1.1962年8月-1965年12月までの間に,長野市川中島町北戸部,同南原,長野県軽井沢町旧道,東京都下久留米町学園町でオナガの1日の移動経路,移動時間,地区別滞在時間などについて調査した。
2.1日(24時間)のうちの活動時間は家族群では約60%,地域群では45%前後であり,季節的な日照時間の変化に平行していると考えられる。
3.1日の移動経路は第3図のようであった。家族群では経路は単純で一定であったが,地域群では極めて複雑で方向や順序もその時々で異なり一定していなかった。また一日の終りには,同じ塒や近くの塒へ戻った。
4.群の移動状況について目立った点を述べた。家族群では,他の家族群とはっきり幼鳥が区別され,親の給餌をうけている。地域群の移動では,指導者的個体の存在は認められなかった。また,経路は人を含めた害敵の存在で変更された。
5.地区別の滞在時間や移動速度のちがいから,群がその時々に異なった地区評価をしていると考えた。
6.1日の移動距離と速度は,第4表のようで,地域群では,約3.5-5kmで,時速は約340-520mであった。午前と午後の差は,一定していなかった。
7.群の1日の行動範囲は地域群で,約10-17haで日中行動圏の約34-60%に当った。群の日中行動圏の広がりは,東西約0.65-0.85km,南北0.7-0.8kmであった。
8.日中行動圏内での調査日の個体密度は,1ha0.6-1.9羽であった。
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