山階鳥類研究所研究報告
Online ISSN : 1883-3659
Print ISSN : 0044-0183
ISSN-L : 0044-0183
27 巻 , 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 中村 雅彦
    1995 年 27 巻 1 号 p. 1-11_1
    発行日: 1995/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.ムキアワ,ムキヒエ,カナリアシードを用いた人為給餌が,イワヒバリの1歳と2歳以上の雌の一巣卵数,孵化率,繁殖回数,巣立ち雛数と雛の体重に与える影響を1986-1989年に乗鞍岳で調査した。
    2.イワヒバリは平均で雄3.9個体,雌3.1個体の約7個体がグループを形成し,これらの構成員はひとつのグループなわばりを共有する。餌場をグループなわばり内に1~2カ所設定し,繁殖期にあたる5~9月まで継続して人為給餌を施した実験グループを17グループ,捕獲時以外餌場を設定しない対照グループを21グループ設定した。
    3.人為給餌は1歳雌の繁殖開始時期を早あ,2歳以上の雌の開始時期には影響を与えなかったが,1歳雌および2歳以上の雌とも給餌が一巣卵数に与える影響は認められなかった。
    4.人為給餌は,各年齢群の孵化率,繁殖回数,巣立ち雛数,雛の体重や餓死率に影響を与えなかった。
    5.人為給餌の有無に関わらず,2歳以上の雌は1歳雌より早く繁殖し,より多くの一巣卵数,巣立ち雛数を生産し,重い体重の雛を育てたが,孵化率には年齢間で差は認あられなかった。
    6.年当たりの繁殖回数は1歳雌より2歳以上の雌が多く,2歳以上の雌は1歳雌より年当たり多くの卵と雛を生産した。
    7.実験•対照グループとも,各年齢の雌の一巣卵数と雛の体重は季節的に減少しなかった。
    8.2歳以上の雌にとって早い繁殖は,年に2回の繁殖を可能にするため有利だが,人為給餌により産卵日を早めた1歳雌の43.8%の繁殖は,育雛期が梅雨に重なり雛が餓死で全滅したので早い繁殖は必ずしも有利でなかった。
  • Juan Carlos T. Gonzalez
    1995 年 27 巻 1 号 p. 12-29
    発行日: 1995/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    ルソン島南部のフィリピン大学Laguna Land Grantの鳥類相は,41科,101種の鳥類により構成されている。4種類の異なる生息環境に設定されたトランセクトに沿ってセンサスを行い,全部で78種の鳥を記録した。環境別には,成熟した2次林で44種,人為的攪乱が進んだ森林で35種,森林性の樹木が所々に残された草地で38種,2次林と耕作地帯が入り交じった地域で35種が観察された。各トランセクトにおいて,種多様度および個体数を算出した。また,各種について,採食ギルド,定住性,保護の現状を議論した。種の多様性および固有性が甚しく減少している理由は,主に商業目的並びに地域住民による大規模な樹木の伐採活動がもたらした生息環境の悪化によるものと考えられた。広域性の種が,伐採の進んだ地域に定着できるのに引き替え,厳密に森林性の鳥類は本来の植生以外の環境に対する許容度が低いからである。
    環境保全のための方策としては,ルソン島の低地林,例えばPaete-Pakil-Kalayaanのような場所を,世界的に最も緊急を要する固有種保全地域(Endemic Bird Areas)の一つとして登録することが考えられる。これによって,関係諸機関によるそれらの地域の環境保全の努力が高まり,長期に渡って種の多様性を確実に保存できるだろう。
  • 南 浩史, 青塚 松寿, 寺沢 孝毅, 丸山 直樹, 小城 春雄
    1995 年 27 巻 1 号 p. 30-40
    発行日: 1995/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1989年に北海道の天売島において,ケイマフリの雛の成長と親鳥の給餌行動の調査を行った.雛の体重成長は,von Bertalanffy式に適合した.雛の体重成長率は,孵化後15.3日で22.1g/日の最大に達したが,それはウミスズメ科で最も高い値であった.巣立ちの時の雛の体重は620gで,成鳥体重の91.2%であった.また,巣立ち時の雛の翼長,嘴峰長および尾長は,成鳥に対して60~79%であり,〓蹠長のみが成鳥サイズまで成長した.在巣期間中の雛の主要餌生物種は,Sebastes minor, Ammodytes personatus, Blennioidei sp.の3魚種から構成されていた.また,給餌頻度は約9回/日であり,他のウミスズメ科に比べて高い値を示した.本種の親鳥の高い給餌力は,雛の高い成長率および巣立ち雛の大きなサイズに関連していると考えられた.
feedback
Top