが,他の形態的変化は認あられなかった。精巣内のアセチルコリン•エステラーゼの活性は,薬剤投与量と投与期間に依存して減少した。アセチルコリン•エステラーゼ活性の減少と退化生殖細胞の比率増加の間には有意な相関関係があった。しかし,薬剤による効果はライディヒ細胞では確認されなかった。
    以上の結果は,有機リン系殺虫剤quinalphosの経口摂取は野生ギンバシ精巣の配偶子形成を薬理的に阻害することを示す。
  • 藤巻 裕蔵
    1994 年 26 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.十勝川中流部沿いで調査地6か所(E,Fa,Fb,Ga,Gb,H)を設け,1980-1982年の5月中旬-7月上旬に線センサス法で鳥類の調査を行なった。
    2.各調査地で記録された鳥類ののべ種数はEで41種,Faで37種,Fbで28種,Gaで35種Gbで22種Hで33種であった。調査路が水際や礫地にある場合には種数が少なく,種数の多さは森林性鳥類が多くなったことによる。
    3.相対優占度が2%以上の主要種は,オオジシギ,ヒバリ,ノビタキ,アカハラ,エゾセンニュウ,コヨシキリ,アオジ,ベニマシコ,ムクドリなどで,調査路が水際や礫地にある場合には,カモ類,シギ•チドリ類,ハクセキレイ,セグロセキレイも主要種であった。
    4.各調査地における鳥類群集の多様度指数は,それぞれ3.24~3.84の範囲にあり,調査地間で大きな差は見られなかった。
    5.河川敷では農耕地より灌木•草原性鳥類が多く,河川敷はこれらの鳥類の生息環境として重要である。
  • 小城 春雄, 百瀬 邦和, 佐藤 文男, 馬場 徳寿
    1994 年 26 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1羽のクロアシアホウドリが1992年10月21日に茨城県波崎新港で衰弱し保護され,同年10月27日に落鳥した。標識番号から,このクロアシアホウドリは1992年4月21日に鳥島で雛時に標識付後放鳥された個体であり,孵化後約5ヶ月目で巣立ち,海洋生活期の4ヶ月目で飢餓のため死亡した個体と考えられた。
    胃内容物を調べた結果,砂嚢から12個のプラスチック粒子が出現した。粒子の種類はプラスチック原材料粒子(レジンペレット)が2個,他は全てプラスチック製品類の破片であった。平均重量は70±56mg,色は白色4個,灰色5個,濃灰色2個,そして淡青色1個であった。
    クロアシアホウドリは巣立ち時に前胃中のプラスチック粒子などの異物を全て吐き出してしまうものの(Sileo et al. 1993),砂嚢中のプラスチック粒子はそのまま保持されている可能性が高い。ハシボソミズナギドリでのプラスチック粒子類の胃滞在時間は約10ヵ月(範囲:3-12ヵ月)である(Day 1980)。これらのことから,クロアシアホウドリの胃中に見出されたプラスチック粒子類の多くは,繁殖地において親鳥から与えられた餌の中に混入し,巣立ち後も砂嚢中に残存していた可能性が高い。
  • 岡 奈理子
    1994 年 26 巻 1 号 p. 81-84_3
    発行日: 1994/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    ミズナギドリ類の海中での索餌行動は海上からの観察に基づき報告されているが,観察が困難であるため,潜水深度などに不明な点が多い。筆者は関東に在住するダイバーに聞き取り調査し,黒潮北端沿岸域を潜水中の暗色型ミズナギドリの潜水時の行動と潜水深度を記録し,潜水中のカラー写真から種名を同定することができた。また,対馬暖流域を潜水するオオミズナギドリの行動と潜水深度もあわせて聞き取り調査した。そこで,潜水中の写真(口絵1~3)を掲載し,潜水時のミズナギドリ類の行動と潜水深度について報告する。
    1) 1989年6月24日,房総半島館山沖400m,水深27mの海底に設置された定置網のナイロン製網に突き刺さったスズキ目クロタチカマス科クロシビカマス(Promethichys prometheus)を,水中遊泳していた数十羽の暗色型ミズナギドリ類のうち少なくとも数羽が網の外から採餌しているのが複数のタイバーに目撃され,ダイバーが魚を取り外し,定置網上の水深13mのところで手で与えたところ,翼部と脚部を使って遊泳接近し採餌した(口絵1a~f)。これらのミズナギドリは嘴と脚色の特徴からアカアシミズナギドリと同定した。
    2) 1987年10月,西伊豆大瀬崎沖40m,水深7~8mの海底の岩に群生する数cm高の緑藻類を,潜水してきた数十羽のミズナギドリが引きちぎり,数羽が嘴にくわえて浮上するのが観察された(口絵2)。カラー写真からハイイロミズナギドリと同定した。潜水方法はジグザグに潜って浮力を殺す「落雷潜水」であった。
    3) 1988年5月末,同じ大瀬崎沖50m,水深10余mの海域をダイバーが潜水中,海面に浮遊中のミズナギドリ約50羽が,ダイバーの気泡を魚影と間違え,潜水してきた(口絵3)。カラー写真からハイイロミズナギドリと同定した。
    4) 1989年夏,若狭湾冠島沖で,オオミズナギドリがボートから投げられたイワシを追って最低5m潜水したのが海中で目撃された。潜水方法は,海面上数mから飛沫を上げて突入するのと,海面に浮遊し,静かに潜水する方法が観察された。
    以上のことから,アカアシミズナギドリ,ハイイロミズナギドリ,さらに既報のハシボソミズナギドリの近縁3種が海面下10m以上20m近くの水深域を索餌遊泳できることが明らかになり,形態的に潜水適応しているとされるミズナギドリ属鳥類の潜水力が裏付けられた。一方,形態的特徴からオオミズナギドリ属のオオミズナギドリは潜水適応の程度がミズナギドリ属鳥類より弱いため,これまで非潜水採食の可能性が高いと指摘されてきたが,ミズナギドリ属と同様,潜水方法は空中数mからの突撃潜水も行い,水深5メートルは潜水し採食することが明らかになった。
  • 1994 年 26 巻 1 号 p. e1
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
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